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photochemie
葉月のころ
庭のバラの葉を一枚つまみ、日に透かしてみる。
小さな虫食いの穴から、光が抜けた。
春には、穴ひとつなかった。光は若い葉をやわらかな緑に透かし、手のひらに淡い影を落としていた。八月の葉は、あちこちからむき出しの光をこぼす。虫に食われた穴。風に裂けた葉先。日に焼けて、色の抜けたところ。
葉に残る傷みは、移ろう季節を引き受けてきた証しでもある。
葉は動けない。ただ、雨を受け、光を集め、蕾を育て、花を支えてきた。風が吹けば揺れ、暑くても黙って耐えてきた。無傷でいることは、はじめから選べなかった。
八月は、葉月ともいう。
庭はいま、若さだけではない緑で満ちている。ここまで生きてきた葉が、それぞれの顔つきで光を受けている。
一枚一枚の姿が、いまのじぶんにはただ眩しい。
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