激動のイランに思いを馳せる。Kindleで50%ポイント還元の『テヘランでロリータを読む』
現在進行系で激動している世界情勢のなかでも現在進行系中の現在進行系のイラン戦争ですが、イランといえばテヘラン、テヘランといえば『ロリータ』というのはストレートな連想です。
このテヘランと『ロリータ』をつなぐのが『テヘランでロリータを読む』です。
多くのひとに伝わっているように現体制のイラン・イスラーム共和国は宗教的な全体主義です。イスラームで女性は服装の戒律が厳しいです。自由な発現や思考の余地がありません。
そういう国の真ん中でナボコフ『ロリータ』という、西洋文学のなかでもとりわけ問題になる作品を読むということがどれだけ危険なことかは容易に想像できます。
『テヘランでロリータを読む』の著者アーザル・ナフィースィーは、このテヘランにある大学で英文学を教えていたナボコフ研究者です。イスラーム革命の動乱によって社会体制が大きく転換し、ベール着用の強制のような「どうやって暮らすか」までが体制によって決められる出来事が現在進行系で起きる戸惑いそのものが描かれています。
ただし、著者の回想に登場する女性たち(学生たち)について、読んでいて印象的だったのですが、たとえば革命前は非常に裕福な生活をしていたのが革命後はそれを失ったという描写が出てきます(もちろん、匿名化の過程では複数のひとからの様々なエピソードが混ぜ合わせられているでしょう)。
これは大きいです。つまり、そこには元々大きな貧富の格差があったということにほかならないわけです。
そうしたかつての革命以前の日々を懐かしんでいるひともいる一方で、革命はやはりそれを支持する人たちもいます。
単に文学と体制の自由のせめぎあいとしてではなく、この息遣いを読みながら考えるのに『テヘランでロリータを読む』はとても良い本です。
