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食卓に、初夏が来る

 台所に、初夏の色が並んでいる。

 トマトの赤。キュウリの緑。さっとゆでたアスパラの、まっすぐな青さ。特別な料理を作るわけではない。洗って、切って、火を通して、皿にのせる。それだけで、食卓が少し明るくなる。

 冷蔵庫が低く鳴っている。窓の外では、先日迎えたバラの花が揺れている。夕方の光はまだ強く、けれど一日の終わりへ向かって、ゆっくりやわらいでいく。

 大きな出来事は何もない。誰かに報告するほどの一日でもない。

 それでも、食べるものがあり、風があり、明日を迎える体がある。

 もっとも豊かな季節のさなかに、いま、わたしはいるのだ。

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