元警察官が語る、自転車「青切符」導入1ヶ月のリアル。数字が示す「取り締まり」と「警告」の本当の意味
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今年(2026年)4月1日から、自転車の交通違反に対する「青切符(交通反則通告制度)」の運用が本格的にスタートしました。
制度が始まってから、現場の警察はどのように動き、私たちはどのような違反に気をつけるべきだったのでしょうか。
警察庁が発表した「制度開始月(4月)の公式データ」をもとに、そのリアルな数字と私たちが考えるべき「命の守り方」についてお伝えします。
1. 4月の「青切符」件数と「指導警告」の圧倒的なボリューム
警察庁が5月に発表した、2026年4月1日〜4月30日の1ヶ月間の暫定データは以下の通りです。
青切符交付数(告知件数): 2,147件
指導警告票の交付数: 135,855件(前年の月平均の約1.5倍)
検挙総数(青切符+赤切符): 2,980件(前年同月平均と比べ約60%に減少)
この数字を見て、「取り締まりが急増して大変になった」と感じるかもしれませんが、実態は少し異なります。
検挙総数自体は前年同期比で約60%に減っている一方、青切符を切る手前の「指導警告票」が13.5万件を超え、前年の月平均の1.5倍に急増しています。
つまり警察は、いきなり重い罰則(切符)を乱発しているのではなく、まずはルールを徹底的に「可視化」し、指導・警告を通して利用者の意識を変えてもらうという、非常に丁寧で慎重なスタンスをとっていることがこの数字から分かります。
2. どんな違反で狙われているのか?(ワースト3と地域差)
4月の取り締まりで、特に多く対象となった違反の類型(ワースト3)は以下の通りです。
一時不停止: 846件(約40%)
携帯電話使用(ながらスマホ): 713件(約33%)
信号無視: 298件(約14%)
この上位3つだけで、全体の約87%を占めています。
現場にいた頃から、「ほんの数秒の一時停止無視」や「スマホを見ながらの走行」が、いかに一瞬で重篤な人身事故に直結するかを目の当たりにしてきました。これらが厳しく見られているのは、まさに命を守るための当然の帰結です。
また、都道府県別の青切符交付数に目を向けると、興味深い地域差(グラデーション)が見えてきます。
多い地域(上位):
東京都(501件)
大阪府(267件)
愛知県(257件)
※上位3都府県だけで、全国の約48%を占めています。
少ない地域(下位):
秋田県、山形県、三重県、徳島県、長崎県、熊本県、沖縄県の7県では、4月中の青切符交付数が「0件」となりました。
全国一律で一斉に厳罰化しているわけではなく、地域の交通事情や、まずは「指導・警告」を優先する各地域の運用裁量がしっかりと働いていることがわかります。
3. この半年の変化と、ルールを守る本当の意味
この4月の手堅いスタートを経て、警察庁が発表した今年上半期(1〜6月)の自転車事故の総数(死亡・重傷事故)は3,272件となり、統計が残る2006年以降で「過去最少」を記録しました。
「自転車の取り締まりが厳しくなって面倒くさくなった」と感じる方もいるかもしれませんが、この事故件数減少のデータは、私たちが交通ルールを守ることがいかに命を守る直結の行動であるかを証明しています。
交通ルールや取り締まりの強化は、「警察官に捕まらないため」にあるのではありません。
自転車は身近で便利な乗り物ですが、一歩間違えば「被害者」にも「加害者」にもなり得る危険を孕んでいます。
この制度の始まりと確かな成果をきっかけに、「自分と大切な人の命を守るためにルールを遵守する」という意識が、これからも一人ひとりに定着していくことを切に願っています。
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