私と酒①
酒は文化だった
私の実家は、酒飲みの家だった。
父は毎晩のように晩酌をしていた。
決して荒れる酒ではなく、仕事が終わって家に帰り、静かに一日の終わりを楽しむような飲み方だった。
子供の頃、父の隣でその様子を見ていた記憶がある。
酒というものは、
大人になったら自然に飲むもの。
そんな感覚だった。
特別なものではなく、
生活の中に普通にあるものだった。
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社会人になってからも、その感覚はあまり変わらなかった。
会社では飲み会があり、
取引先との接待もあり、
サラリーマンとして酒を飲む機会は自然に増えていった。
当時の日本では、
酒は人間関係の潤滑油のようなものだった。
上司と飲み、
同僚と飲み、
時にはお客さんと飲む。
酒の席で仕事の話が進むことも珍しくなかった。
私自身も酒は嫌いではなかった。
むしろ楽しく飲んでいたと思う。
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やがて結婚し、家庭を持った。
仕事をして、
家に帰り、
父と同じように晩酌をする。
酒を飲みながら、妻といろいな話をする。
ごく普通の生活だった。
この頃、酒に関して
自分が問題を抱えているとは一度も思ったことはない。
酒はただの嗜好品だった。
ビールでも、日本酒でも、焼酎でも。
その日の気分で飲む。
それだけのことだった。
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今振り返ってみても、
この頃の酒は、私にとって完全に「文化」だった。
人生を壊すものでも、
逃げるためのものでもない。
ただそこにある、
生活の一部だった。
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だがこの後、
仕事の環境と自分の精神状態が変わり始める。
そして酒は、
少しずつ違う意味を持ち始めることになる。
次回
「酒と鬱が絡み始める」
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