紅い糸、空へ溶ける
秋の朝、庭にミズヒキの赤い線が引かれている。
細い茎に、紅い花が点々と連なる。近づけば、紅の奥から白い雄しべがはにかむようにこちらを見つめている。
心から美しいと思える一本に出会うのは難しい。土が肥えすぎれば茎は太くなり、繊細さを失う。朝晩の冷え込みが足りなければ、紅も白もぼんやりと霞んでしまう。
理想は、今にも空気に溶けてしまいそうな、はかない一筋。視線をたどっていくと、その先で消えゆく紅い糸が、見えない何かと繋がっているような——そんな余韻を残している。
秋風に揺れる赤い線が、季節の移ろいを告げている。か細くも、確かに此処と彼方を結んでいる。
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