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天声トラ語|疲れすぎてやらかした話。

先日、他店に応援に行った。車で20分くらい。何度か行ってる場所であり、忙しくも楽しく過ごした。

帰り、本屋に寄った。バスで駅前の書店に行き、閉店ギリギリまで話題の本を見たり、探したり……うろうろした。本屋は本当に楽しい。3冊ほど買い物をして大満足で電車に乗った。

そして、最寄り駅。改札を出る。夜風が気持ちいい。でも、なにか足りない気がした。電車の中に忘れ物か。買った本はちゃんと3冊ある。Suicaも財布も鍵もスマホもある。完璧。気のせいかと駅前のコンビニに入り、ようやく気付いた。私は車で出勤した。なぜバスと電車を乗り継いて帰宅したのか。

世界が色を失うとは、こんな感じ。町のざわめきも、普段気になる人の話し声も、車の音も何も聞こえない。自然な乗り継ぎ。アサシンか私。今から戻るにしても、最終バスはもう無い。ここからタクシーだといくらになるか。そんなバブリーなこと、物価が高騰している折、避けたい選択肢だ。車が無いと仕事がやりにくい。まあ、無くてもなんとかなる。早く帰宅して本が読みたい。私は、あろうことか車出勤を無かった事にした。もう帰る。

疲れすぎると余計なことしかしない。いや、本屋が悪いのかもしれない。あの非日常癒し空間が職場という名の戦場で戦った私の記憶を全て奪った。

癒しは毒だ。戦地帰りの脳みそには、あの静けさは麻薬である。みんな、本屋に行くときは覚悟しろ。記憶も現実も、置いてきぼりにされる。



(601文字)






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