『訓練は人を裏切らない』航空幕僚長が語った、レーダー照射への本音と日本の覚悟
【概要】航空幕僚長会見から読み解く中国軍機レーダー照射の真実。「断固として守る」の意味、スクランブルの課題、訓練の重要性まで徹底解説。
ニュースの向こう側にある「当事者の言葉」を読み解く
「中国軍機が自衛隊機にレーダー照射」――このニュース、テレビやネットで見かけたとき、あなたはどう受け止めましたか?
「また緊張が高まってるのか」と感じた人、「でも具体的に何が危ないの?」と疑問に思った人、あるいは「軍事の話は自分には関係ない」とスルーした人もいるかもしれません。
でも実は、この出来事の"本質"は、ニュースの見出しだけでは見えてきません。なぜなら、当事者である航空自衛隊のトップが、記者会見で何をどう語ったかという一次情報にこそ、問題の深さと日本の対応方針が詰まっているからです。
2025年12月11日、森田雄博・航空幕僚長が開いた記者会見。この会見の後半部分では、中国軍機によるF-15戦闘機へのレーダー照射、中国とロシアの爆撃機による共同飛行、そして日本のスクランブル(緊急発進)が抱える課題について、現場のトップが自らの言葉で語りました。
この記事で分かること
レーダー照射とは何か、なぜ「危険な行為」と評価されたのか
「断固として守る」と「冷静かつ毅然」が同居する理由
中露共同飛行の意味と、9回目という"常態化"の意味
空母が近いと何が問題なのか?スクランブルの「時間との戦い」
パイロットの冷静さを支える「訓練は人を裏切らない」という哲学
私たちの生活にどう関わるのか
専門用語は極力噛み砕き、初めてこのニュースに触れる方でも理解できるよう、会見の発言を軸に丁寧に解説していきます。SEOキーワード(レーダー照射/中国軍機/航空自衛隊/F-15/スクランブル/中露共同飛行/空母/緊急発進)も自然に織り込んでいます。

レーダー照射とは何か?航空幕僚長の評価から読み解く

会見での発言:「安全な飛行に必要な範囲を超える危険な行為」
記者から中国軍機によるF-15戦闘機へのレーダー照射について問われた航空幕僚長は、まず「詳細についてはお答えできない」としつつも、自身の受け止めとして明確に述べました。
「今回のレーダー照射につきましては、航空機の安全な飛行に必要な範囲を超える危険な行為であるという風に考えております。このような事案が発生したことは極めて残念であり、中国側には強く抗議し、再発防止を厳重に申し入れたものと承知をしております」
この発言のポイントは3つあります
「安全な飛行に必要な範囲を超える」 = 単なる監視や探索ではない
「危険な行為」 = 事故や誤解を招きかねない
「強く抗議・再発防止を申し入れ」 = 外交ルートで明確に問題視
そもそもレーダー照射って何?初心者向け解説
レーダーは電波を使って、物体の位置・距離・速度を測る装置です。身近な例では、車の自動ブレーキに使われるセンサーもレーダーの一種。
航空機が使うレーダーには、大きく分けて2種類あります
レーダーの種類目的例えるなら相手に与える印象捜索レーダー広い範囲を探す懐中電灯で周囲を照らす「監視されている」追尾レーダー(火器管制)特定目標を精密に追跡レーザーポインターで一点を狙う「照準を合わされている」
今回のレーダー照射について、防衛省は「火器管制レーダーである可能性」を示唆する情報もあります。これは、ミサイル発射の準備段階で使われるレーダーであり、言い換えれば「銃口を向けられた」状態に近いのです。
実際には発射されていませんが、長時間(1回目:約3分間、2回目:約30分間)にわたって照射されたことで、パイロットは極めて高い緊張状態に置かれました。
なぜ「危険」なのか?3つの理由
理由1:偶発的衝突のリスク
精密な追尾レーダーを向けられると、照射された側のパイロットは「攻撃されるかもしれない」という緊張下で判断を迫られます。双方が緊張状態にあると、些細な動きが誤解を招き、偶発的な衝突や事故につながるリスクが高まります。
理由2:国際規範違反の可能性
