【なつかしアニメ】 ロードス島戦記 【和製ファンタジーの金字塔】
1990年に発表されたOVA『ロードス島戦記』。
近年の異世界ファンタジー作品の隆盛から遡ること30年、『グイン・サーガ』や『アルスラーン戦記』とともに日本のファンタジー小説の代表格として名声を確立し、その功績は今なお色褪せることはない。
原作の人気を受けて制作されたOVA版を中心に今回は振り返りたい。
発表:1990年
原作:水野良
総監督:永丘昭典
キャラクター原案:出渕裕
キャラクターデザイン:結城信輝、箕輪豊
製作:丸山正雄ほか
制作:マッドハウス
原作
1988年から刊行された原作小説は著者である水野良の代表作となった。
特に『ラーゼフォン』などで知られる出渕裕による主要キャラクター「ディードリット」のイラストは人気を博し、その後の日本ファンタジーシーンにおけるエルフの原型として現在も影響を与え続けている。

『グイン・サーガ』に比べるとシリーズの分量では劣るが、個々のキャラクターの魅力と詳細な世界観設定は読者のワクワクを加速させる魅力に満ち溢れていた。
王道冒険ファンタジー
OVAは全13話。
配信が主戦場となった現在ではこの流通スタイルは驚くべきことだが、VHS全盛の当時では1クール分を販売という手法も珍しくはなかった。

架空世界フォーセリアに存在するアレクラスト大陸の南に位置する「呪われた島」ロードス。
ここを舞台に主人公である駆け出し騎士「パーン」と仲間たちの冒険を描いた物語。
人間・エルフ・ドワーフ・黒騎士・魔導士・ゴブリン・・・味方のキャラクターが特性をもって協力し、困難に立ち向かう様は極めてオーソドックスな王道路線となっており、なおかつ敵も強者ぞろい。

昨今のギャグテイストを帯びた作品群もそれなりに楽しめるが、やはり「ファンタジーはこうでないと」と感じさせてくれる名作であり、古典だ。
諸設定
歴史・地政設定も充実しており、これらが作品世界を奥行き豊かなものに。
孤島であるロードスの中にいくつもの国が乱立する様相はすべてが劇中で描かれているわけではないが、「『千年王国』アラニア」や「砂漠の国・フレイム」、「暗黒の島・マーモ」など、各国それぞれが異なる特色を持っているのは風景描写からもはっきりと読み取れるようになっている。

歴史については世界的古典『指輪物語』ほど長大ではないものの、原作シリーズ全体を通して構築されていった時の流れは本作の中でも節々で語られ、観手の「もっと深く知りたい」という欲求を掻き立てるものだ。
ただ和製ファンタジーとはいえ内容は純度100%のヨーロピアンテイスト。
昨今の異世界ファンタジーブームもこれに倣っているものの、辟易しているという方も少なからずいるはず。
中華ファンタジーの名作『十二国記』のような東洋趣味の方が好みという場合には本作はその古さも相まってやや退屈に感じられるかもしれない。
続編とスピンオフ
本作によって原作小説の人気は不動のものとなり、シリーズは日本ファンタジー史に確固たる地位を築いた。
1998年には『ロードス島戦記-英雄騎士伝-』がTV放送されたが、こちらは2クール(全27話)のうち前半8話がOVA版のリメイク、後半19話が続編という少々変則的な構成。
制作体制も異なるものとなっており、キャラクターデザインなど画面(えづら)のクオリティはOVAよりもやや落ちるように感じた。
ただ後半部のストーリーは続編としてまずまずで、シリーズのファンならぜひとも押さえたいコンテンツとなっている。

またフォーセリアを舞台とした別作品『レジェンド・オブ・クリスタニア』(1996年)や『魔法戦士リウイ』(2001年)もアニメ化されており、各々ロードスよりも遥かに大きなクリスタニア大陸、アレクラスト大陸で物語が展開され、世界観の広さを感じることができる。
こういったシリーズの歴史を追うのもファンとしてはこの上ない醍醐味となろう。
比類なき和製ファンタジー
近年の作風類型が多様化したファンタジー作品に慣れた世代には本作の王道路線はややもすれば物足りなく感じるかもしれない。
作画クオリティもTV版よりは優れているものの、同時代の『ジャイアントロボ THE ANIMATION -地球が静止する日』(1992年)や『マクロスプラス』(1994年)といった"怪物級"には及ばない。
だがそれでいいのだ、純粋にファンタジーを堪能するという観点からすれば。

エルフやドワーフがどうしていつも同じような性格設定なのか、ドラゴンや幻獣・妖精がどういった立ち位置の存在なのか・・・『指輪物語』から始まった神秘と魔法の系譜を学べる和製ファンタジーの優良作『ロードス島戦記』。
若い世代にこそ観ていただきたい次第だ。
