【ショートショート】300日目のコーヒー #八風ちゃんの50案
自分で立ち上げた企画ですが、
「八風ちゃんの50案」に参加しています。
【元ネタ】↓
【企画内容】↓
せっかくだから、物語系にもチャレンジしてみよう!
あ~疲れた。。
昨日も先輩にドヤされて、早く独り立ち出来るようになりたいよー。
私は食品会社に務める営業社員 八谷風歌。
大学を卒業後、ストレートで入社。
本当は企画部志望だったのに、何故か営業部に配属された。
会社に設置されているコーヒーメーカーで、ミルクたっぷりのカフェオレを入れていると、同期入社の小竹哲子が声をかけてきた。
哲子:風歌。今日、仕事終わり付き合って。
風歌:どこに?
哲子:いいところ♪
どこだろう。。
哲子とは社員研修で、隣同士の席になって仲良くなった。
彼女は人事部で事務をしている。
会社では挨拶するくらい。
プライベートは何をしている子なのか、全然知らない。
どこに連れて行ってくれるんだろう。。
カランコロン♪
哲子:マスター。来たよぉー。
連れて来られたのは、洒落た喫茶店。
哲子は常連なのだろうか…。
カウンターの中にいる、エプロン姿の男性と仲良さそうに話している。
私が店内をキョロキョロ見ていると、エプロン姿の女性が微笑んでくれた。
どうもここはご夫婦で経営されている喫茶店のようだ。
哲子:風歌、こっち。
哲子が呼ぶカウンター席に座る。
風歌:(小声で)哲子。テーブル席に座ろうよぉ。
哲子:(大きな声で)何言ってんの。ここは特等席なんだからぁ。
意味が分からず、たたずんでいると、エプロン姿の女性が、どうぞとおしぼりとお水を出してくれたので、会釈する。
哲子:マスター。この子、ミルク入りしか飲めないんですけど、オススメのコーヒーありますか?
(哲子、私がミルク入りしか飲めないこと、なんで知ってるの?)
マスター:オッケー。美味しいの入れてあげるよ。
哲子:わぁーい!
哲子が特等席だと言った意味がやっと分かった。
マスターと呼ばれる男性が、珈琲豆を取り出しミルに入れて挽き出した。
風歌:ん~。いい香り。。
哲子:でしょ~。
マスターは手早く、挽いた粉で珈琲を落とす準備をしている。
初めて、珈琲豆からコーヒーが出来上がるところを見ていると、新鮮に感じた。
毎日足が棒になるまで歩いて疲れきったところに、先輩に注意されて凹んでいる自分がなんだか滑稽に思えてきた。
珈琲の香りとぽたぽた落ちる様子、ご夫婦が哲子と話している様子を見ていると、固まっていた心がほどけてきた。
マスター:出来ましたよ。どうぞ。
と出してくれたのは、ミルクティーのような色をしたブレンドコーヒーだった。
哲子と顔を見合せて、にっこり笑い、一口すする。
風歌・哲子:おいひぃー。
フルーティーな味と香りが、2人を包み、うっとり幸せな気分になる。
風歌:哲子。なんで私を連れてきてくれたの?
哲子:風歌、最近寂しそうだったから。
風歌:そうだな。。ちょっと疲れてたかも。。
哲子:ここのコーヒー気に入ってくれた?w
風歌:うん。お気に入りになりそうだよ。
哲子:良かったぁ。また来ようね。
風歌:うん。ありがとう。
2人の様子を見て、カウンターの中の2人からも笑みがこぼれる。
その日は風歌と哲子が新人研修を受けてから、ちょうど300日目だった。
300日目のコーヒーは4人にとって、心温まるものとなった。。
~fin~
