見出し画像

考察『リアリティ・バイツ』90年代の価値観を振り返ることで浮き掘りになる普遍性と大切な気づき

🎬あらすじ
優秀な成績を収め、大学を卒業生総代としてスピーチしたリレイナ。ドキュメンタリー制作を夢見る彼女は卒業後にテレビ局でADとして働き始める。

大学からの友人でありアパレルブランドGAPに就職したヴィッキーとルームシェアをしていたところ、哲学を専攻しながらも大学を中退してしまったトロイがひょんなことから転がり込んでくる。奇妙な共同生活の中でリレイナとトロイは互いに意識しつつも衝突を繰り返していた。

ある日リレイナはクルマの接触事故を機にMTVに務めるマイケルと知り合う。同じ映像関係の仕事に就き、ドキュメンタリー制作の夢を持つリレイナに共感し二人は関係を深めていく…

🤔考察
学生から社会人へと大きく変わりゆく環境の中で痛感する“現実の厳しさ(リアリティバイツ)”、それに直面していく若者達の姿を描く。90年代を詰め込んだファッションや音楽、ポップカルチャーなどは改めて観る懐かしさと一周回った新鮮さの混在した面白味が魅力的な作品。

90年から91年にかけて景気後退していたアメリカ経済はそれ以降徐々に回復していくがそれでも94年までの失業率は7%と高水準だった。本作はそんなジェネレーションXと呼ばれるその世代の価値観や恋愛観を、そして当時の社会を象徴的に映し出す。

「メリーに首ったけ」や「ナイトミュージアム」、「LIFE!」のベン・スティラーは出演と監督をこなし本作が初監督作品となっている。劇中ではMTVの社員という役柄も彼が90年代初頭にMTVで「ベン・スティラー・ショー」というコーナーを持っていたことに関係しているようだ。製作には名優ダニー・デビートも名を連ねる。

「エクスプローラーズ」(1985)でデビュー後に本作が4作目にあたるイーサン・ホーク、「シザーハンズ」(1990)や「ナイト・オン・ザ・プラネット」(1991)、「ドラキュラ」(1992)と既に多くのキャリアを重ねていたウィノナ・ライダーが出演している。

彼らのファッションに部屋を彩る小物類、妙に目に付くダイエットコーラや聞き覚えのある楽曲の数々は当時のカルチャーを色濃く映し出している。それにコメディ要素を加えて醸し出す雰囲気や空気感は面白味だけではなく不思議と心地良さも感じられる。

リレイナを通して描かれる些細なことで亀裂が入る友人関係、何もかも上手くいかない挫折感、そんなときに何故か傾倒していくスピチュアル系など年代を問わないあるあるな出来事だから共感もしやすい。

また一方で頭は良いのにプライドが高めで意地っ張り。そのために物事が長く続かず、その頭の良さを言い訳に駆使して負のループに嵌ってしまうトロイのような人物像もまたあるあるだろう。

2人に共通している挫折感は当時の社会的背景を反映したものなのかもしれないが、それは長い目で見るといずれは経験するもの。むしろ早めに味わっておかないとそのままドロップアウトしかねない…重要なのはいかに立ち直って軌道修正していくかだ。

ラストシーンの留守番電話メッセージにある“なぜ人生には矛盾が多のか?”というトロイの言葉にあなたは何を思いますか?

いいなと思ったら応援しよう!