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根付きのエコシステムを設計する : 見えない層に届かなければ、根付きは表面で止まる

運命レボリューション Season 13「根付きの技術」EP10
「文化を変えよう」と言ったとき、何を変えることを想定しているか。

ロゴを新しくした。スローガンを作った。研修を実施した。でも、一年後に何も変わっていない。

こういう経験を持つ人は、組織でも家族でも、少なくないと思う。

なぜか。変えようとしたものが、文化の表面だったからだ。


文化には3つの層がある

組織心理学者のエドガー・シャインは、文化を3層の構造として捉えるモデルを提唱した。

第一層:人工物

目に見えるものだ。建物の雰囲気、服装、会議の進め方、使われる言葉、掲示物。観察すれば誰でも確認できる。

第二層:標榜する価値

組織や集団が「大切にしている」と言う価値観だ。ミッション・バリューとして明文化されていることも多い。「私たちは○○を重視します」という言葉がここに当たる。

第三層:基本的前提

最も深い層だ。無意識のうちに共有されている前提や信念のことだ。「当たり前」として疑われていない認識の集まり。

シャインが強調したのは、第三層に届かなければ、文化は本当には変わらない、ということだ。


表面だけを変えると何が起きるか

第一層だけを変える例を考えてみたい。

オフィスをオープンなレイアウトにした。でも、誰も話しかけない。なぜなら、「業務中に話しかけるのは迷惑だ」という第三層の前提が変わっていないからだ。

「失敗を恐れずチャレンジしよう」というスローガンを作った。でも、失敗した人が実際には評価を下げられる。なぜなら、「失敗は恥だ」という第三層の前提がそのままだからだ。

表面の変化が第三層の前提と矛盾するとき、人は第三層に従う。言葉より、深く刷り込まれたものの方が強い。

これが、変えたつもりでも何も変わらない、という現象の構造だ。


第三層にどうアプローチするか

では、基本的前提にはどうやって届くのか。

シャインが示すのは、第三層は直接変えようとしても変わりにくい、ということだ。なぜなら、それは「前提」だから。問いかけられること自体が想定されていない。

アプローチは迂回路から来る。

第一層の経験が蓄積されることで、第二層の価値観が実感として定着し、時間をかけて第三層の前提が書き換えられていく。

この過程は、時間がかかる。でも、そのぶん深く根付く。

根付きの設計が長期的な視点を要求するのは、ここに理由がある。


自分の場で見えない層を探す

S12 EP10では、共創のエコシステムを育てることを見た。S13 EP10では、その文化を根付かせる深さの話をしている。

自分が関わっている場に、シャインの3層モデルを当てはめてみると、面白い観察ができる。

見えているもの(第一層)は何か。言葉に出しているもの(第二層)は何か。誰も口にしないが、全員が共有しているもの(第三層)は何か。

第三層を探すヒントは、「なんとなくこうすることになっている」「これを疑う発想が浮かばなかった」という感覚の中にある。

その前提が、根付きを支えていることもあれば、根付きを阻んでいることもある。


設計できるようになったとき、次が見える

S12 EP10からS13 EP10への変化を整理すると、こうなる。

S12では「エコシステムを育てる」段階だった。共創が起きる土台を作ることを見た。

S13では「根付かせる」段階に入っている。育てた土台が、時間をまたいで継承される文化になるために、何が必要かを見ている。

その答えのひとつが、第三層への届き方を意識することだ。


今日の一手

自分が関わっている場で、言語化されていないが全員が共有していることを一つ書き出してみる。

それはどんな前提か。「失敗は許されない」か。「遠慮が礼儀だ」か。「誰かが動くのを待つ」か。あるいは、もっとポジティブなものか。

前提に名前をつけることが、設計の始まりになる。


あなたに聞いてみたい

あなたが関わっている場で、誰も口にしないけれど確かにある「前提」を一つ教えてもらえますか。


次話へ

設計できるようになったとき、次の問いが来る。

誰かに渡せるか。次の担い手が育つとき、根付きはもはや自分一人のものではなくなる。EP11「次の担い手を育てる技術」で、文化を渡す設計を見ていく。


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