CUES(海上衝突回避規範)という、アジア太平洋地域21カ国が採択した国際行動規範では、レーダー照射は「攻撃の模擬」として禁止されている行為です。中国もこの規範に署名しているにもかかわらず、今回の行為はそれに反する可能性があります。
理由3:エスカレーションの連鎖
一度このような「危険な行為」が許されると、次はさらに踏み込んだ行動を取りやすくなります。小さな挑発が積み重なり、最終的には取り返しのつかない事態へとエスカレートする――これが最も恐れられるシナリオです。
「断固として守る」×「冷静かつ毅然」の真意

会見での方針表明:バランスを取った対応
航空幕僚長は、今後の対応方針について次のように述べました
「航空自衛隊としましては、中国軍の我が国周辺における動向について引き続き注視するとともに、日本の領土・領空を断固として守り抜く決意のもと、国際法及び国内法令に従い、冷静かつ毅然として対領空侵犯措置を実施してまいりたい」
一見すると矛盾しているように聞こえる言葉の組み合わせ――「断固として」と「冷静に」。でも実はこれこそが、現代の安全保障における最も重要なバランス感覚なのです。
「断固として守る」が意味すること
これは単なる強気の姿勢ではありません。むしろ、「どんな挑発があっても、日本の領土・領空を守る任務は譲らない」という覚悟の表明です。
もし日本が弱腰な対応を取れば、中国側は「この程度なら許される」と判断し、さらに踏み込んだ行動を取る可能性があります。これを「サラミ戦術」と呼びます――薄く切ったサラミを1枚ずつ取っていくように、少しずつ既成事実を積み重ねる戦略です。
「断固として守る」という宣言は、この戦術に対する明確な線引きなのです。
「冷静かつ毅然」が意味すること
一方で、感情的になって過剰反応すれば、それこそ相手の思うツボです。挑発に乗って事態をエスカレートさせることは、結果的に偶発的な衝突や外交的な孤立を招きかねません。
「冷静かつ毅然」とは
国際法に基づいた正当な対応を取ること(感情ではなくルールで動く)
同盟国(アメリカなど)と連携すること(孤立しない)
記録と証拠を残すこと(後で検証可能にする)
現場の安全を最優先すること(無謀な行動は取らない)
実際、会見後に小泉防衛大臣はアメリカのヘグセス国防長官と電話協議を行い、中国の行動について「深刻な懸念」を共有しました。これは、日本が孤立せず、同盟国と足並みをそろえて対応していることを示す重要なシグナルです。
抑止力とは「やったら損」と思わせること
この「断固として」と「冷静に」の組み合わせが生み出すのが、抑止力です。
抑止力とは、相手に「もしこれ以上やったら、自分たちにとって損だ」と思わせる力のこと。そのためには
やられたら必ず対応する(断固として)
でも拡大させず、ルールに沿って対応する(冷静に)
この両立が、最も効果的な抑止戦略なのです。
中露共同飛行:9回目という「常態化」の意味

12月9日に何が起きたのか
会見では、中国とロシアの軍用機による共同飛行についても詳しく説明されました。
航空幕僚長の説明によると
ロシアの爆撃機(TU-95)2機が日本海から東シナ海・東中国海にかけて進出
東シナ海で中国の爆撃機(H-6)2機と合流
東シナ海から太平洋にかけて長距離の共同飛行を実施
沖縄本島と宮古島の間を通過する際、中国の戦闘機(J-16)4機が合流
これらに対し、航空自衛隊の南西航空方面隊の戦闘機が緊急発進(スクランブル)で対応
「9回目」が示す深刻さ
航空幕僚長は次のように評価しました
「我が国周辺における中露両国の爆撃機によるこのような活動につきましては昨年11月以来であり、今回で9回目となります。両国による頻繁なる爆撃機の共同飛行につきましては、我が国周辺における活動の拡大・活発化を意味するとともに、我が国に対する示威行動を明確に示したものであり、我が国の安全保障上の重大な懸念と考えております」
ここで重要なのは、「9回目」という数字です。
1回や2回なら「たまたま」で済むかもしれません。しかし9回となると、これは明らかに「パターン化」「常態化」しています。つまり
中国とロシアが戦略的に連携している
