JFCの記事を検証:小泉進次郎氏の箱乗り動画の事案
2025年の参院選に関連して、日本ファクトチェックセンター(JFC)が7月2日、「小泉進次郎氏が選挙期間ではないのにシートベルトなしで箱乗り? 動画は2024年の選挙期間のもの」と題する記事を公開した(以下「JFC記事」という)。だが、この記事には、いわゆる「箱乗り」が違法ではないとの誤解を与える記述があるなど、看過できない問題点がある。(追記あり)
JFC記事の趣旨とその問題点
JFC記事の趣旨は、自民党の小泉進次郎・衆議院議員が「選挙期間ではないのに」シートベルトなしで「箱乗り」していると指摘したSNS投稿について「誤り」だと指摘したものだ。
投稿とともに添付された「箱乗り」の動画が、2024年衆議院議員選挙の際のものだから、というのが理由だ。この部分は(検証はやや不十分だが)基本的に問題があるわけではない。
問題は、「箱乗り」の様子が映った動画について「違法にはなりません」と断じている点である。JFC記事のリードと結論部分を引用しておく。
(リード)自民党の小泉進次郎氏が選挙期間中ではないのにシートベルトをせずに車に乗っていたという動画が拡散しましたが、誤りです。動画は2024年の衆議院議員選挙中に撮影されたもので、選挙期間中、候補者はシートベルトを着用する義務が免除されるので違法にはなりません。ただし、車から体を乗り出す行為については危険視する自治体もあります。
(判定)拡散した動画は2024年の衆議院議員選挙時のものだ。選挙期間中、選挙カーではシートベルトの着用が免除されているので誤りと判定した。ただし、「箱乗り」は自粛を求める自治体もある。
JFC記事は箱乗り行為を「危険視する自治体がある」「自粛を求める自治体がある」という指摘はしている。だが、法律に触れる可能性に言及していない。
選挙期間中は「シートベルト着用義務」が免除されると強調する一方、「どこまで身体を乗り出せば『箱乗り』かという明確な定義がないため、取り締まりは難しい」と指摘し、「箱乗り」行為に対する規制はないかのような印象を与える。
当該動画について「違法にはなりません」と言い切り、選挙期間中ならシートベルトを外して箱乗りしていても法律上は問題がない(違法になる余地がない)かのような内容である。
実際は、シートベルトの着用義務は選挙期間中は免除されているが、車体からみだりに身を乗り出す行為は選挙期間中であるかどうかに関わらず、道路交通法上、禁止されている。
JFC記事は、
① 道路交通法上の規制内容を正確に説明していない点
だけでなく、
② 小泉氏の「箱乗り」動画に対して「違法ではありません」と安易に法的評価を下してしまっている点
に重大な問題がある。
以下、詳述する。
道交法上の規制(1) シートベルト着用義務
第一に、シートベルト着用義務について。
よく知られているように、現在、後部座席を含む全ての座席でシートベルト着用義務が道路交通法で定められている。正確にいうと、これは全ての者に着用させなければならない「運転者の義務」であるが(法第71条の3 第2項、警察庁)。
選挙期間中は、これが「公職の候補者」や「選挙運動に従事する者」については免除される。道路交通法施行令が次のように規定している。
(座席ベルト及び幼児用補助装置に係る義務の免除)
第二十六条の三の二 (第1項は略)
2 法第七十一条の三第二項ただし書の政令で定めるやむを得ない理由があるときは、次に掲げるとおりとする。
(一〜七は略)
八 公職選挙法の適用を受ける選挙における公職の候補者又は選挙運動に従事する者を同法第百四十一条の規定により選挙運動のために使用される自動車の運転者席以外の乗車装置に当該選挙運動のため乗車させるとき。
なお、JFC記事は、根拠条文として「道路交通法施行令 第26条の3の2 第1項第8号」と書いているが、正確には「道路交通法施行令 第26条の3の2 第2項第8号」だ。
第1項は運転者自身の着用義務(法71条の3 第1項)の免除規定であり、第2項は運転者以外の着用義務(法71条の3 第2項)の免除規定である。
「箱乗り」をしたとされる小泉氏は後部座席で同乗していたから、言及するなら「法施行令 第26条の3の2 第2項」の方であろう。
道交法上の規制(2) 箱乗り
第二に、箱乗りについて。「箱乗り」は法律上の用語ではないが、一般に「乗用車の窓から上半身を出して乗ること」(コトバンク・デジタル大辞泉)を意味する。
基本的に、道路交通法76条で禁止されている行為だ。一見すると、法律上は明文化されていないようにみえるが、法律が委任した公安委員会の禁止事項の中で明文化されているのだ。
(禁止行為)
第七十六条
(1〜3は略)
4 何人も、次の各号に掲げる行為は、してはならない。
(一〜六は略)
七 前各号に掲げるもののほか、道路又は交通の状況により、公安委員会が、道路における交通の危険を生じさせ、又は著しく交通の妨害となるおそれがあると認めて定めた行為
例えば、東京都公安委員会は「みだりに…車両等の中から身体…を出す行為」を禁止行為として定めている。
(道路における禁止行為)
第17条 法第76条第4項第7号の規定による道路における禁止行為は、次に掲げるとおりとする。
((1)〜(3)は略)
(4) みだりに物件を道路上に突き出し、又は車両等の中から身体若しくは物件を出すこと
((5)〜(9)は略)
筆者は47都道府県すべての公安委員会の規則を確認したわけではないが、微妙な表現の違いはあるが、おおむね同じ表現で禁止行為を定めているようだ。
小泉氏が「箱乗り」したとみられる埼玉県でも同様の規定がある。
◯ 進行中の車両等からみだりに身体を出し、又は物を突き出すこと。(大阪府、第14条参照)
◯ 車両(大型自動二輪車、普通自動二輪車及び原動機付自転車を除く。)に乗車して、交通の危険又は妨害となるような方法で、みだりに当該車両から身体若しくは物を突き出し、又は物を車外で振り回すこと。(福岡県、第21条参照)
◯ 進行中の車両から広告物、宣伝びら、風船その他の物を散布し、又はみだりに身体を出し、若しくは物を突き出すこと。(埼玉県、第16条参照)
これら公安委員会が定めた禁止事項も、道路交通法76条4項により「何人もしてはならない」行為に含まれ、それに違反したら、5万円以下の罰金刑に処せられることになっている(法120条1項10号)。
先ほどのシートベルト着用義務とは異なり、これら法76条4項7号による禁止行為は、公職選挙法が適用される選挙運動の場合に免除するという例外規定はない。
実際に、選挙運動中の「箱乗り」が摘発された事例があるかどうかは不明だし(選挙に大きな影響を与えるので警察は抑制的になるだろう)、「みだりに」という要件もあるため判断は容易でなさそうだが、「車の走行中に身を乗り出す」行為が、法的に全くのシロ(疑いなく合法)だということもできない。
元検事の前田恒彦氏ははっきりと「箱乗りはアウト」と指摘している。

