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銚子電鉄の終着駅へ。犬吠埼灯台と太平洋、港町のアジフライ

関東の最東端を見てみたかった。

そしてもう一つ、経営難のなかでも走り続ける銚子電鉄の風情に触れてみたかった。

銚子と聞いて、まず思い浮かぶのは犬吠埼灯台と太平洋だろう。けれど実際に歩いてみると、この町には海だけでは語れない、独特の産業文化があった。

漁港があり、醤油工場があり、その間を小さな電車が走っている。

海と魚と醤油と鉄道。

その全部が、銚子という町の景色をつくっていた。

関東最東端、犬吠埼へ

犬吠埼に着くと、白い灯台が曇り空に向かってまっすぐ立っていた。

灯台の前には、同じく白く塗られた丸型の郵便ポストがある。青空を背景にした爽やかな灯台とは少し違い、この日の犬吠埼には、灰色の空と白い建物がよく似合っていた。

犬吠埼灯台

海岸へ出ると、太平洋の波が岩場へ次々に押し寄せていた。

波は岩にぶつかって白く砕け、しぶきを上げる。穏やかな海を眺めるというより、太平洋の大きさと力を正面から見せられているようだった。

関東の最東端まで来たんだ。地図の端に立ったような気持ちになる一方で、目の前の海はその先へどこまでも続いている。

海だけではない、醤油の町

銚子は、全国有数の水産都市であると同時に、江戸時代から続く醤油醸造の町でもある。

ヤマサ醤油やヒゲタ醤油をはじめ、今もたくさんの醤油メーカーがある。銚子の温暖で湿度のある気候も醸造に適していたという。

銚子電鉄に乗ると、その醤油産業が観光案内の文章ではなく、町の風景として見えてくる。

銚子駅を出た電車は、ほどなく工場の建物や設備のそばを走っていく。仲ノ町付近では、線路と醤油工場の距離が驚くほど近い。

港町を走るローカル線だと思っていたが、その車窓には、銚子を長く支えてきた産業そのものがあった。

大きな醤油工場の横を、小さな電車がゴトゴトと通り抜けていく。それは、銚子でなければ見られない風景だった。

港町で食べるアジフライ

昼食は、銚子港の食堂でアジフライ定食を頼んだ。

アジフライ定食

皿の上には、細長いアジフライが何枚も重なっている。千切りキャベツ、ご飯、味噌汁、漬物。飾り気はないが、港で働く人の腹をしっかり満たしてくれそうな定食だった。

揚げたての衣は香ばしく、中の身はふっくらとしている。

アジフライにはソースをかける人も多いと思うが、この日は醤油をかけて食べた。

魚の町で食べるアジフライに、醤油の町の味を重ねる。電車の窓から見た醤油工場と、港で食べている魚が、皿の上で一つにつながった気がした。

銚子電鉄の終着駅、外川へ

旅の最後は、銚子電鉄の終着駅である外川駅へ向かった。

木造の駅舎には、昔ながらの駅名板が掲げられている。駅前には赤い丸型ポストが立ち、ホームには茶色と赤の車両が停まっていた。

銚子電鉄 外川駅
赤い車両

昭和風に新しく演出された駅ではない。

長い年月を経た建物や設備が、今も現役の駅として使われている。その少しくたびれた姿に、かえって温かさを感じた。

銚子電鉄は、観光客を運ぶためだけの鉄道ではない。

醤油工場のそばを通り、住宅地を抜け、海に近い町を結んでいる。銚子という産業の町の日常に、今も組み込まれている鉄道なのだ。

線路はここで終わる。

けれど駅の周囲には家があり、人の暮らしがあり、少し先には海がある。

海と魚と醤油と鉄道

犬吠埼では、太平洋の荒波を眺め、銚子港でアジフライに醤油をかけて食べた。

銚子電鉄では、醤油工場のそばを走る車窓を眺め、終着駅の外川で古い駅舎の風情を楽しんだ。

灯台、漁港、醤油工場、ローカル線。

関東の最東端を見に来たつもりだった。

けれど最後に心に残ったのは、地理的な「端」の景色だけではない。

海から魚を得て、町で醤油を造り、その町のなかを小さな電車が走る。

銚子は、海辺に根を張った産業文化が、今も風景として残る町だった。


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