日本周辺での軍事プレゼンスを意図的に高めている
将来的にさらに活動が拡大・活発化する可能性が高い
なぜ中国とロシアが連携するのか
背景には、米国を中心とする民主主義陣営への対抗という共通の利害があります。
中国の視点:台湾問題、南シナ海問題で米国・日本と対立
ロシアの視点:ウクライナ侵攻で西側諸国から制裁を受けている
共通の利益:米国主導の国際秩序に挑戦し、自分たちの影響力を拡大したい
この「権威主義陣営の連携」は、日本にとって単一国家ではなく、複数の脅威に同時対処する必要性を意味します。
スクランブルの負担増
9回の共同飛行は、航空自衛隊にとって大きな負担です。
スクランブル(緊急発進)には
パイロットと整備員の動員
燃料・部品の消費
機体の摩耗
人的疲労の蓄積
活動が常態化すればするほど、現場の負担は増大し、人員・装備の維持コストも上がります。これは最終的に、防衛予算や国民の税負担にも関わる問題です。
スクランブルの課題:「時間との戦い」と早期探知の重要性

空母が近いと何が問題なのか
会見では、記者から「中国の空母から戦闘機が急に防空識別圏内に現れることについて、対領空侵犯措置の難しさは?」という質問がありました。
航空幕僚長の回答
「一般論として、航空機が離発着する空母の位置が我が国の領空に近ければ近いほど、その対応時間は短くなるといったところから、より迅速かつ柔軟な対応を求められることになるという風に考えております」
これ、専門用語を使わずに言い換えると
「相手の出発地点(空母)が近いと、こちらが準備する時間が減る」
ということです。

具体例で理解する「時間の問題」
たとえば
空母が沖縄から500km離れた場所にいる場合:戦闘機が日本の防空識別圏に到達するまで約20分
空母が沖縄から100km離れた場所にいる場合:戦闘機が到達するまで約5分
20分あれば、スクランブルの準備(パイロットの召集、飛行計画、燃料確認など)が可能です。でも5分しかなければ、常に臨戦態勢を取っておく必要があります。
これは現場にとって、精神的にも体力的にも極めて大きな負担なのです。
解決策:「できるだけ遠方で兆候を掴む」
記者から「今後どう対応していくか?」と問われた航空幕僚長は、こう答えました
「我々としては迅速に対領空侵犯措置を実施するために、できるだけ遠方の位置でその兆候を掴みたいという風に考えております。そのために、例えばレーダーサイトの位置を太平洋側に整備するとか、空中警戒のレーダーをですね、早めに上げるとか、そういったようなところで、なるべく早い兆候を掴みたいという風に考えております」
つまり、早期警戒能力の強化が鍵だということです。
具体的には
レーダーサイトの拡充:太平洋側にも配置し、探知範囲を広げる
早期警戒機の活用:空中から広範囲を監視できる飛行機を常時運用
宇宙領域の活用:衛星や商業宇宙データを使った監視(会見前半で触れられたJCOなどの枠組み)
これらは「時間を買う」ための投資であり、現場の負担を減らすための根本的な対策です。

パイロットの冷静さを支えるもの:「訓練は人を裏切らない」

長時間のレーダー照射下での任務遂行
今回のレーダー照射は、最長で約30分間という長時間に及びました。これは、パイロットにとって極めて高いストレス下での任務遂行を意味します。
記者から「現場のパイロットは、どうやって冷静さを保てたのか?」という質問がありました。
航空幕僚長の答え:訓練の重要性
航空幕僚長は、自身がパイロット出身ではないと前置きしつつ、こう述べました
「これだけは言えると思います。普段からしっかりと訓練を積み重ねて、実際に対応を当たる時には、訓練のように、訓練でやってきたように、しっかり行っていくというのが、訓練は人を裏切りませんので、そういったところでしっかりと積み重ねていくというのは言って欲しいかなという風に思ってます」
「訓練は人を裏切らない」
この言葉には、深い意味があります。
なぜ訓練が冷静さにつながるのか
心理学的には、これを「手続き記憶」と呼びます。繰り返し練習した行動は、意識しなくても自動的に実行できるようになります。
