見出し画像

「牧野富太郎と山」を読みました|読書日記・大人の読書感想文


山を見ると、なぜか心が静かになる。
そんな感覚を私はずっと大切にしてきました。

けれど、牧野富太郎さんのエッセイを読んだとき、
その静けさの奥に、まったく別の世界が広がっていることに気づかされました。

多くの人にとって、山は癒しの場所です。
美しい景色を眺めて深呼吸をして、心を整える場所。

けれど牧野さんにとって山は、
ただ美しいだけの場所ではありませんでした。

そこは、問いがあふれる場所。
そして、その問いに魅せられてしまった人間が、
引き返せなくなる場所でもあったのだと思います。

「なぜ花は匂うのか」
そんな一見すると素朴な疑問さえ、彼はそのままにしません。

山に入り、植物を観察し、答えを探し続ける。

「利尻山とその植物」で遭難しかけた話は、
読んでいて少し怖くなるほどでした。

けれど同時に、こうも思ったのです。

ここまで「知りたい」と思えるものに出会える人生は、
どこか羨ましくもある、と。


私たちはつい、
安全な場所でほどよく満たされることを選びがちです。

けれど牧野さんは違いました。

山の中で出会う植物ひとつひとつに、
心を奪われ、人生を預けるように向き合っていました。

「夢のように美しい高山植物」という言葉も、
ただの感想ではなく、
彼の人生そのものからにじみ出た言葉のように感じました。

山とは、ただ静かで癒される場所ではなく、
そこには無数の命があり、理由があり、物語がある。

そして、その一つひとつに
名前を与え、意味を見出そうとした人がいた。

山は、ただの風景ではない。
そう気づかせてくれる一冊でした。

もし今、少し心が疲れているなら、
この本を読んでみてほしいです。

静かに癒されるだけではなく、
「何かを深く好きになること」の強さを、
そっと思い出させてくれるはずです。


※当記事はAmazon.co.jpアソシエイト・プログラムの参加者であり、リンク先の商品が購入されると紹介料を受け取ることがあります

いいなと思ったら応援しよう!

∞三愛はな∞🎀癒しのkindle作家、寄り添いライター よろしければ応援お願いします! いただいたチップはクリエイターとしての活動費に使わせていただきます!