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【無料記事】今さら聞けない「”過払い金”って、何?」

過払い金。
読んで字のごとく、払い過ぎたお金のこと。

債務整理に於いての「過払い金」は、払うべき以上の金利を払い過ぎて返済していた場合の、その払い過ぎた部分を指す。
その返還を請求するのが「過払い金返還請求」で、一時期これを行う士業事務所が、テレビでもCMを流しまくっていたのは記憶に新しい。
今や所属弁護士がメディアに数多く出演している、超有名弁護士事務所の名前を知ったのは、過払い金返還請求業務を広告するテレビCMだった、という人も多いのではないか。
最近では、女優の小野真弓が出演している司法書士事務所のCMが、テレビで流れているのをよく目にする。この女優さんは20年ほど前、大手消費者金融のCMでブレイクした方なので、まさに20年越しの”伏線回収”である。

それはともかく、そもそも「過払い金」とは何なのか。
意外に正確に答えられる人は少ないのではないか。
今回はこれをしっかり説明してみたいと思う。


■「過払い金」が発生する仕組み

「過払い金」が発生するのは、金融業者にお金を借りた側が、金利を払い過ぎる仕組みがあったから。
その仕組みとは、現在法律で規制されている以上の金利を課すことが、なぜか認められていた時期があったことである。

①「利息制限法」(1954年施行)
・元本が10万円未満の場合:年利20%
・元本が10万円以上100万円未満の場合:年利18%
・元本が100万円以上の場合:年利15%
上記の割合を超えてお金を貸し付けてはいけない、という法律である。
銀行などでお金を借りる場合は、そもそもこの法律内の金利に設定されているので、「過払い金」は発生しない。しかし、なぜかある時期まで、消費者金融業者などはこの法律の”網”を潜り抜けられていた。

②「出資の受入れ、預り金及び金利等の取締りに関する法律」(1954年施行、通称「出資法」)
・年利29.2%を超えてお金を貸し付けた場合、刑事罰の対象となる
③「貸金業の規制等に関する法律」(1983年施行、通称「貸金業法」)
・貸金業社に対して①の規制を超えた金利を債務者が任意で払った場合、有効な弁済と認める(見なし弁済)
例えば50万円を借りた利用者は①によれば金利18%までしか払う義務がないのに、金融業者がそれを超えた金利を請求して応じた場合、③の見なし弁済を行ったとして正規の利息を認められ、かつ②の範囲内の利息であれば業者も罰せられることがない、という状況が作られていたのである。

このため、当時の消費者金融業者は、当時年利25~29%台の利息を設定してお金を貸し付けていた。
もちろん利用者はこれを承諾して借りていたので、その金利を請求されて、従っていたわけである。
この、①を超えて②の範囲内の金利を通称「グレーゾーン金利」と呼んでおり、このグレーゾーン金利で借りたお金を返済していた場合に、「過払い金」が発生する。
これが「過払い金」発生の仕組みである。

■「過払い金」が請求できるようになった経緯

前述のとおり、あくまでも「グレーゾーン」であってブラックではなかったので、金融業者は「罰せられない」範囲の金利を取っていたのだが、それがなぜ「過払い金」として請求できるようになったのか。それは②③の法律が改正されたからである。

②「出資の受入れ、預り金及び金利等の取締りに関する法律」(2010年改正、通称「出資法」)
・年利20.0%を超えてお金を貸し付けた場合、刑事罰の対象となる
③「貸金業法」(2010年改正、法律名も改定)
・見なし弁済禁止、グレーゾーン金利を撤廃

②③共に2010年6月18日より改正法が施行されたので、これ以降は改正法施行前に返済していた金利に対して、「過払い金」が請求できるようになったのである。つまりこの時期から士業事務所は「過払い金」に関する業務を始めたので、テレビCMを頻繫に見るようになったのである。
ちなみに法案自体は2006年に成立していたので、2007年には大手消費者金融業者は、既にグレーゾーン金利を無くした契約を結ぶようになっており、このため2007年以降に契約をした人には「過払い金」が発生することはほぼ無い。つまりこの時点で20歳に達していない人=2025年現在37歳未満の人は、過払い金返還請求ができることはほぼ無いと言って良いだろう。

■「過払い金」の時効

「過払い金」の時効は、過払い金を請求する権利がなくなってから10年。
具体的には、借金を完済してから10年ということになる。

さらに2020年の民法改正により「過払い金の請求ができることを知ってから5年」というのも加わったが、「完済してから10年」といずれか早い方をもって成立となるので、利用者側にとっては有利な改正ではない。
こちらは具体的には、金融業者から取引履歴などを取り寄せた場合、これをもって過払い金を知ることができるので、そこから5年経つと時効が成立するという、金融業者側にとって有利な内容。とはいえ個人でそれを行うのは稀なので、通常は「完済してから10年」と考えて良いだろう。

いずれにしても、借金を完済してから10年経てば、「過払い金」の返還請求はできなくなる。
最近、以前ほど過払い金に関するテレビCMをなくなったのは、CMの出稿先がネットなどに分散したということもあるが、そもそも時効により過払い金返還請求が期待できなくなってきた、という事情もあるのだ。

つまり、
「2007年以前に契約した借金」
「銀行ではなく消費者金融業者相手」に返済したもので、
「完済して10年経っていない(2025年現在で言えば完済したのが2015年以降)」或いは「現在も継続して利用中(途中で完済して借りていない期間が長期あるとダメ)」である、という
かなりピンポイントな条件の「借金」が、「過払い金」返還請求ができる借金、ということになる。

とはいえ人間は嫌なことは忘れたいものなので、自分でも忘れている過払い金の対象となる借金が、思いがけず見付かる場合も多々ある。
少しでも「ひょっとして?」と思った場合は、弁護士事務所に連絡してみるのが良いだろう。


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