エピソード0だった /『モータルコンバット』前作の履修
明日、映画と映画の予約の間に3時間ほど空き時間がある。
どうせならその時間も何か観ようと思って、公開初日を迎える『モータルコンバット』を予約した。
その後、前作があることを知り、U-NEXTで慌てて観ることになった。
正直、続編を見るための下準備。
それくらいの認識だった。
⸻
ところが、これが思った以上に面白かった。
最初に感じたのは、説明の合理的な少なさ。
映画はどんどん先へ進むが、必要なものはきちんと置かれている。
たとえばカノウと年配の女性パイロットとのやり取り。
「あんたの母親は30年前に死んだんだろ?」
「夢を壊すな」
ほんの一言二言なのに、関係性が見える。
私はなんとなく、
「ああ、カノウのオカンなんやな」
と思っていた。
⸻
この映画は、説明する代わりに匂わせる。
だからこちらは勝手に補完する。
途中から、私は格闘技映画を観ている気がしなくなっていた。
ライデンの神殿は、ピラミッドにも見えるし、
ギリシャ神殿にも見えるし、神社にも見える。
登場人物も、
忍者がいて、
神様がいて、
禅僧みたいな武闘家がいて、
義手の兵士がいて、
口の悪い傭兵がいる。
心の中で、
「まるで格闘技万博やな」 と思っていた。
様々な神話や文化や武術の坩堝のような世界だった。
⸻
途中までリュウ・カンの名前すら知らなかったが、
「外見は図書館が似合いそうな文系青年やな」
と思った。
ところが服を脱いだらとんでもなくムキムキだった。
さらに、戦い方より思想を教える。
私の中では完全に「禅僧武闘家」。
⸻
クン・ラオも印象的だった。
最初は闘い方はムエタイっぽいな、くらいの印象。
けれど彼が死んだ時、「ラオーー!!」と、嘆くより先に、
「その死がパーティを固めたな」と思った。
ラオがいなくなったことで、仲間たちは変わった。
彼は、物語の中で確かなものを残した。
⸻
カノウも同じだ。
最初は面白いキャラクターだと思っていた。
覚醒し、裏切り、そして死ぬ。
振り返ると、彼はソニアにマークを渡すための贄でもあった。
その役目が実に見事だった。
⸻
ジャックスの腕も良かった。
単なる機械腕ではない。
失われた腕を取り戻す話であり、
想いによって補強される腕に見えた。
⸻
コールの能力の場合は、鎧というより
「必要な時に武器になる体」に見えた。
家族を守る男らしい能力だと思った。
終盤。
妻と娘が氷に閉ざされる。
でも私は彼女たちが死んだとは思わなかった。
冒頭のハサシの妻子は、氷の剣で刺し貫かれていた。
あれは明確な死だった。
一方エミリーとアリソンは違う。
私にはあれが、「氷のサナギ」に見えた。
この映画は最初から血の継承を描いている。
ハサシ。
コール。
そしてエミリー。
だから物語として、まだ彼女は終わるはずがないと思った。
⸻
最後はハサシとビ・ハン。
忍者同士の戦いというより、氷と地獄の業火だった。
あそこまで来ると格闘技ではなく神話である。
⸻
そしてラスト。
ジョニー・ケイジのポスターが映る。
その瞬間に分かった。
明日予約した『モータルコンバット ネクストラウンド』
これは満を持しての続編だ。
前作公開は2021年。
当時の観客は、この続きを5年待った。
私は明日、その続きを観る。
予習のつもりで観始めたが、今は自分の幸運に感謝している。

