私がやって良かったこと/上手くいかなかったこと/今だったらやりたいこと|犬の認知症#3
今回は犬の認知症、中期の症状が出始めてから。
私の経験を踏まえてまとめていきます。
「夜に起きて徘徊する」
「同じ場所をぐるぐる旋回する」
「転びやすくなった」
「トイレの失敗が増えた」
「食べムラが出てきた」
犬の認知症(認知機能不全症候群:CCDS)の“中期”は、
こうした変化が重なって、飼い主さんの生活にも影響が出てくる時期だと感じます。
私自身、いちばん辛かった場面のひとつは、
認知症の見当障害のせいか、
ハァハァ言いながら立てなくなって鳴く姿を見ることでした。
助けたいのに、どうしたらいいのか分からない。
そして少しずつ、コミュニケーションが一方通行になっていくのが、
とても悲しかったです。
この記事では、私が中期に経験した介護を
やって良かったこと
上手くいかなかったこと
今だったらやりたいこと
を中心に、飼い主さん目線でまとめます。
※似た症状でも、痛み(関節痛など)や内科疾患が隠れていることがあります。まずは動物病院で相談しながら進めるのが安全です。
中期の症状
中期(中等度)の症状は、脳の機能低下だけでなく、
筋力低下・関節の不調・視力や聴力の低下など
“身体の衰え”も重なって複雑化します。
だからこそ、対策も「ひとつ当てれば解決」ではなく、
暮らし全体を見て考えることが大切になります。
中期に起こりやすい変化
方向感覚の喪失:家の中で迷う、家具の隙間に頭を入れて出られない、ドアの開く側が分からない
知覚の変化:壁や床の一点をじっと見つめる
睡眠・覚醒リズムの崩れ:昼夜逆転、夜泣き、夜間徘徊
排泄・学習の低下:トイレの失敗、合図の消失、コマンドが通りにくい
常同行動と不安の増大:旋回、徘徊、舐め続け、音への過敏、分離不安の悪化
社会性の変化:反応が薄い/イライラして唸る・噛むなどの攻撃性
ここからは、私の経験をベースに、項目ごとに「やったこと」を具体的に書いていきます。
1)徘徊・旋回/転倒が増えたとき
中期になると、家の中でも**“空間迷子”**が起きやすくなります。
ドアの開く側を認識できず、
開かない側(蝶番側)に鼻を押し付け続けたり、
家具の隙間に頭を突っ込んだままバックできずに固まったり。
視覚情報の処理が不安定になり、
体の動かし方(運動記憶)とのズレが起きる…という説明は、
とても腑に落ちました。
そして徘徊や旋回が増えると、転ぶ・ぶつかる・挟まるといった事故リスクも一気に上がります。
実際に徘徊が始まって、ぶつかったことで目が傷ついてしまったこともありました。
(気づいてすぐに病院で点眼薬を処方してもらって良くなりました。)
やって良かったこと
■ 円形サークル(角をなくす)
四角いサークルだと、角に頭を突っ込んで動けなくなることがあります。
そこで、角のない円形サークルにしたことで、挟まって動けなくなるのを防ぎやすくなりました。
円形サークルのポイント
形:円形(または多角形)を優先。角を減らす
内側:衝撃吸収マットや緩衝材(ぶつかった時のケガ・音を軽減)
床:滑り止めを徹底(吸着マット+シーツ固定など)
空気:サーキュレーターで循環(臭い・熱がこもる対策)
■ 歩行補助ハーネスで体を支える
歩けなくなってからではなく、「危なっかしい」「転ぶ」段階で、
歩行補助ハーネスが支えになりました。
立ち上がり、方向転換、段差など、
“崩れやすい瞬間”を少し支えるだけで、転倒が減ることがあります。
上手くいかなかったこと(うちの場合)
■ サポートクッションが合わず落ち着かなかった
体を支えるサポートクッションとして、リラクッションを試しました。
でも、うちの子には合わず、落ち着かないことがありました。
当たる感覚がストレスになっていたのかもしれません。
同じ商品でも、合う・合わないは個体差が大きいです。
(合わない時の調整案)
高さや硬さを変える
当たる面積を減らす
短時間から慣らす
いったん別の方法に切り替える
リラクッションは素晴らしい商品だと思います。
ただ、色々試すとなると金額もかかってくると思うので、
参考のひとつとして、正直レポートです。
2)日光浴・外に出る工夫(“短く安全に”)
中期になると、外に出ること自体が難しくなります。
でも、可能なら“少しでも外を歩く”ことは、刺激にもなりますし、
気分転換にもなります。
やって良かったこと
■ 歩行補助ハーネスを使って、短時間だけ外を歩く
ポイントは「距離」ではなく「安全」と「成功体験」でした。
■ 安全な場所を選ぶ(転んでも痛くない)
自宅の庭
河川敷(地面が柔らかく、段差が少ない場所)