たとえば
自転車に乗るとき、いちいち「右足を前に出して...」と考えない
ピアノを弾くとき、熟練者は楽譜を見ただけで指が動く
同様に、緊急時の対応を何度も訓練していれば、実際の危機でも「体が覚えている」通りに動けるのです。
組織の力:パイロットだけじゃない
航空幕僚長は続けてこう述べました
「今回、パイロットにつきましては、小泉大臣の方からもご発言があったところでありますが、長時間にわたりレーダー照射を受けるという極めて緊張を強いられている状況におきまして、冷静に任務を遂行してくれました戦闘機パイロット、また、パイロットを支える地上クルーを私自身としても大変誇りに思っており、そういったような意味で、その組織的にしっかりと対応することも冷静かつ毅然と対応するところにつながるんではないかなという風に考えております」
ここで強調されているのは、「組織的な対応」の重要性です。
パイロットが飛ぶためには
整備員が機体を完璧に整備
管制官が空域を調整
情報分析官が敵機の動向を分析
地上指揮官が的確な指示を出す
安全保障は、個人のヒーローではなく、チーム全体の力で成り立っている――この認識が、会見から伝わってきます。
私たちの生活にどう関わるのか

経済への影響:観光・貿易・サプライチェーン
「軍事の話は自分には関係ない」と思いがちですが、実は日常生活に直結しています。
観光産業への影響
中国は日本にとっても観光客の供給源です。政治的緊張が高まると、中国政府が訪日を自粛するよう呼びかけ経済的威圧を行います。
沖縄県では観光客の約20%以上が中国からであり、観光産業への打撃は地域経済に影響を与えます。
貿易への影響
日本にとって中国は最大の貿易相手国です。もし関係がさらに悪化し、貿易制限などが行われれば
電子部品、半導体などのサプライチェーンが混乱
物価上昇(代替品の調達コストが上がる)
企業の業績悪化と雇用への影響
経済産業研究所の試算によれば、中国との貿易が大幅に減少した場合、日本の実質GDPが約7%減少する可能性があるとされています。
防衛費増加と税負担
早期警戒能力の強化、レーダーサイトの整備、スクランブルの回数増加――これらはすべて、防衛費の増加を意味します。
防衛費は国民の税金で賄われています。つまり、安全保障問題は最終的に私たちの財布に跳ね返ってくるのです。
だからこそ、「どこまで防衛力を強化すべきか」「どうバランスを取るか」は、国民全体で考えるべき問題なのです。
沖縄への負担集中
スクランブルの多くは那覇基地から行われます。レーダー照射も沖縄周辺で発生しました。
つまり、安全保障上の負担が沖縄に集中しているという現実があります。これは単なる軍事の問題ではなく、社会的公平性の問題でもあります。
過去の事例から学ぶ:繰り返される緊張

2013年の火器管制レーダー照射事件
実は日本は過去にも類似の事件を経験しています。2013年2月、中国海軍艦艇が日本の護衛艦に火器管制レーダーを照射した事件です。
今回との違い
2013年:公表まで6日間 → 2025年:公表まで10時間以内
2013年:米国の関与が限定的 → 2025年:即座に日米で協議
日本の対応が迅速化し、同盟国との連携も強化されていることが分かります。
2018年の韓国レーダー照射事件の教訓
2018年12月、韓国海軍が日本の哨戒機にレーダー照射した事件では、事実関係が双方で一致せず、問題が長期化しました。
この教訓から、今回は
早期の公表と証拠の提示
国際法に基づく論理的な抗議
同盟国との迅速な情報共有
といった対応が取られています。
まとめ:会見から持ち帰るべき5つの学び

学び1:レーダー照射は「見られた」話ではない
航空幕僚長が「安全な飛行に必要な範囲を超える危険な行為」と評価したように、これは偶発的衝突や誤解を招きかねない深刻な事態です。
学び2:「断固として」と「冷静に」は矛盾しない
現代の安全保障における最適解は、強硬一辺倒でも弱腰でもなく、ルールに基づいて譲らないという姿勢です。これが真の抑止力を生みます。
学び3:中露の連携は「常態化」している
