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待宵草が教えてくれる「待つこと」の大切な意味

一日の中でいちばん好きな、そして、いちばん心細い時間が訪れる。
家族の気配も、今日の仕事の後片付けも、すべてが眠りについたあとの深夜。
私はリビングの大きな電気を消し、小さな間接照明をひとつだけ灯す。

 
お気に入りのマグカップにハーブティーを淹れる。
湯気とともに立ち上る香りを吸い込んでも、日中外の世界に向けて張り詰めていた心の強張りは、そう簡単には消えてくれない。

 
ふと、レースのカーテン越しに窓の外へ目をやる。
庭の片隅、昼間はただ静まり返っている草むらがあった。
けれど、誰も見なくなったこの夜の底で、その植物は月明かりを浴びて、ぽっと小さなランプを灯すように淡い黄色い花を咲かせている。

 
待宵草。
夜の静寂の中でだけひっそりと輝き、朝を迎える頃には、黄色から淡いオレンジ色へとその身を染め変えてしぼんでいく。

 
そのどこか不器用で短い命をじっと見つめていると、胸の奥がちりちりと焦るように痛む。

 
これまでの人生、私は正しく歩んでこられただろうか。
あの時の選択は、本当にこれで良かったのだろうか。
そんな風に、もう戻せない過去を振り返っては小さくため息をつく夜がある。

 
けれど、じっとその淡い黄色を見つめているうちに、いつしか胸のざわめきからほんの少しだけ自由になれる気がした。

 
この花も私と同じなのだろう。
誰に見られるわけでもない暗闇の中で、ただじっとこの夜の時間を生きている。

 
焦って何か答えを出す必要なんて、ないのかもしれない。
この揺らぐ心のままで、ただじっとこの静かな夜が過ぎるのを待っていればいい。

 
温かいお茶を一口、口に含む。
明日になれば、また些細なことに心が揺れることもあるかもしれない。
それでもこの夜の静けさと、ひっそりと咲く花の佇まいだけは、今の私を少しだけ甘やかして、包み込んでくれるような気がした。

 
夜はまだ深く、どこまでも穏やかに続いている。
私の心には、焦りとは違う小さくて静かな温かさが、そっと灯っていた。

 
 


 
答えを急がなくてもいい。
ただ、この揺らぐ心のままでいい。

そんな夜の片隅に、この物語をそっと置いておきます。
あなたが過ごす今夜が、どうか穏やかなものでありますように。

 
 
🌸感謝🌸


素敵なマガジンの仲間に加えていただき、ありがとうございます。
私の紡いだ言葉が、新しい場所へと繋がり、また誰かの心に届くきっかけをいただけたこと、本当に嬉しいです。

 
🌸ゆうさん


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どんな空の下でも、あなたはあなたらしく。

hanatoshiki

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