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ミニマルを超えて|ジョン・ポーソンの白に宿る媒介性|建築史スナップ6

この連載では、アレグザンダーの複雑性やマッタ=クラーク、アコンチのズレと介入を通して、「異質な要素がどのように共存するか」を見てきた。今回は、そのテーマを建築の素材と時間に置き換え、ジョン・ポーソンの事例を考える。

ジョン・ポーソン

ポーソンは「ミニマル」の代表として語られることが多いが、その評価はしばしば高級インテリアの記号化と結びついてしまう。しかし、チェコのノヴィ・ドヴォル修道院の改修を見ると、その単純なイメージとは異なる側面が見えてくる。

ノヴィ・ドヴォル修道院
ノヴィ・ドヴォル修道院

食堂空間を構成するのは、三つの明確な層だ。石の柱と床、木の家具、そしてアーチや天井を覆う白。石は修道院の歴史を物理的に刻み、木は現代の日常生活を直接支える。そこに白が加わることで、この二つの異なる時間が一つの場に収まっている。

この白には三つの働きがある。
第一に、視覚的統合。色も質感も異なる石と木を、白が視線の中でつなぎ、断片を一つのまとまりに変える。
第二に、時間感覚の調整。石が示す長期的な時間と木が示す短期的な時間、その間で白は光を受けて変化し、双方を感覚的に橋渡しする。
第三に、環境の緩和。漆喰の白は音や空気を拡散し、空間をやわらかくする。

この構造は、前回まで扱った「異質なものをそのままに共存させる」というテーマと地続きにある。マッタ=クラークやアコンチが空間を切断・変形して関係性を露出させたのに対し、ポーソンは素材と時間の差異を隠さずに、光と白によって媒介する方法を選んでいる。

ノヴィ・ドヴォル修道院
ノヴィ・ドヴォル修道院
ノヴィ・ドヴォル修道院
ノヴィ・ドヴォル修道院

修道院建築の系譜のなかで見ると、この空間は祈りや共同生活のための静けさを保ちつつ、現代的な抽象性を導入している。その抽象は形態や装飾ではなく、媒介としての白に宿っている。ここに、単なるミニマルの記号化から外れた、ポーソン独自の領域が見える。



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