Photo by
iroha_inui
私、どろんします
「下がって、下がって」
ようやく屋上から下りた時にはもう、警察が野次馬を押し戻していて、ごった返していた。
だから、地面に張り付く彼女の姿を看取る事は難しかった。
でも、変わり果てた彼女を間近で見ないで済む理由に、心の何処かでホッとしていた。
そっと息を吐きながら、握りしめていた紙をもう一度広げた。
『私、どろんします』
「……ハハッ。お笑い好きのあの子らしい」
私は、溢れる涙を誰にも見せないように、深く俯く。
「バイバイ。私の愛しい人」
小さく呟き、野次馬の向こう側にいるあの子に数秒の黙祷を捧げた。
そして私は、涙を拭い去りスカートの裾を翻すと、現実へと踏み出した。
#アマノ文筆クラブ
久しぶりの参加(?)です。
今回のお題は
『私、どろんします』
でした。
このタイトルを見た途端、浮かんだのが、この世からのどろんで😅
私らしいっちゃ私らしいイメージですが、このすぐ浮かぶって感覚が久しぶりで、楽しく書けました😍
浮かんだイメージが“自らの死”だっただけに、どうせなら、直接的な描写を避け、綺麗な描写でいきたいなって思って書いてみたのですが…。
あとがきとしては、ここまでにしておこうと思います。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
