【スペース対談文字起こし】書くのが苦しいのですが、どうしたら苦しくなく書けますか
はじめに
このnoteは、2026年2月10日(火)12時〜13時に、Xのスペース機能を使って行われた対談の様子を文字起こしした文章です。
音声でお聞きになりたい方は、以下のポストからどうぞ!
— しぶやあや/ 渋谷亜也 (@aya_shibuya_) February 10, 2026
文字起こしは、この記事の手順に沿って実行しています。
登場人物の紹介
岡本雄太郎さん。今回のスペースの聞き手。スピーカーの二人の著作の編集者さんです。
みくまゆたんさん。狂気の蟹座。「書く人生のはじめかた 文章力より大切な“書き続ける”ための心構え」を先日出版されました!
渋谷亜也。文字弁慶な双子座。「ヒトもAIも仕事は“引き受け方”が9割 断らずに信頼されるための仕事整理術」を2025年12月19日に発刊。
実はスタートして数分でスペースが落ちてしまったので、渋谷が枠を取り直して再開!というところからスタートしています。
OP:渋谷の仕事の速さと「引き受け方」
岡本: あ、渋谷さんありがとうございます。さすが、こういう時に頼りになりますね。
みく: 本当に仕事が早いです。
岡本: そうなんですよ。このスペースの直前にも、僕の仕事を助けていただいて。自分がスパイク打ったことすら全然認識してなかったのに、リベロにフォローしていただいて。
みく: さすがですね。本当に『引き受け方が9割』を地でいってらっしゃる。本当に、バックオフィス的な仕事が専門領域の方なんだなっていうのを、文字起こしの時も感じました。かなり整えられていたので、載せるのが楽だったんです。本当にお膳立てしてくださるから、あとはこれをやるだけ、みたいな状態にしてくださる。
岡本: 渋谷さんが分身できたら、めちゃくちゃ仕事が来ると思いますよ。
渋谷: 私も、もう一人の自分がいたらいいなと思いつつ、それを今AIにお願いしている感じです。
AIと文章作成のあり方
みく: AIを使う難しさもありますよね。
渋谷: あります。「ちげーよ」ってなります(笑)。
みく: 渋谷さんの本の中にも、AIを使うことに対しての「気持ち」とか「自分の言葉」っていう話題がありましたね。壁打ちしながら色々思うことがあるんだろうなと。
渋谷: それは実体験でありました。SNSで丁寧な長文の謝罪文を投稿している方がいて。その人のポストを辿ると「ChatGPT万能すぎる」って書いてあって。文脈的に「この謝罪文、ChatGPTで書いたな」ってバレちゃうんですよね。
みく: 今、謝罪文とかもAIで簡単に作れちゃいますもんね。
渋谷: 文章だけなら作れますが、結構「自動応答」っぽさはまだ出ますよね。AI自体が、入力された文字列に対して「それらしきこと」を返す仕組みなので。
みく: Web関係の人とかAIに慣れている人は、すぐバレちゃうと思うんですよ。「あ、これ(生成AIを)使ったでしょ」って。
現代における文章への期待
みく: 誰でも綺麗に文章が書けちゃう時代だから、文章術というより、その先の踏み込んだ「ストーリー」や「熱量」を求めている人が多いのかなって最近すごく思います。
(ここで岡本さんの回線が一時中断し、再接続)
岡本: すみません、何回も落ちちゃって。
渋谷: 大丈夫です。出るたびにリクエスト承認を連打しています。
岡本: ありがとうございます。また落ちるかもしれませんが、進行します。
スピーカーの自己紹介
岡本: 早速ですが、冒頭に簡単に自己紹介と本の紹介をお願いできますか。渋谷: 渋谷亜也と申します。昨年12月19日に、岡本さんの編集で『人もAIも仕事は引き受け方が9割』という本を出させていただきました。よろしくお願いします。
みく: ライターとして活動しています、みくまゆたんです。この度『書く人生の始め方』という本を出しまして、おかげさまで実売が100部を突破しました。
岡本: 渋谷さんの方も、100部は突破していますね。
本日のテーマ「書くのがしんどい」
岡本: 私、書くのが非常にしんどくてですね。前回のスペースで、渋谷さんは「書くことは歯磨きみたいな感覚」とおっしゃっていました。
渋谷: そうですね。やらないと気持ち悪い、みたいな。
岡本: みくさんも他のスペースで「息をするのと同じ」と。
みく: 当たり前に書くことがある、という。
岡本: 似てますね。僕はそれがすごく衝撃だったんです。僕はライターもやっていた人間ですが、やっぱり書くのがきつくて、辛くて、書きたくない人間なんです。どうしたらそんな風になれるんですかね。
みくまゆたん「書くこと」は「排出」であり「表現」
みく: 私の場合、noteを書く時は「排出」に近いというか、自分の中から出さないと生きていけない感じなんです。すっきりするというか。
岡本: 仮に止められたらどうなります?みく: ちょっとおかしくなるんじゃないですか(笑)。小さい頃から日記も書いていましたし、ずっと書く習慣がついているんです。
渋谷「書くこと」は自己表現のツールのひとつ
渋谷: 私の場合は、みくさんほどではなくて、書かなくても他の方法で「自己表現」できればいいかなって。お芝居(朗読)もやっているので、表現のウェイトがお芝居にある時は、書く方は下がります。
みく: お芝居をされているんですね。
