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軽快なテンポで本音で生きる、平安の姫『なんて素敵にジャパネスク』#6 「あなたが、高校生から22歳ごろに読んだ本で、よかった本は何ですか?」ハッピーライティングマラソン

「結婚? まだキスもしてないのに」

ページを開いて数行で、私は笑った。声に出して。
平安の姫が、まるで放課後の友だちみたいにしゃべる。
テンポが軽い。心の声がズバッと刺さる。

舞台は平安なのに、本音はとんでもなく現代の自由な言葉。

氷室冴子さんの小説『なんて素敵にジャパネスク』のシリーズです。

あの頃、私は“良い子”でいるのが上手だった。
ちゃんとしていなければいけない日常だったと思う。

そんなとき、何気なく本屋でパラパラめくって、そのまま読み始めた本。
すごく読みやすくて、つい買ってしまった。

やはり少女マンガの影響が大きかったのか、
ラブストーリー、恋愛小説が好きでした。

物語の主人公は、名門貴族の令嬢・瑠璃姫。
彼女は、香のにおいの残る十二単をふわりとひるがえしながら言う。

「だって、いやなものはいやなんだもの」

その本音の直球に、私は拍手を送った。
礼儀は守る。でも、望まない縁談にはニッコリとNOを言う。
平安だからこそ、身分やしきたりが重んじられる。
だからこそできる反撃がある。
その“だからこそ”に、当時の私は勇気をもらった。

物語は、恋と政(まつりごと)が同じ盤面で進む。
頼れて、ちょっと鈍感な婚約者・高彬。
毒舌で有能な女房・小萩。
策士の若者・守弥。

誰もが軽妙に掛け合い、サクサク転がる事件を、するりとほどく。
長い説明のあとに一言で落とすリズム。
ここが痛快でたまらない。

心の声の「キレ」がいい。
なんとも胸がスカッとする。
建前に即ツッコミが入る。
読んでいる自分の本音まで引っ張り出される。

テンポがいいだけじゃない。五感がくっきりしている。
香木の甘さ、衣擦れの音、夜の回廊の冷気、灯の赤み。
読んでいると、御簾をそっとめくる気分になる。

昨年の大河『光る君へ』で、着物の重ねや
調度の美に見とれたのは、
きっとこのシリーズで身についた色と手触りの印象が、
どこかに残っていたからかもしれない。

怒りもある。哀しみもある。
だけど最後に、小さな勝利の味が残る。

楽しい、面白い、つい笑う、時々泣く。
感情の振れ幅が、読書のあとにちゃんと体温として残る。
ページを閉じると、なんとも心地よい読後感がある。

『なんて素敵にジャパネスク』は、
「言っていい。選んでいい。笑っていい」
と教えてくれた、御簾の向こうの呼び声だった。

#ハッピーライティングマラソン
#本田健


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