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【行政書士試験】なぜ40字記述はこんなに苦しいのか?―文字数制限に隠された出題者の意図―


はじめに

行政書士試験の勉強を始めた頃、私は40字記述問題を見てこう思っていた。

「40字しかないのだから、簡単に書けるだろう」

ところが実際に解いてみると、そうではなかった。

模範解答を見ると43字、44字、45字と、ほとんど上限いっぱいまで使われている。自分で答えを書こうとすると、必要なことを書き終える前に文字数が足りなくなる。

最初は「こんなの無理だろう」と思ったが、勉強を進めるうちに、この絶妙な文字数設定には出題者の意図があるのではないかと感じるようになった。

今回は、行政書士試験の40字記述問題について感じたことを書いてみたい。


40字は多すぎず少なすぎない

記述問題の文字数は約40字程度。

一見すると短いように見える。

しかし実際は、法律上の論点を説明するにはギリギリの長さだ。

例えば、

  • 誰が

  • 誰に対して

  • 何を

  • どのような理由で

  • どのような効果を求めるのか

これらを説明しようとすると、すぐに文字数が足りなくなる。

だからといって20字程度なら、単なるキーワード問題になってしまう。

逆に80字や100字あれば、理解が曖昧でも説明でごまかせる。

40字という長さは、

「本当に理解している人だけが正確にまとめられる」

絶妙な文字数なのだと思う。


知識だけでは足りない

記述問題を解いていると気付くことがある。

それは、

「知識があること」と
「書けること」は違う

ということだ。

例えば制度の内容を理解していても、

「〜することができる」
「〜しなければならない」
「〜という場合には」

などの言葉を多く使うと、すぐに文字数オーバーになる。

一方で模範解答は、

  • 取消しを求める

  • 弁明の機会

  • 原告適格

  • 裁量権の逸脱・濫用

  • 信義則

など、法律用語を正確に使いながら無駄を削っている。

つまり記述問題では、

知識

法律用語の運用能力

文章を圧縮する能力

が求められているのである。


記述問題は要約力の試験でもある

行政書士試験の40字記述は、法律知識の試験であると同時に要約力の試験でもある。

出題文には多くの情報が書かれている。

しかし解答に必要な情報は限られている。

そこで受験生は、

「何を書くべきか」

を判断しなければならない。

実際のところ、

何を書くかよりも、

何を書かないか

の方が重要な場合も多い。

余計な説明を書けば、その分だけ重要な要素が書けなくなるからだ。

そのため記述問題は、

情報整理能力

を鍛える訓練にもなっている。


行政書士の実務とも似ている

勉強していて感じるのは、記述問題の考え方は行政書士の実務にも通じるということだ。

依頼者から相談を受けた場合、

話の内容は長い。

しかし行政庁に提出する書類や申請書には、

必要な情報だけを整理して書かなければならない。

長すぎれば読みにくい。

短すぎれば意味が伝わらない。

だから行政書士には、

正確かつ簡潔に文章を書く力

が求められる。

そう考えると、40字記述は単なる試験テクニックではなく、実務家として必要な能力の一部を測っているのかもしれない。


何周もすると見える景色が変わる

記述問題を繰り返し解いていると、不思議な変化が起こる。

最初は45字に収めるだけで苦労する。

ところが何周も解くうちに、

「この問題は結局何を聞いているのか」

が見えるようになる。

例えば、

  • 原告適格を書かせたい

  • 聴聞を書かせたい

  • 理由提示を書かせたい

  • 国家賠償請求を書かせたい

といった出題者の狙いが分かってくる。

そうすると余計な文章を書かなくなる。

結果として、

以前は45字必要だった解答が、

40字以内で自然に収まるようになる。

これは単なる暗記ではない。

制度の本質を理解したからこそできることだ。


記述問題は択一対策にもなる

記述問題の勉強を続けていて感じるのは、択一問題にも強くなるということだ。

なぜなら記述は、

「なぜその答えになるのか」

を理解しないと書けないからである。

択一だけだと、

○か×か

だけ覚えてしまうことがある。

しかし記述では、

制度の趣旨

要件

効果

判例の考え方

まで理解しなければならない。

その結果、知識が立体的になる。

私は最近、行政知識や判例を学んでいると、

「実際の仕事ではこういう場面で必要なのか」

と感じることが増えてきた。

単なる暗記ではなく、法律が現実社会でどう使われているかが見えてくる。

これも記述問題の大きな魅力だと思う。


まとめ

行政書士試験の40字記述は、決して偶然の文字数設定ではないように思う。

40字という制限の中には、

  • 法律知識

  • 要約力

  • 情報整理能力

  • 法律用語の運用能力

が凝縮されている。

最初は文字数に収まらず苦労する。

しかし、その苦労こそが理解を深める過程なのだろう。

模範解答が43字、44字、45字とギリギリなのも、それだけ無駄を削り、本質だけを書いているからだ。

記述問題は確かに難しい。

だが、その難しさの中に行政書士試験の面白さが詰まっている。

これからも一問一問、「なぜこの言葉が必要なのか」を考えながら取り組んでいきたい。

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