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わくわくは、すぐそばに。日常の中に心躍る瞬間を見つける

 北海道の地方にある町に暮らしていると、都市部からやってくる人に「正直、退屈じゃないですか?」と、ストレートに聞かれることがあります。

 確かに、話題の店や派手なイベントは少ないかもしれません。だからこそ、都市部ならどこにでもあるようなチェーン店ができるだけで大きな話題になりますが、そういった機会もそう多くはありません。

 「地方は刺激が足りない」と言って敬遠する人がいるのもまた事実です。ただ、どこに住もうとも、身近な場所にこそ、別の豊かさがあるように思うのです。

 近所を散歩していると、歩道に面した庭先に咲く花々に心を奪われることがあります。限られたスペースの中で、季節の花々を丹精込めて育てている方がたくさんいます。

 北海道では春に咲くクリスマスローズをはじめ、ミヤマオダマキやプルモナリアが、夏にはサルビアやルドベキアが、それぞれの庭で思い思いに咲き誇ります。

 道端に目を向ければ、タンポポやハコベ、カタバミといった野草たちが、誰に言われるでもなく、けなげに花を咲かせています。

 園芸種であっても野草であっても、美しさに変わりはありません。むしろ、力強さとかれんさが共存する野草には、特別な魅力があるように感じます。

 よく観察してみると、一つ一つの野草が、繊細な造形美を持っていることが分かります。葉の付き方は左右対称に、花びらは放射状に広がるなど、一定の秩序を持っています。時には、あまりに小さな花に出会って、見落としていたことに気付くこともあります。

宮崎県日南市飫肥 Obi 20191110

 以前のわたしは、「わくわく」を感じるためには、とにかく外へ出ていかなければならないと思っていました。

 まだ行ったことがない場所を旅したり、新規出店した話題の店や美術館、博物館に足を運ぶことで、刺激を得ようとしていました。面白いもの、美しいもの、新しいもの、知らないものを求めて、常に移動することが必要だと思い込んでいました。

 しかし、いつも新しい場所に行かなければわくわくできない、というのは、ある意味で不自由なことかもしれません。

 都市部にある新しい店がまぶしく映るのはその通りです。でも、一度行ってしまえばその新鮮さは薄れてしまいます。

 そうなると、また次の新しい場所を探さなければならない。この繰り返しは、どこか疲れてしまうものがあります。

 今なら分かります。日々の暮らしの中にこそ、かけがえのない「わくわく」が息づいているということを。近所の庭の移ろい、小道で出会う季節の野草たち、どれもが心を豊かにしてくれる宝物になりうることを。

 もちろん、旅に出ることは大好きですし、これからも続けていくでしょう。ただ、わざわざ遠出をしなくても、すぐそばに「わくわく」は存在しているのだと自分なりに理解できたことは、決して小さくはない発見でした。

 日常の中で、特別なことをしなくても心躍る瞬間を見つけられる。そんな感性を育てることができれば、退屈を感じるひまはないのかもしれません。

 むしろ、そうした心の持ち方こそが、本当の意味での自由につながっているような気がしています。

岩手県奥州市水沢大畑小路 Mizusawa 20220507

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