9回目という数字が示すように、これは偶発的な出来事ではなく、戦略的な行動パターンです。日本は単一国家ではなく、複数の脅威に同時対処する必要があります。
学び4:守りの鍵は「早期警戒」
空母が近いと対応時間が短くなる――この課題への答えは、できるだけ遠方で兆候を掴むことです。レーダーサイト、早期警戒機、宇宙領域の活用がこれからの鍵となります。
学び5:現場の力は「訓練」と「組織」で作られる
「訓練は人を裏切らない」という言葉が象徴するように、安全保障は個人のヒーローではなく、日々の積み重ねと組織全体の力で成り立っています。

参考資料
防衛省・自衛隊:中国軍機による自衛隊機へのレーダー照射について
防衛省・自衛隊:小泉防衛大臣とヘグセス米戦争長官の電話会談について
Microsoft Word - 20251212【SET】公表資料(空母「遼寧」/発着艦実績/沖縄本島-宮古島間北西進)
12/9以降、引き続き、中国海軍クズネツォフ級空母「遼寧」を含む複数の中国海軍艦艇が、太平洋上の海域を航行していることを確認しました。
— 防衛省・自衛隊 (@ModJapan_jp) December 12, 2025
また、12/6~12/12までに空母「遼寧」からの艦載戦闘機等の発着艦を約260回確認しました。… https://t.co/EhYdr8w2U6 pic.twitter.com/pJi73C6gSR
対領空侵犯措置(スクランブル)
外国の航空機が日本の領空に接近または侵入する恐れがある場合に、戦闘機を緊急発進させて対応する措置
火器管制レーダー
ミサイルや砲弾を目標に命中させるため、特定の目標を精密に追尾・照準するレーダー
防空識別圏(ADIZ)
領空の外側に設定された空域で、国籍不明機を早期に識別するための区域
抑止力
相手に「攻撃したら大きな損失を被る」と認識させることで、攻撃を思いとどまらせる力
CUES(シーユーズ)
Code for Unplanned Encounters at Seaの略。海上での偶発的な衝突を回避するための国際行動規範
早期警戒機
強力なレーダーを搭載し、広範囲の空域を監視・警戒する航空機
サラミ戦術
サラミを薄く切るように、小さな既成事実を積み重ねて徐々に目的を達成する戦略
エスカレーション
対立や緊張が段階的に拡大・激化していくこと
示威行動
軍事力を見せつけることで相手を威嚇し、政治的メッセージを送る行動
JCO(ジェイシーオー)
Joint Commercial Operations Cellの略。商業宇宙能力を活用して宇宙領域の情報を共有する枠組み
#レーダー照射問題 #自衛隊 #安全保障 #中国軍機 #スクランブル
#防衛 #冷静 #ニュース #航空幕僚長
【清書】航空幕僚長定例記者会見(2025年12月11日)
【森田航空幕僚長】
本日は私から1点ございます。
私は12月1日から6日までの間、「CSpOC(シースポック)イニシアティブ将官級会議」に参加するため、フランス共和国に出張いたしました。
本会議では、我が国の宇宙政策や航空自衛隊の宇宙分野における取り組みに関する説明を行うとともに、CSpOC参加各国の代表者と宇宙安全保障に必要な運用体制、法的な課題等について意見交換を行いました。
特にサルツマン米宇宙軍作戦部長、及びホワイティング米宇宙コマンド司令官と、商業宇宙能力を活用して多国間で宇宙領域に関する情報を共有する枠組みである「JCO(ジョイント・コマーシャル・オペレーションズ・セル)」に関し、航空自衛隊の継続的な活動について意見交換を実施し、このJCOにおいても日米両国が連携・協力することの重要性について認識を共有しました。
我が国の安定的な宇宙利用を確保するためには、同盟国・同志国及び官民の連携は不可欠との認識のもと、CSpOCへの積極的な関与やJCOでの活動をも含め、連携を一層強化していきたいと考えています。
私からは以上です。
【幹事社】
ありがとうございます。幹事社より1点お伺いさせていただきます。
冒頭発言の出張につきまして、成果を改めてもう少し詳しく教えていただけますでしょうか?