「箱乗り」動画の検証
JFC記事が検証対象とした小泉氏の「箱乗り」動画は、参議院選挙の公示前である2025年6月30日に投稿されたもの。「選挙期間中でもないのに、シートベルトなしで」と書かれていたが、実際は選挙期間中のものだから誤りだとJFCは指摘した。
小泉進次郎
— メ ー に ゃ 🐑🤍元ケアマネ兼リハビリ/作業療法/理学療法/言語聴覚/看護師/介護士/保育士 (@111meenya) June 30, 2025
選挙期間中でもないのに、
シートベルトなしで、箱乗り!!!!
これ、警察は違反切符ださないの?pic.twitter.com/TWXhaKOkfW
この動画はJFCが指摘した通り、2024年10月19日にも投稿されている。
今日の昼の進次郎
— ちょむに🧬 (@chomuni3232) October 19, 2024
めちゃくちゃお祭り感覚でみんな来てた
まぁ有名人だし俺も人のこと言えんが pic.twitter.com/jns46LBfl1
「今日の昼の進次郎」と書かれており、投稿された2024年10月19日昼に撮影されたものと推定される。しかし、これだけでは「推定」しかできない。
JFCは、これが本当に当日撮影されたものかどうか、どこで撮影されたものか、人為的操作がないかどうかを確認する作業(専門的には「ベリフィケーション」(verificafation)という)を十分に行ったのだろうか。
記事にその形跡が見られない。あっさりと、この日(2024年総選挙の選挙期間中)に撮影されたものと認定してしまっている。

検証してみよう。
当該動画をGoogleレンズで検索すると、複数ヒットするが、最も古いものが、先に挙げた2024年10月19日の投稿だと確認できる。初出の可能性が高いが、まだ断定はできない。
では、どこで撮影されたものか。実際にこの日その場所にいたのか。都道府県ごとに公安委員会の禁止規定がやや異なるため、撮影場所の確認も不可欠である。
動画を見ると、いくつか周辺の建物が写っている。そのうち特徴的なのは「LINX YAMAZAKI」というビルだ。