渋谷: どちらかというと習慣なので、やめても平気な感じはあります。でも、「300メートルハードル走をいきなり走れ」って言われても無理なのと一緒で、その前にトレーニングやコツがある。私にとっての「基礎トレ」は、手帳に日々あったことを書くジャーナリングや、Web日記、ブログ、Twitterでした。書き続ける「筋トレ」はずっとしてこれたのかなって。
岡本「単純に、書くより話す方が得意」
岡本: 僕は単純に、書くより話す方が得意なんです。インプットも人の話を聞くのが好き。元々、文字で読むのも苦手で、本嫌いでした。
みく: 本嫌いだったんですね。
岡本: 苦手だからこそ、インプットにおいても文章の微細な「違和感」に気づきやすいんです。得意じゃない人が読んだらここで止まるだろうな、とか。自分の文章に関しても気になってしまって、書く文章はあっさりしています。
みく: そうかな? 最近のXの記事を見ても、岡本さんの個性がしっかり出ているなと思いましたよ。編集の方で、これだけ勢いがあって自分の考えを書ききっている人はあまり見たことがないです。
渋谷: 伝えたいことがコンパクトで、読んでいて「そうそう」って思いました。読みやすかったです。
みく: 自己評価ほど苦手じゃないんじゃないですか。
岡本: 僕は「思考」と「アウトプット」は違うと思っていて。インプットとアウトプットの間に「スループット(熟成)」がある。僕はそれをしちゃうタイプなんです。思考はぐるぐる回るけど、自分の中で体系化できれば満足で、アウトプットをあまり必要としていないんです。
みく: 岡本さんは一つ一つの物事に対してしっかり時間をかけて向き合う人だから、気軽に書けない、という意味なのかなと思いました。
岡本: それはあるかもしれません。
みく: noteを毎日更新される方とか羨ましいって思っちゃいませんか。
岡本: 正直、何度もあります。でも自分の書く行為は、著者さんの素晴らしい原稿を見ているので、ハードルがどんどん上がっていっちゃって。一定の強度がある原稿じゃないと世に出せない、と自分を縛ってしまうところがあります。
みく: 良い文章を読めば読むほどハードルが上がる、というのはありますよね。打ちのめされて書けなくなったり。
岡本: 「書く」という行為と「人に見せる」という行為は別だと思うんです。日記は元々見せるためのものではない。でもXやnoteは不特定多数に読まれる。そこへの違和感がまだ僕の中にあります。
渋谷: 私の場合、2003年くらいからブログを書いていて、実は7,000記事くらいあるブログが一つあるんですよ。
みく: 7,000! すごい。
渋谷: その時は自分の生きた証を残したくて書いていたし、脳内で言葉がいっぱいになるとパンクしそうだから外に出す、という感じでした。外付けハードディスクに置くようなイメージで、書くと楽になる。
岡本: みくさんはnoteの下書きとかあります?
みく: ありますが、ほとんど出しちゃいます。我慢できなくて(笑)。日常で「稲妻」が来た時に、脳内で「こういうのを書いたら面白いかな」って構成が全部できちゃう。キーボードに手を置いた瞬間にはもうできているから、書き始めたらめちゃくちゃ早いです。
岡本: 書きながら考える人もいれば、書くのは設計図を形にするだけの「建設」という人もいる。そこが人によって違うんですね。
渋谷: 私は設計図というより、建築資材を作る感じ。「これとこれを組み合わせたら一つの文章になるかも」とパーツを組み合わせる感じかな。
書くことの初期衝動
みく: 布団の中で朝、寝ながら書いている時もあって。意外とそういうのが読まれたりするんです。ネガティブな内容ではないですが、「子育て大変だな、詰んだ」みたいな話を。
岡本: そういう体験をした時、僕は家族には話したくなるけど、対外的に発信しようとは繋がらないんです。
みく: 書く適性が高い人は、書くことで出す。渋谷さんはお芝居、身体で表現するっていう話でしたね。
渋谷: 私はブログをTwitterのように使って、1日20回更新していた時もありました。脳内整理が必要な時は、家の壁に「100枚付箋」をやります。思っていることを全部付箋に書いて、つながりを整理して。100枚くらいやると「そっか、こういうことか」ってスッキリするんです。
手書きの力と習慣
岡本: 文章書くのが好きな方って、手書きも好きですよね。僕は手で書くのが本当に大嫌いなんです。手帳も大学の時にやりましたが、スカスカなのも嫌でやめちゃいました。
渋谷: 手書きで日記を書いていた世代でもありますよね。
みく: 私、字が汚いんですけど、結構メモを載せているんです。誰も突っ込んでこないから大丈夫かなって(笑)。でもメモを書いて「こういうのをちゃんと書いている」と出した方が、誰かの参考になるかなと思って結構あげています。
岡本さんの『本嫌い』執筆秘話
みく: 岡本さんの『本嫌いのための読書術』を読みました。すごく深いところまで潜って、真面目に一生懸命考えて書かれているから、余計に書くことが苦しいのかなって。
岡本: あの原稿、実はGoogleドキュメントの音声入力で書いたんですよ。7割、8割くらい音声入力です。
みく: ええ! すごい綺麗にまとまっていました。
岡本: 最後はもちろん手直ししましたが、ケバ取り(不要な言葉の削除)をして整えた。要は自分で自分の原稿を編集したんです。だから正直「書いていない」んです。「話している」んです。
みく: でもちゃんとまとまっていて。あー、だから書くのが苦手だって言っていたのがよく分かりました。
岡本さんの本はこちら!
