運命の書架
《プロローグ》
図書館の薄暗い片隅、古めかしい木製の棚に、その本だけは異質な静けさを纏って佇んでいた。
タイトルも著者名もなく、表紙は摩耗して色の判別もつかないほどくたびれている。だが、不思議とそこには、単なる古い本とは違う、重い存在感があった。
それは、まるで何かの物語の記録装置のように、自身を開く者に相応しい時が来るのを、何年も、何十年も待っているようだった。
そして今日、彼がその本に手を伸ばした。
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