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十数年ぶりにライヴハウスに行った

先週、キンマwebの観戦記でお世話になっている東川さんから、LINEが来た。
8/7にライヴのチケットを取っていたが、仕事が入り行けなくなったので代わりに行かないかという内容だ。
8/7はMトーナメント決勝があるので、その関連だろうか。

Coaltar Of The Deepers(コールター・オブ・ザ・ディーパーズ)というバンドで、俺は聴いたことがなかった。ジャンルもわからない。
ライヴ会場にはもう十数年行っていないこともあり少し悩んだが、承諾の返信をした。

「COTD」がメチャ好きと語っていた東川さん、断腸の思いでライヴを諦め、せめて音楽の趣味が少しでも近い俺に行ってもらえればと思って連絡をくれたと思うんだよね。

俺と東川さんは、ヘヴィメタルが好きという点で共通している。
ただ、ひと口にメタルと言っても現代はジャンルが細分化され過ぎているんだ。

俺はここ数年は中南米、さらに言えばチリやアルゼンチン、あとはペルー産のメタルばかり聴いている。
南米のメタルと言えばブラジルが一大産地なんだけど、そちらは聴かない。
ブラジルのメタルはヨーロッパ色が強いんだよね。
先述した太平洋側の国々のバンドはラテン色が強くて、粘っこいサウンドと、疾走感と哀愁が同居するメロディがクセになる。
バンド名まで憶えているものは少ないけど、中南米のメタルはイントロを聴いただけでだいたい国がわかる。

そんなわけで、俺と東川さんはメタル好きと言っても、ラーメンにたとえたら博多とんこつラーメンと函館塩ラーメンくらいの違いはある。
被る部分が多少あるって感じ。

正直を言えば、義理と好奇心が半分ずつではあった。
先日、キンマwebの観戦記ライター募集記事の尻馬に乗るかたちでnoteを書いたんだけど、その有料部分で「感性のアンテナを常に立てろ!」と書いた。

そんなことを書いた俺自身が、新しい体験を前にシャッターを下ろし、自分の発言を自分で否定するような真似はできない。
東川さんが好きなバンドがどんなものか気になるし、新しい発見があるかもしれない。少なくとも、noteのネタにはなる。

YouTubeで、事前に少し予習した。
オルタナティヴ・ロックがベースなのかな。
シューゲイザーやエレクトロニカ、ハードコアにデスメタルの要素もあるし、ひと言でジャンルを説明するのは難しい、独特のサウンドだ。
個人的には、電子音楽の要素が強い『Yukari Telepath』というアルバムが好みだった。
俺もハードロック/ヘヴィメタルの前はプログレッシヴ・ロック、さらにその前はテクノが好きでシンセサイザーで曲を作ったりしていたからね。

🀋

――で、ライヴ当日。
場所は新宿LOFT。
幸いにして俺の職場は西武新宿線沿線、定時で終わることができれば開演時間の19時に間に合う。
頑張って定時で上がり、新宿へ。なんとか間に合った。

ハコへ行くこと自体が十数年ぶり、かつ新宿LOFTは初めてかな。
30年くらい前に一度来たことがある気もするけど、よく憶えていない。
まずはハイボールを飲みながら奥の喫煙所で一服。

ほどなく開演となった。
一曲目はネットで聴いてるんだけど、曲名までは憶えていない。
オルタナティヴ・ロックにエレクトロニカ。
プログレ要素もあるな。
ライヴだとまた印象が変わっていいね。

余計なMCを挟まず、次々と曲を演奏していく。個人的には好印象だ。
アンコールで「Aquerian Age」が流れた時はイントロですぐわかった。
かじり聴きして一番気に入った曲で、これは何度も聴いた。
ライヴだとギターとドラムが強く出てるね。いい。

ほかにも、デスボイスのヘヴィな曲かと思いきやサビはキャッチーでポップな感じだったり、通り一辺倒じゃないところが面白い。

決してオーバーな表現ではなく、新たな引き出しが増えた。
こういう積み重ねが自身の創作に活きる、と俺は思っている。

🀋

ライヴ終了後は、大久保公園近くの「モリンホール屋」というモンゴル料理の店へ。
Xで相互フォローの方がポストしていて気になっていたのだ。
モリンホールとは、日本語で馬頭琴のことだ。

店内はゲルをイメージした作りで、土足厳禁。
チンギス・カンの肖像画も飾られている。

うどんと羊肉、野菜を炒めたツォイヴンという料理。

うどんはちょっとモソっとした食感だが、味はいい。
あと、羊肉がやわらかくてクセもなくうまい。
酒はチンギス・カンの名を冠したチンギスウォッカのソーダ割り。
先日読了した、北方謙三『チンギス紀』の作品世界に想いを馳せながら飲む。

ピリ辛炒め。

羊肉と野菜を炒めたもの。
ピリ辛とあるが、まったく辛くない。
うまいけど油っこい。
チンギスウォッカを飲むと口内がさっぱりした。

モツスープ。

羊のモツとジャガイモの入ったピリ辛スープ。
少しクセがあるが、モツはやわらかくてうまい。

それにしても一品一品の量が多い。
スープの器はラーメンのどんぶりくらいあるし、ひとりじゃ二品で充分だな。
なるべく大人数で行って、何品か頼むのがいいと思う。
後半かなり苦しかった。めっちゃ腹パン。

🀄

帰りの電車内で爆睡した。
朝から肉体労働して、スタンディングのライヴ観て、腹いっぱい食って酒も飲んだからね。

――夢を見た。
俺は草原にいた。
一面の草原と地平線。
澄み渡る青い空、風に流れる雲。
天と地の間に、俺がいる。

音が聞こえてきた。シンセサイザーのSE。
そこに馬頭琴が重なり、パーカッションも加わる。

いつの間にか、俺は馬で駈けていた。
馬頭琴とシンセは鳴りやみ、転調する。
パワフルなドラムとベース、さらにはディストーションの効いたギターがスラッシーなリフを刻む。
ギャロップ奏法のベースと馬蹄の響きがシンクロしている。
ヘヴィメタルだ。草原のメタル。

――新所沢のひとつ前の駅で、目が覚めた。
乗り過ごさなくてよかったよ。

🐎

ギターをはじめ、俺は音楽機材をすべて手放したが、書くことはできる。

楽譜スコアはいらない。

読んだ人の心の中に、その人の音が鳴れば、それでいいのだ。


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