Qwen3.8 27Bは考えすぎる。reasoningを切ったら21分の処理が137秒で終わった
ローカルLLMを入れて「遅いな」と思ったとき、原因がモデルの性能ではなく初期設定だった、ということがあります。
Qwen3.8 27Bがまさにそれでした。Simon Willison氏が公開した実測を読むと、同じプロンプトが設定ひとつで21分から137秒になっています。約9倍です。
この記事でわかること。
Qwen3.8 27Bのスペックと必要なディスク容量
デフォルトのままだと何が起きるのか(実測値つき)
最初に変えるべき設定3つ
Qwen3.8 27Bの基本スペック
まず前提を整理します。
パラメータ数: 27B
ライセンス: Apache 2.0
最大コンテキスト長: 262,144トークン
ダウンロードサイズ: 17GB(Q4_K_M量子化のGGUF)
17GBなので、メモリ24GBのMacでもぎりぎり現実的な範囲に入ります。ライセンスがApache 2.0なのも扱いやすいところです。
Simon Willison氏の検証環境は128GBのM5 Max MacBook Proと、NVIDIA DGX Spark。LM StudioでGGUF版を動かした場合の生成速度は15〜30トークン/秒でした。参考までに、同氏が挙げているAPI側の数値はOpenAI 5.6 Solが74トークン/秒、Lunaが184トークン/秒です。ローカルとしては十分実用域だと思います。
問題は速度ではなく「考えすぎ」だった
ここからが本題です。
Qwen3.8 27Bは推論の深さを `reasoning_effort` で切り替えられます。値は `xhigh` `medium` `low` の3段階。そしてデフォルトが `xhigh` です。
デフォルトのまま「自転車に乗ったペリカンのSVGを描いて」というプロンプトを投げた結果がこちらです。
reasoning_effort が xhigh(デフォルト): 推論トークン22,276個、出力3,223トークン、21分
同じプロンプトでreasoningをオフ: 3,715トークン、137秒
出力の量そのものは大差ありません。差はすべて、答えを出す前に回している思考の量です。単純なお絵かき1枚に2万トークン以上を費やしていた計算になります。
ローカルLLMは電気代以外の課金がないので、つい「無料だから」と気にせず回しがちです。ただ実際に返ってくるまでの体感は、この設定で完全に変わります。「27Bは重い」という感想の何割かは、モデルではなく `xhigh` が原因かもしれません。
最初に変える設定3つ
1. コンテキスト長を262,144に上げる
LM Studioの既定のコンテキスト長は8,192トークンです。Qwen3.8はここを平気で使い切ってしまうため、そのままだと単純な問題ですら詰まります。
モデルをロードする画面でコンテキスト長を最大の262,144に設定してください。これは「増やしたほうがいい」ではなく、上げないと素の性能が出ない、という種類の設定です。
2. reasoning_effort を low にする、あるいは切る
API経由で呼ぶときは `reasoning_effort` に `low` を渡します。翻訳、要約、整形といった思考をあまり必要としない用途なら、reasoning自体をオフにしてしまってかまいません。
逆にコード生成や多段の推論が必要なときだけ `medium` や `xhigh` に上げる、という使い分けが現実的です。デフォルトが一番重い設定になっている、という前提だけ覚えておけば大丈夫です。
3. llama.cppのMTPを有効にする
さらに速度を取りにいくなら、llama.cppのMulti-Token Prediction(MTP)が効きます。同氏の計測では、LM Studioの既定GGUFに対して約72%高速という結果でした。
サーバー起動時のフラグはこの3つです。
--spec-default
--spec-type draft-mtp
--reasoning-preserveMTPは複数トークンをまとめて予測する仕組みなので、生成が長くなるタスクほど差が出ます。1と2で無駄な思考を削ってから、これで生成そのものを速くする、という順番が素直です。
まとめ
Qwen3.8 27BはApache 2.0の27Bモデル。Q4_K_M量子化で17GB、コンテキストは262,144トークン
デフォルトの `reasoning_effort: xhigh` は同じプロンプトで21分かかる。オフなら137秒
LM Studioは既定コンテキスト8,192では詰まる。最大まで上げる
llama.cppのMTP(`--spec-type draft-mtp`)で約72%上乗せできる
ローカルLLMを試して「使えない」と結論を出す前に、設定を3つ見直すだけで印象が変わることがあります。Qwen3.8 27Bはその典型でした。
なお本記事の実測値はSimon Willison氏の検証によるものです。手元の環境で回した数値ではないので、24GB級のMacで試すときはメモリ残量に注意してください。
同じ「ローカルで動かす」でも、モデルが大きくなると前提そのものが崩れます。GLM-5.2を現実に動かそうとして最低223GB必要だった話は、機材を買う前に読んでおくと判断が早くなるはずです。