これをGoogle Mapで調べると、埼玉県朝霞市内の建物と特定できた。Googleストリートビューで、近隣のレストラン「デニーズ」や「すき家」などが投稿された動画と一致しており、この場所で間違いないと言える。

では、小泉氏は2024年10月19日に埼玉県朝霞市内に選挙運動のため来ていたのか。
小泉氏のX投稿の履歴を調べると、この日午後1時から、保坂泰氏(当時、外務大臣政務官)の朝霞駅前での応援演説が告知され、実際に駆けつけていたことが、小泉氏の公式X投稿で確認できた。
朝霞駅南口でお会いしましょう。 https://t.co/UJAVLIfvKX
— 小泉進次郎 (@shinjirokoiz) October 19, 2024
埼玉の3か所を終えて、次は東京へ。 pic.twitter.com/R2BwDE33T5
— 小泉進次郎 (@shinjirokoiz) October 19, 2024
ここまで調べて初めて、小泉氏が10月19日昼ごろ、埼玉県朝霞市に選挙運動のために来た際、問題の「箱乗り」投稿が撮影されたとみて間違いないと言えるだろう。
そして、選挙運動中なので、後部座席に乗っていた小泉氏が「シートベルトを外すこと」自体は道交法により違法ではないが、埼玉県内での走行中の行為は埼玉県道路交通法施行細則16条による禁止規定の適用は免れない。
小泉氏が走行中の車の窓から身を乗り出して手を振る行為が、「進行中の車両からみだりに身体を出す行為」に該当するかどうかは、法律の当てはめ問題、すなわち、評価の問題である。
ある特定の行為をしていたことが「事実」だとして、その行為が法律の規定に当てはまるのかどうかという「評価」は、(警察・検察など)法執行機関、最終的には司法機関(裁判所)が判断することとなる。
もちろん、何人であっても法的な評価や論評をすることは自由である。だが、それは一つの「意見」に過ぎない。同じ事実を見ても「適法か違法か」の法的評価が異なることは、法律専門家ですらよくあることだ。
従って「ファクトチェック」と称して、Aという事実を前提に、Bという法律的規範に当てはまるかどうかの評価を下すことは慎重であるべきなのだ。誰が見ても異論なく明白に言えるケースならともかく、そうでない場合に一つの法的な「意見」を基準に、「ファクトチェック」と称して第三者の言説を誤情報だと表明するのは、適切ではないだろう。
※ JFCは以前にも記事の結論で「パワハラの定義にあてはまる行動だ」と、具体的事実を法的概念に当てはめ法的評価を表明したことがあった。
まとめ:JFC記事の問題
2024年10月の総選挙当時、小泉氏の「箱乗り」動画は道交法違反ではないかとの指摘が相次いでいた。そう断じる投稿も拡散していた。
【悲報】小泉進次郎さん、走行中の自動車の窓から身を乗り出して手を振るう道路交通法違反をしてしまう https://t.co/sT8LD14Frq
— 秀虎 (@DFHkHMoX9WNwwt2) October 20, 2024
ルールを守らない。進次郎。
繰り返しになるが、ある事実が法律に触れ「違反しているかどうか」は評価の問題である。断定は言い過ぎに思えるが、所詮は一つの意見であって、正しいとも間違いとも言い切れない。走行中の車から身を乗り出していたという「事実」を前提に、違法性を論ずる「意見」表明は自由である。従って、ファクトチェックとしてこの投稿を「誤情報」ということはできない。
この動画が拡散していた2024年10月当時、JFCはファクトチェック記事を出さなかった。今回の検証対象の投稿は、そのタイミングや「選挙期間中でない」といった表現も相まって、撮影時期を誤解させる恐れがあり、取り上げる理由はあったかもしれない。
ファクトチェックとして「2024年の選挙期間中のものだ」と指摘するところまではいいだろう(撮影日や場所の検証は不十分だったが)。