【森田航空幕僚長】
はい、分かりました。ありがとうございます。
CSpOC将官級会議において、宇宙安全保障に必要な運用体制、法的な課題等について意見交換を行うとともに、我が国の宇宙政策や航空自衛隊の宇宙分野における取り組みに関する説明を行うことで、参加各国との相互理解を深めました。
各国代表者との意見交換を通じ、宇宙に関する戦略・運用環境が急速に変化する中、我が国の安定的な宇宙利用を確保するために航空自衛隊として強化すべき事項や、同盟国・同志国との連携を一層緊密にしていくべき事項に関する有益な示唆を得ることができました。
また、イギリス空軍参謀長やイタリア空軍参謀長との2者会談をはじめ、会議期間中の各国空軍参謀長等との交流を通じて信頼関係を構築し、防衛協力・交流を推進できたことも大きな成果であったと考えております。以上です。
【幹事社】
ありがとうございます。各社さんお願いいたします。
【記者(共同通信・黒田氏)】
共同通信、黒田です。
F-15戦闘機が(レーダー)照射を受けた件について、まず空幕長の……これ、事後パイロットへの聞き取り等されていると思うんですが、当時の状況等がどのように説明していたかと、お話があればお願いします。
【森田航空幕僚長】
はい。まず、受け止めと聞き取りの結果といったところのご質問だと思いますが、2番目の質問の聞き取りの方につきましては、詳細についてはお答えすることはできません。今、発表してある通りの事実関係のみでございます。
その上で、私の受け止めであります。
今回のレーダー照射につきましては、航空機の安全な飛行に必要な範囲を超える危険な行為であるという風に考えております。このような事案が発生したことは極めて残念であり、中国側には強く抗議し、再発防止を厳重に申し入れたものと承知をしております。
また航空自衛隊としましては、中国軍の我が国周辺における動向について引き続き注視するとともに、日本の領土・領空を断固として守り抜く決意のもと、国際法及び国内法令に従い、冷静かつ毅然(きぜん)に、対領空侵犯措置を実施してまいりたいという風に考えております。以上です。
【幹事社】
他いかがでしょうか? よろしいでしょうか? では……
【記者(NHK)】
あ、NHKです。よろしくお願いします。
ちょっと大臣会見でも質問あったんですけども、中国とロシア軍の……お伺いしたいんですけども。爆撃機や戦闘機など、今回初めて共同での飛行が確認されたということがありましたが、空幕長としての受け止めがどうかをお伺いしたい。
【森田航空幕僚長】
はい、ありがとうございます。
今回の事実関係でありましたが、統合幕僚監部から公表がありました通り、12月9日に日本海から東シナ海にかけて進出したロシアの爆撃機「Tu-95」2機、そして東シナ海において中国の爆撃機「H-6」2機と合流した後、東シナ海から太平洋にかけて長距離にわたる共同飛行を実施したことを確認しております。
また、当該爆撃機につきましては、沖縄本島と宮古島との間を往復して飛行する際、中国の戦闘機「J-16」4機が合流したことを確認しております。これらに対しまして航空自衛隊の南西航空方面隊等の戦闘機が緊急発進して対応いたしました。
我が国周辺における中露両国の爆撃機によるこのような活動につきましては昨年11月以来であり、今回で9回目となります。両国による度重なる爆撃機の共同飛行につきましては、我が国周辺における活動の拡大・活発化を意味するとともに、我が国に対する示威行動を明確に意図したものであり、我が国の安全保障上、重大な懸念と考えております。以上であります。
【幹事社】
ありがとうございます。他いかがでしょうか?
【記者(NHK・続き)】
あ、NHKです。
中国の照射の件に戻りますが、中国の戦闘機が急に防空識別圏内に現れることについてですね、対領空侵犯措置の難しさみたいなところ、課題について教えてください。
【森田航空幕僚長】
はい、ありがとうございます。
航空自衛隊につきましては、我が国の領空を保全するために対領空侵犯措置を実施しています。今回に限らず一般論として、航空機が離発着する空母の位置が我が国の領空に近ければ近いほど、その対応時間は短くなるといったところから、より迅速かつ柔軟な対応を求められることになるという風に考えております。以上です。
【記者】
そうした課題みたいなところであったりとか、今後どういう風に対応していくとか、そういったお考えありますか?