など、転んでも衝撃が少ない場所を選ぶと、不安も減ります。
※無理に歩かせるという意味ではなく、
「歩きたい・匂いを嗅ぎたい」を短く叶えるイメージです。
3)ご飯:食べムラが出たとき
中期になると、食欲が安定しない子もいます。
食べない日が続くと体力が落ちて、
結果的に夜の不穏が強くなることもあるので、
私は「食べられる形」を優先しました。
※食欲がない日が続いている、
下痢や嘔吐がある場合は早めの受診を勧めます。
やって良かったこと
ウェットフードを混ぜる(香りが立って食いつきが上がりやすい)
ふやかす(固いものが食べづらい時の負担軽減)
ドライフードを一粒ずつあげる(食べるスイッチが入ることがある)
うちの場合は、その日によって気分が変わり、
1日の中でもいろんな状態を試しながらあげていました。
(その子の気分に合わせて試行錯誤の日々。
食べムラが出てくると **あるある**になってきますよね)
4)夜泣き:夜の徘徊に付き合い続けるのが限界になったとき
中期で最も深刻になりやすいのが、睡眠の乱れです。
老化に伴うセロトニンの減少や、メラトニン分泌のタイミングのズレで、
昼夜逆転が起きやすくなります。
夜に覚醒した場合、暗闇や孤独への不安から吠え続けたり、
徘徊したりします。
この吠えは、単なる要求吠えではなく、
**脳の混乱から生じる“困惑の叫び”**であることが多いと言われています。
私がやったこと
夜起きて、旋回に付き合うことも多々ありました。
でも、これは続くと飼い主側が体調を崩したり、
メンタルが限界を迎える可能性があると感じました。
■ 病院に相談して、眠くなる薬を処方してもらった
上手く歩けなくなってからは、
夜の不穏も強くなり、動物病院に相談しました。
眠くなる薬のおかげで、寝てくれる日もありました。
※お薬の効果には差が大きく、なかなか効果が見られない場合もあるかもしれません。それでも、抱え込んで限界を迎えるより、一度は相談してみるのも一つだと思います。
※夜泣きの背景には、認知症だけでなく痛みが隠れていることもあります。
「立てずに鳴く」「ハァハァする」などは、セットで相談するのがおすすめです。
5)トイレの失敗:おむつで生活
中期では、
「トイレの場所が分からない」「合図を忘れる」
という要素が重なって、失敗が増えやすくなります。
やって良かったこと
■ おむつで対策
「失敗をゼロにする」よりも、
片付けとストレスを減らすのも大切です。
※前回にも書きましたが
気になってつけさせてくれない子や
おむつを食べちゃう子は無理にしないでください。
皮膚が弱い子やおむつかぶれにも要注意です。
6)留守にできない:ペットカメラで“短時間外出”
中期になると、心配で留守にするのが難しくなることがあります。
今からの飼い主さんにおすすめしたいこと
■ 自宅の環境で導入が可能なら、ペットカメラ
カメラで確認しつつ短時間だけ外出
“大丈夫だった”を積み重ねる
何か問題が起こった時にすぐに帰れる距離にする
そして最近は、レンタルがあるのも良い点だと思います。
「うちの環境で使えるか不安」「買って使わなかったら嫌」
という方は、レンタルから試すのもひとつです。
7)今だったらやりたい:手作り車椅子(安全第一で)
今なら、手作り車椅子をやってみたいと思っています。
目的は、「歩きたい」「立ちたい」を少しでも叶えるため。
ただ、動物看護の観点から見ると、ここは注意点もあります。
怪我や事故が起きないこと
破損しないこと(部品の外れ・尖った部分・擦れ)
装着中の体への負担(圧迫・擦れ)
手作りするなら、安全性を最優先にしつつ、使用時はそばにいることを心がけたいです。
8)触り方の工夫:「びっくり」を減らす
中期は、視力や聴力も落ちていることがあります。
急に触ると、特にびっくりしてしまう子もいます。
私は、
ゆっくり優しく体の側面から触れて、徐々に背中や頭に移動して撫でる
という触り方を意識すると、落ち着いてくれることが増えました。
もしも認知症で辛い時間が増えたなら、
落ち着いている時にそばでゆっくり撫でる時間を大切にしてほしいです。
さいごに
認知症が進み、大変なこともありましたが、
今思えば、一生懸命、愛犬のことを思いながら試行錯誤を繰り返した大切な時間でした。
でも、もっと知っておけば違ったのかな?他にもいろいろ出来たのでは?
と言う思いもゼロではありません。
この記事で、今、同じように悩んでいる方の心が、
少しでも軽くなりますように。
次回は、飼い主さんのメンタルケア
(喪失感、罪悪感、孤独感、)
についてまとめようと思います。