だが、「これ、警察は違反切符ださないの?」との疑問を提起した当該投稿に対し「選挙期間中、候補者はシートベルトを着用する義務が免除されるので違法にはなりません」と断じるのは、ファクトチェックとして明らかに不適切であろう。
しかも、問題のJFC記事は「車から体を乗り出す行為については危険視する自治体もある」とか「自粛を呼びかける自治体もある」と言及しているが、いわゆる「箱乗り」行為が道交法や公安委員会の規則で禁止され、処罰の対象となり得ることには全く触れていない。
結果的に、小泉氏の「箱乗り」行為が道交法と公安委員会の規則の適用を受ける余地があることを読者に知らせず、逆に、「選挙運動なので(自粛が求められることはあっても)違法になることはない」との印象を与える可能性が大きい。適法性について疑問を示す意見表明をも萎縮させかねないのだ。
小泉氏への批判的投稿を多数検証
最後に、一つの事実を指摘する。
JFCは、小泉氏に関連した言説をこれまで少なくとも12回、ファクトチェック記事を発表している。そのうち11本の記事は、小泉氏の言動等を批判する一般ユーザーのSNS投稿を取り上げ、誤情報と指摘するものだった。
もともと注目度が高い政治家だが、記事は小泉氏が自民党総裁選に出馬した昨年8月以降に集中している(後掲【資料】参照)。
今回の記事以外にも、検証内容に疑義のあるものが散見される(筆者X投稿)。
他方、最近、小泉氏の発言内容の真偽をめぐり波紋を呼んだ事案が複数あったが、JFCが検証することはなかった(産経新聞、帝国データバンク、読売新聞、ググットニュース参照)。これまでに、小泉氏自身の発言を検証したのは一度だけである(2024年9月)。
これが偶然なのかどうかは不明だ。JFCの古田編集長は「小泉進次郎氏は偽情報の標的になっている」との見解を繰り返し表明しており(例)、小泉氏への批判的な投稿のチェックに注力している可能性がある。なお、古田氏は過去に、小泉氏の政治活動を好意的に報道したことがある。
【追記】
(1)シートベルト着用免除の対象となる自動車について
シートベルトの着用義務免除に関して、補足しておきたい。
道交法上、着用義務が免除される場合は「選挙運動のために使用される自動車」(選挙運動用自動車、いわゆる「選挙カー」)に限られている。「選挙カー」以外の車では、選挙期間中でもシートベルト着用義務は免除されない。
(座席ベルト及び幼児用補助装置に係る義務の免除)
第二十六条の三の二 (第1項は略)
2 法第七十一条の三第二項ただし書の政令で定めるやむを得ない理由があるときは、次に掲げるとおりとする。
(一〜七は略)
八 公職選挙法の適用を受ける選挙における公職の候補者又は選挙運動に従事する者を同法第百四十一条の規定により選挙運動のために使用される自動車の運転者席以外の乗車装置に当該選挙運動のため乗車させるとき。
ここでいう「選挙カー」は、選挙管理委員会が定めた「表示」が義務付けられている(公職選挙法141条5項)。この表示物は選管が立候補届出時に配布しているものだ。
(自動車、船舶及び拡声機の使用)
第百四十一条 (第1項〜第4項は略)
5 第一項本文、第二項本文又は第三項本文の規定により選挙運動のために使用される自動車、船舶又は拡声機には、当該選挙に関する事務を管理する選挙管理委員会(…略…)の定めるところの表示(自動車と船舶については、両者に通用する表示)をしなければならない。
今年の参院選で広島県選管が配布した「7点セット」の写真がある。その中に「選挙用自動車」と赤字で書かれた表示板がある。それほど大きなものではないが、これを選挙運動用自動車(選挙カー)で表示する必要があるということだ。一般的には運転席・助手席のダッシュボードなどに取り付けるようだ(読売新聞のイラストも参照)。

