【第6章】成功の裏で削られる心。私が下した「本部長降格」の決断
収入も増え、サロン経営は順調そのものでした。しかし、人生の歯車は思わぬ方向へ回り始めます。
私をここまで育ててくれた大切なインストラクターの方と、販売会社との間でトラブルが起きてしまったのです。私の耳に飛び込んでくるのは、大好きなインストラクターの方に対する組織からの悪口ばかり。毎日のように聞かされるネガティブな言葉に、私の心は少しずつ削られ、母も亡くなったこともあり、不安定になっていきました。追い打ちをかけるように、そのインストラクターの方が会社を辞め、遠く離れたご実家へ帰られてしまったのです。
「これから先、私だけでやっていけるのだろうか......」急に一人取り残されたような、激しい不安が襲ってきました。
一人ではこの心の痛みを乗り越えることができず、私は必死に自分を保おうと模索しました。カウンセラー養成所に通って心を学び、あえて全く違う業界の人たちと交流を作って、なんとか前を向こうと努力したのです。けれど、一度組織に対して抱いてしまった不信感は、どうしても消えることはありませんでした。
その時、私は冷静に自分の未来を見つめ直しました。「この仕事をこのまま続けても、これ以上、自分自身が成長することはできないな」と、はっきり分かったのです。
誰かに対する悔しさや、組織への不満はありませんでした。周りのせいにしたところで、何も始まらない。この状況を見て、ここで身を引くと決めるのは、他でもない「自分自身の意志」だからです。
そんな時、県外の実家の父認知症が進んでいて(母が亡くなったから)その瞬間、私の心の中で、すべての点と点がつながり、一つの決意が固まりました。「父に親孝行ができるのは、今しかない」子供たちはすでに大学生。娘が結婚して孫が生まれれば、私の身動きは今のように取れなくなります。それに、実家では妹の娘(姪)が父と暮らしてくれていました。(妹は再婚して、家を出ていました)これ以上、若い姪にばかり負担をかけるわけにはいかない。「父の介護を理由に、本部長を降格させてください」私はそう願い出ました。不満を抱えて立ち止まるのではなく、自分の決断で新しいステージへ進む。そうやって私は、住み慣れた土地を離れ、県外の実家へ帰る覚悟を決めたのです。
人生の選択を迫られたとき、周りのせいにせず自分の意志で決める。それが、私なりの前を向く方法でした。もし今、人生の岐路に立っている方がいたら、この記事が少しでも背中を押すきっかけになれば嬉しいです。
