【不動産投資の失敗談】① 泥水をすすった50代会社員のリアルな記録
焦りと空回りの日々。 FXの損失と、競売入札の「空振り」
「このままの働き方で、本当に家族を守り切れるのだろうか」
40代半ばを過ぎ、
夕方になると体に鉛のような重さを感じるようになった頃、
そんな漠然とした不安が頭から離れなくなりました。
体が資本の宅配業。
自分が倒れれば、収入は途絶えます。
教育費、
親の介護、
老後資金。
計算機を叩くたびに、
絶望的な数字が並びました。
焦った私は、
手っ取り早く資産を増やそうと、
株やFXに手を出しました。
数十万円もする有料の投資講座に課金し、
仕事で疲れ切った体に鞭打って、
深夜まで瞬きもせずにパソコンのチャート画面を睨みつけました。
結果はどうだったでしょうか。
増やすどころか、
なけなしの資金を静かに減らしました。
数十万円を投資して知識こそ詰め込んだものの、
実戦経験のない素人がプロのひしめく市場で
勝てるわけがありませんでした。
敗因は損切りができなかったことではなく、
「早く稼がなければ」
という焦りから無謀なエントリーを繰り返したことです。
ただ精神と資金をすり減らしたという事実だけが残りました。
「画面上の数字を追いかける投資は、自分には向いていない」
そう悟った私は、
現物があり、
自分の行動次第でコントロールが効きそうな
「不動産投資」へと方向を転換しました。
しかし、
当時の私は「早く結果を出さなければ」という焦りに
完全に心を支配されていました。
睡眠時間を極限まで削り、
深夜までパソコンの画面に張り付く。
休日の日中も、
家族の予定は後回しにして物件検索に没頭しました。
決してピリピリと苛立っていたわけではありません。
ただ、
明らかに家族との時間よりも、
物件と向き合う時間を優先してしまっていたのです。
家族の将来の不安をなくすために始めたはずの副業で、
今の家族との時間を犠牲にしているという本末転倒な事実。
そんな空回りの中、
私は入念にシミュレーションを行い、
ある競売物件に入札をしました。
開札日当日。
私は会社を休んで有給を取り、
緊張しながら裁判所へ向かいました。
しかし、
開札の掲示板に、
私が狙っていた物件の番号はありませんでした。
窓口で確認すると、
事務的にこう告げられました。
「ああ、その物件なら数日前に取り下げになっていますよ」
競売では、
開札の直前に債務者が借金を返済するなどして、
物件が取り下げられるトラップがよくあります。
開札前日に裁判所に電話を入れるか、
BIT(競売物件サイト)を確認すれば済む話でした。
その初歩的な確認すら怠り、
わざわざ有休を使って空振りをしたのです。
すべては自分の甘さと、
目的を見失った行動の代償でした。
だが、
私の失敗の連続は、
まだ始まったばかりだったのです。
(第2回へ続く)