改めて、小泉氏が「箱乗り」していた時の自動車を見てみる(動画)。
外形的には一見、普通の黒塗りのバンで、選挙カーには見えない。表示板を取り付けていたようにも見えない。

昨年の衆議院選挙でのことで今となっては確かめようがないが、小泉氏が乗っていた車は、選挙期間中にシートベルト着用義務が免除される「選挙運動用自動車」ではなかった可能性がある。
JFCの記事は、シートベルト着用義務の免除により違法ではないと断定しているが、必ずしもそうとは言い切れないということだ。
(2)JFC記事を紹介したテレビ朝日の誤報と「追記」修正
InFact(インファクト)は7月8日、小泉氏とは別の候補者の「箱乗り」動画を素材にしたファクトチェック記事を公開した。警察への取材をもとに、箱乗りは法令に抵触する可能性があることを指摘している。後日、琉球新報に転載された。
だが、JFCは7月11日、7月2日公開したファクトチェックの訂正をすることなく、新たに、ほぼ同内容のショート動画を配信した(X、YouTube、Tiktok、Instagramで確認)。一般人が見れば「選挙期間中はシートベルト着用義務が免除されるから、箱乗りは違法ではない」と理解するほかない構成になっている。
TikTok、YouTube、Instagram、X:
— 日本ファクトチェックセンター(JFC) (@fact_check_jp) July 11, 2025
小泉進次郎さん、シートベルトしてなかったって本当!?【ファクトチェック】#小泉進次郎 #選挙 #AI生成 pic.twitter.com/KdnEXMZ2TS
さらに、7月17日、テレビ朝日の「羽鳥慎一モーニングショー」で、JFCの「箱乗り」動画に関するファクトチェックが取り上げられた。
放送では、羽鳥MCがパネルを使いながらJFCの検証結果を説明し、選挙期間中はシートベルト着用義務が免除されることを指摘し、「昨年10月の選挙期間中であれば、これは問題のない行為ではあるんですけれど、これが今回の参院選の公示日の直前、選挙期間中でもないのに、ということで拡散されましたよ、ということです」と説明していた。

その内容は「参院選 あふれるデマや真偽不明の情報 どうファクトチェック?プロが徹底解説」と題したテレ朝のウェブ記事にも掲載された。

このテレ朝の取り上げ方から、次の2点を指摘することができる。
① テレ朝の制作陣も、当初、JFCのファクトチェック記事から「選挙期間中はシートベルト着用義務が免除されるため、箱乗りをしても違法にはならない」と解釈・理解していたこと
② JFCが、テレ朝の制作陣に当該ファクトチェック記事を番組で使用し、その解説の内容についても承諾していたとみられること
つまり、JFCは、正確性に欠ける内容のファクトチェックを訂正することなく、テレ朝に提供し、放送させた疑いがあるということだ。
その後、テレ朝のウェブ版記事には、箱乗りが「東京都の(公安委員会)規則では禁止行為にあたる」という情報が追記された(7月25日ごろ追記されたとみられる)。

比較してみればわかるが、当初の「違反ではありません」という記述も「違反とはかぎりません」に上書き修正されていた。元のJFCの記事は追記や訂正がなされておらず、テレ朝独自の取材と判断に基づいて加筆修正されたと考えられる。
7月17日の放送では、選挙期間中は箱乗りしても問題がない(違法になる可能性がない)と言い切っていたが、一転して、選挙期間中の箱乗りが違法になる可能性があると認識し、当初の放送の誤りに気づいたのであろう。
であれば、放送番組内でも明確に「訂正」がなされるべきではないだろうか。
(以上、【追記】(1)・(2)ともに7月28日に追記した)
(3)テレビ朝日の「お知らせ」
テレビ朝日はモーニングショーの番組公式サイトで、事実上修正する内容の「お知らせ」を掲載した。放送から1ヶ月あまり経過しての掲載となった。
事後的な取材で「箱乗りの姿勢や状況によって危険性があると判断されれば、取り締まりの対象になる可能性も」あることを認めた。だが、「問題ない行為」と説明したことについて、放送での訂正や説明は見送った。番組のX公式アカウントでも告知しなかった。

(以上、【追記】(3)は8月25日に追記した)
最後に、ファクトチェックの原則を示し、本稿はひとまず締めくくることとする。
【資料】
国際ファクトチェックネットワーク(IFCN)の行動原則より
※JFCは2023年5月31日にIFCNに加盟が認められ、現在、1回目の更新審査中である(2025年7月5日現在)。加盟団体はIFCNの原則や審査基準を守ることが求められ、情報公開や活動に問題があれば誰でもIFCNに情報提供できる。
(第1原則)
加盟団体は、全てファクトチェックにおいて同じ基準を用いて言説のファクトチェックを行います。一方のサイドに偏ったファクトチェックはしません。全てのファクトチェックを同じ手続に従って行い、証拠をもって結論を語らせるようにします。私たちは、ファクトチェックの対象とする問題について、特定の政策的立場に立ったり擁護したりすることはしません。
(Principle 1: A Commitment to Nonpartisanship and Fairness)
Signatory organizations fact-check claims using the same standard for every fact check. They do not concentrate their fact-checking on any one side. They follow the same process for every fact check and let the evidence dictate the conclusions. Signatories do not advocate or take policy positions on the issues they fact-check.
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※No.10の記事のみ、小泉氏の発言内容を検証したもので、それ以外は小泉氏(親族を含む)に言及されたSNS投稿を検証したものである。氏名は記事に記載された担当者名。太字は「編集」担当。タイトルの末尾の【ファクトチェック】表記は割愛した。
