「書く習慣」の起源を探したら、ただの仕事と転職の物語で、ラストは教授の怒の顔があった。
天才ライターの焔です(嘘)。
今、わたしは常に文章を考える仕事をしています。
転職を繰り返しながらも、ここ10年は広報関係の仕事をしていて、堅い文章からコピーっぽい文章まで、とにかく表現を考え続ける日々です。
書く習慣というより、書かないと死ぬ状況です。
泳ぐのをやめると死ぬマグロと同じ。
なぜこんなことをしているんだろう――?
そりゃ転職してそういう仕事を選んだからなんだけど、わたしは工学部の出身で、そのあとメーカーの開発部に入社した人間。
書く習慣などゼロだった。
ただ、書く習慣ゼロの人間が、突然、マグロに進化するはずがないので、どこかにきっかけがあったはず。
わたしは進化の起源を追った。

◇ ◇ ◇
広報関係の仕事の入り口は、制作会社への転職だった。わたしはこの時点で確実に「書く」ことを意識している。
ライター修行をする。
その目的のために確信犯的に入社している。
なぜライター修行がしたかったのか?
小説業のためだ。
公募賞でデビューしかけたため、もう少し実力をつければその道で通用すると思ったのだ。
まあ、そんな甘いものではないのだが、ただ、小説が書ける時点ですでに「書く習慣」はある。
もっと前か……。
よろしければ、最新の作品を!
◇ ◇ ◇
その前の会社は、とんでもない草食系ブラック(※ 社員のやる気・能力・成長機会を根こそぎ奪う会社)で、仕事らしい仕事がまったくできなかった。
その反動で創作欲が刺激されたものと思われる。
ただ、そのときに書く習慣はすでにあった。
ブログとSNS。
出版社から「ぜひ作品を出版させてください」と言われ、打ち合せに赴いたとき、先方から、
「これまで小説をたくさん書いてきたんですか?」
と聞かれ、正直に、
「いえ、今回のが初めてです。でも、ブログを書いてたから、それがトレーニングになったんですかねー」
と答えた記憶がある。
オレの馬鹿ーーー!
嘘でいいから、50本書きましたとか言っとけよ。
(だから、受賞を取り消されるんだよ。)
まあ、ともかく、ブログに精を出していた時点でそれなりにちゃんとした文章が書けていたことがわかる。
ここでも答えには至っていない。
なんでブログが書けてるのよ。
それって長文じゃないの?
君、まったく文章書いてこなかったのに。
もっと深く潜る必要がある。
草食系ブラック企業の話もちゃっかり作品にしています(転んでもただでは起きません…笑)
◇ ◇ ◇
どこで文章を書く習慣を身に着けた――?
そんなに大げさじゃなくていいから、
自分の頭で文章を書く
それを何度も推敲する
それを実践したのは、いつ、どういうきっかけよ?
潜れ! 潜れ! もっとキャリアを深ぼれ!
……………………
……………………
ああ……、だいぶ深く潜ることになったな。
まちゃおだよ。
大学教授。
研究室の時代だな……。
みんなから嫌われていた研究室。
学生がぜったいに入りたくない研究室、ナンバーワン。
そのときはよくわからなかったんだよ。
なんで、みんなからそんなに嫌われてるのか。
すぐにわかったよ。
研究室に入ってしばらくして、まちゃおに質問したんだ。
研究テーマについての、ちょっとした質問だったと思うよ。
あん? おまえ、ロボットか! おれがそうしろって言ったらそうするんか? 死ねって言ったら死ぬんか?
マジ切れされた。
ええーー、そんな感じなんだ!
これじゃ、なにも聞けないじゃん……。
教授とのコミュニケーションが早々に絶たれる。
が、こちらとしても卒論を書かなければ卒業できない。
ピンチ!
◇ ◇ ◇
ある日、別にたいした考えはなかったのだけど、卒論のドラフトを印刷して、机の上に置いて帰宅した。
すると……、朝……、
赤入れしてある!
まちゃおのコメントが入っている。
わたしはそのコメントを手掛かりに、ドラフトを手直しして、最新バージョンを机の上に置いて帰宅した。
翌朝、またまちゃおの赤字が!
そうか、この人は気になって仕方ないんだ。机のうえに論文が置いてあるとつい見ちゃうし、見ると何か言いたくなってしまう。
なるほど……。
それから、わたしとまちゃおの文通がはじまった。
歴戦の先輩たちもビビる現象だった。
(そのシステム、すげえなぁ!)
わたしとまちゃおの文通は続いた。
そして、なんと――
難易度Sクラスの研究室で、わたしは一番最初に論文を仕上げてしまった。
わたしが優秀だったわけではない。
毎日の文通で、教授のフィードバックが入る回数が圧倒的に多いがために、最速で仕上がってしまったのだ。
そうか、まちゃお、あなただったのか……。
わたしに最初に「書く習慣」を授けてくれたのは。
師弟の笑顔で話を終えたいところなのだが、話にはまだ続きがある。
学校推薦、つまり、まちゃおの推薦状で、わたしは当時大手だった電機メーカーに就職した。
しかし、わたしはエンジニアとして優秀だったわけではなく、ライターのポテンシャルがあっただけなので、仕事が合わず1年半で辞めてしまった。
大学院に残った友人と会うためにキャンパスを再訪したとき、まちゃおの研究室にも立ち寄った。
まちゃおは最初は笑顔だった。
「おお、よく来たな。元気でやっとるか?」
自分の教え子を通じて、企業とのパイプが増えたのだから、それはご機嫌だろう。
しかし、わたしの「もう辞めました」の報告を聞き、態度が一変する。
いい加減にしろよ、おまえええーーー!!
最後も、まちゃおは怒の顔だった。

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作家デビューできたら、あらためてまちゃおに挨拶に行こうと思います。まちゃおの笑顔のためにも応援よろしくお願いします!
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