岡本: 編集に関しては、自分の書く行為とは関係なくて。一冊の本で人生が変わった体験を他の人にも広めたいという思いがあります。森博嗣さんの『やりがいのある仕事という幻想』という本に出会って、人生が変わったんです。
みく: 文字でこんなに人間って変われるんだって思いますよね。
岡本: 文字って伝達効率がいいと思うんです。動画や音声は伝えられる分量に限界がある。オーディオブックで8時間音声を聴くのはきついけど、文章だったら読み飛ばせたりもできる。
渋谷: 音声の場合、受け取った側がもう一度頭の中で再構築する作業があるので、実は頭に負担がかかるんですよね。
岡本: 書くことは深い。だから自分に合ったやり方が見つからないときついですよね。
みく: これから書くことで悩んでいる人に伝えるなら、「書けない、書けなくてきつい」という悩みをちゃんと理解しなきゃいけない。私は書かないと死んじゃう派だから。
岡本: エッセイは体験ベースになるので、体験の奇抜さに依存すると書けなくなっちゃう。それで過去の辛い経験を開示して、誹謗中傷を受けて筆を折ってしまう人もいる。
みく: 書く上での自分の守り方が重要ですよね。「これを書いたら自分が今後苦しくなるな」ということは書かないと決めています。
渋谷: 私は直接的にマイナスなことは書かないし、コールセンターで働いていた時の癖で、否定語をあまり使わないようにしています。100人が100人褒める作品にはなり得ない、というのも思っています。
みく: 私も仕事の愚痴、人の悪口、噂話、不確かなことは書きません。
岡本: 渋谷さんの文章は、僕の感覚と近くて分かります。みくさんの原稿は「アメーバ状」というか、違う切り口を次々出してくる面白さがある。
みく: 自分の中で今までにないものを書きたいのと、駆け出しの時の自分が何を欲しがっていたか、というのを意識しています。
岡本: 渋谷さんは今回、言葉を「弱めた」というか、エスプレッソをアメリカーノにした感じ。
渋谷: 最初はもっと攻撃的だったかもしれません。「こういうことありますよね!」みたいな。それを岡本さんから戻してもらって、薄めて薄めて、一部をごっそり削ったりして完成させました。書くことそのものの苦しさは、私はなくて。
みく: 書くことに使命感があるものと、そうじゃないものでも違いますよね。
渋谷: そうですね。本は普段あまり本を読まない人にも手に取ってほしかったので、一気にスパスパ読み切ってほしいなと思って書きました。
「教える」ことと「書く」ことの共通点
みく: 本は受け取った人の役に立つものを書かなければいけないという使命感と責任があるから、そこは悩みながら書きました。
渋谷: 私は教える側(研修講師や家庭教師)を長くやった経験があるので、一人に100%刺さるより、30人が5%ずつ楽になればいいなという感覚で書きました。
岡本: 研修講師って、ロジックがしっかりしていて、簡潔で分かりやすい方が多いですよね。
渋谷: 研修は集中力を持たせないと、飽きられたらアウトなので。特に対面やZoomは表情が見えちゃうから大変でした。スマホ見ながら聞いてるな、とか。そういうのを見ると、伝え方をブラッシュアップしちゃいますね。
ED:それぞれの告知と締めくくり
岡本: めちゃくちゃ面白い話で、僕も録音を聞き直そうと思います。そろそろ締めたいんですが、お二人から告知はありますか。
渋谷: noteで『ヒトもAIも仕事は"引き受け方"が9割』に関連した、ChatGPTの使い方の話などを書いています。
みく: 『書く人生の始め方』を発売中です。noteに感想などのマガジンを作っているので、Amazonレビューも書いていただけると嬉しいです。金曜日にはKindle作家のようこさんとスペースをします。
岡本: 僕の告知は基本みくさんに帯同しているのですが(笑)、どこかで「デジタルファースト出版」について一人語りするスペースをやろうかなと思っています。アーカイブも残しますので。
岡本: 今日はこれで締めさせていただきます。ご視聴ありがとうございました。