【森田航空幕僚長】
はい、ありがとうございます。
今回の事象についての分析は、まだまだ必要だという風に考えておりますが、やはり今申し上げた通り、我々としては厳正に対領空侵犯措置を実施するために、できるだけ遠方の位置でその兆候を掴みたいという風に考えております。
そのために、例えばレーダーサイトの位置を太平洋側に整備するとか、またそういったような防衛力整備上(の対策)以外のところでも、空中警戒のレーダーを早めに上げるとか、そういったようなところで、なるべく早い兆候を掴みたいという風に考えております。
【記者(琉球新報・ジャハナ氏と推測)】
琉球新報のジャハナです。話題変わります。
那覇基地の方で予定されているエアフェスタの関係で、前回、ブルーインパルスの参加調整中とおっしゃっていたんですが、その後何か変更点ありましたでしょうか?
【森田航空幕僚長】
はい。前回ご質問していただいた時と結論としては変わっておりません。
現在12月、今回開催されます「美ら島(ちゅらしま)エアーフェスタ2025」における展示内容については、現段階においても調整中であります。現時点で決まったものはありませんが、お示しできる段階になれば公表をさせていただきたいという風に思います。以上です。
【記者】
他いかがでしょうか? よろしいでしょうか?
【記者(社名不明)】
あ、どうも。(前の)記者の質問とも関連するんですけれども、中国のその空母がですね、沖縄本島と南大東島の間を北東方向に向かって、まあ沖縄・宮古を抜けるような形で上がってきたわけですけれども。それ、まさに非常に日本に近い位置にいたわけなんですが、その状況……そういった航行状況について、あるいはその空母から頻繁に艦載機が飛び立ち、我が国の領空に接近しやすい場所にいるということについて、航空幕僚長はどのような認識(または危機感)を持たれたのか教えてください。
【森田航空幕僚長】
はい。確認ですが、今のご質問は空母の話? それとも共同航行の話?
【記者】
空母と、空母に乗ってる艦載機が非常に近い位置にいるという(点)について。
【森田航空幕僚長】
はい、ありがとうございます。私自身の受け止めということであります。
はい。先ほど、繰り返しになりますが、航空自衛隊につきましては、我が国の領空を保全しなければいけないといったところで、対領空侵犯措置をしっかりと行わないといけない、厳正に行わなきゃいけないという風に考えております。
そのため先ほど申し上げました通り、空母艦載機の兆候も含めてですね、しっかりと各種情報を掴んだ上で対応していく必要があるという風に考えております。またその他の総合的な対応で、万全の体制を取りつつ対領空侵犯措置に当たらなければいけないという風に考えております。以上です。
【記者】
そして、先ほどその、対領空侵犯措置も含めて「冷静かつ毅然と対応していく必要がある」という話をなされていたと思うんですけれども、現場のパイロットがその「冷静かつ毅然」と対応するためには、何が最も重要になってくるんでしょうか? 心持ちといいますか。
【森田航空幕僚長】
はい、ご質問ありがとうございます。
私自身はパイロットではないので、どういうところでその「冷静かつ毅然」とやれるかという、その心持ちについては分かっておりませんが、これだけは言えると思います。
普段からしっかりと訓練を積み重ねて、実際に対応に当たる時には、訓練のように、訓練でやってきたようにしっかり行っていくというのが……「訓練は人を裏切りません」ので。そういったところで、しっかりと積み重ねていくというのは(重要だと)言ってほしいかなという風に思ってます。
また、ご質問にはありませんが、今回パイロットにつきましては、小泉(防衛)大臣の方からもご発言があったところでありますが、長時間にわたりレーダー照射を受けるという極めて緊張を強いられている状況におきまして、冷静に任務を遂行してくれました戦闘機パイロット、またパイロットを支える地上クルーを、私自身としても大変誇りに思っており、まあそういったような意味で、組織的にしっかりと対応することも「冷静かつ毅然」と対応するところにつながるんではないかな、という風に考えております。以上です。
【記者】
分かりました。
【幹事社】
はい、ありがとうございます。他いかがでしょうか? よろしいでしょうか?
以上で会見を終わります。
