コモ活シリーズ⑮---雲の近くを飛ぶ、チビッコ・ジェット族 (コウモリの基礎知識)

私はどのコウモリも(大抵は)可愛いと思いますが、特にメキシコオヒキコウモリマニアです(♥ω♥) (見出しも同じ。copyright free)
飛行・身体能力、知性、性質、可愛い…好きな理由は沢山あれど、一言で言うとミラクル・チビッコだから(詳しくは末尾の拙著をどうぞ)。
メキシコという名前ですが、生息場所はほぼ米国。一部が越冬のためにメキシコに渡ります。しかし、メキシコでは彼らの越冬できる洞窟が多数破壊されている現状。アメリカでも減少している州が… (TωT)
私がこの種を初めてアメリカで見たのは、コウモリ好きになるずっと前。
テキサス州ダラス(ご存知の方も多いでしょうが、現代的な大都市)のネイティヴの友人に「ここではコウモリは全然特別じゃなく、鳥みたいな感じ」とは聞いていましたが、当時の私はコウモリ=黒くて大きめ、やや不気味なイメージを持っていました。
でも、実際に遠目で見た感じは小鳥みたいで意外でした。
その後大好きになり、北米の友人(コウモリ専門家)に教えて頂いています。

メキシコオヒキコウモリ(Mexican Free-tailed Bat 又はBrazilian free-tailed bat, Tadarida brasiliensis) は、体長6-10cm程度、体重約10g、体毛は茶かグレー。寿命は15~20年。昆虫食。非常に多頭で密着した群棲を好む。岩の割れ目等を好む(crevice-dwelling species)。人間に聞こえる周波数も使う。
片手に収まる小ささで、上空10000 フィート以上(約3300メートル以上)の高さまで超スピーディーに舞い上がる事ができる。これは世界の全コウモリ種で最も高い高度。
It’s unknown how fast they fly upwards, but they can reach heights up to 10,000 feet.
下の画像左は、飛ぶ鳥で最大級のアンデスコンドル(絶滅危惧種)。でかっ!標高5000m以上を飛ぶそうです。右がメキシコオヒキコウモリ。まるでゾウとアリですね。

約3300mってどれくらいでしょう?
あべのハルカスと横浜ランドマークタワーが約300m、その約11倍!(゚Д゚ノ)ノ

富士山は標高3776.12 m。それより約380m低い。標高約3300mの山を調べたら日本には見当たらず、北米では以下が相当するようです。
●カナダ ブリティッシュコロンビア州 カナディアンロッキー
ホワイトホーン山(奥の三角形の山) 3399メートル

●カナダ ブリティッシュコロンビア州 カナディアンロッキー
ヘクター山(中央の山) 3394メートル

●アメリカ、モンタナ州 パイオニア山脈
トゥイーディー山 3401メートル

3300mってどれくらいか実感が湧きました? 雲に近いですね。登山経験のある方は実感できるのでは。
繰り返しますが、
片手に収まる、虫より少し大きい程度の吹けば飛ぶよなチビッコが、超スピーディーにその高さまで舞い上がる!(゚Д゚;)
コウモリは、哺乳類でそんな事ができる唯一の動物です。

そして高空を飛ぶだけでなく、メキシコオヒキコウモリは ” コウモリ界のジェット族 " と呼ばれ、鳥を含めた飛行動物で世界最速の、時速160kmの
水平飛行をします。
その計測は大掛かりなもので、航空機を使い、無風(又は微風)条件下で研究者達によって行われました(※)。ちなみに垂直飛行の最速はハヤブサ。コウモリは軽すぎて降下に重力を使えません(´;ω;`)
(※)Airplane tracking documents the fastest flight speeds recorded for bats | Royal Society Open Science
Bats are typically considered to be slower flyers because of their less efficient wing structure; animals with wider wings generate greater wind resistance than those with long, narrow wings. Against all odds, the Mexican free-tailed bat still finished first.(MSN)
(訳) コウモリは、あまり効率的でない翼の構造により、一般的に遅めの飛行者であると考えられています。より広い翼を持つ動物は、コウモリの長い、幅の狭い翼よりも大きな風抵抗を発生させるからです。全ての困難にも関わらず、メキシコオヒキコウモリは1位でゴールしました。
この種は高い知性と豊富な言葉を持つ事も、テキサス大学等による研究で明らかになっています。歌も歌いますよ。
「ビリオンダラー・バット」の別名があり、害虫捕食の働きで農業に年間何兆円もの貢献をしています。まさにミラクル・チビッコ!(゚Д゚ノ)ノ
テキサス州のBracken Caveにはこの種の巨大コロニーがあり、哺乳類では世界最大です。
★コウモリの翼の形は種によって違うよ!
オヒキコウモリの翼は長くて幅が狭く、高速飛行に適した形。
世界のオヒキコウモリ種(尻尾がある)はコウモリの中でも高空を高速で飛びます(日本ではオヒキコウモリの目撃例はレア)。

でも、昔から「鳥のように飛びたい」という詩や歌は多くても、コウモリのように…は聞きませんよね。
軍用機では米軍だけでもファルコン(ハヤブサ)、スカイホーク(タカ)、イーグル(ワシ)、オスプレイ(ミサゴ)とか。ロシアやドイツ等を含めると猛禽の名前のついた軍用機も多数あります。

新幹線に、はやぶさ、はくたか、つばめ等が使われているし、鳥の名前の列車も多いです。
でもコウモリの名前のついた乗り物ってバットマンのバットモービルとバットタンク以外ないよね? 架空の乗り物だし。
戦闘機には非力ですが、軽量でスピードの出る乗り物には、あってもいいと思うけどな〜。


テキサス州オースティン。保護団体に救助されたメキシコオヒキコウモリが放獣される様子。大勢の人は、名物のコウモリ出巣を見に来る観光客。
こんなに多くの人が物珍しさだけで来ているとは思えない。やはり「高く飛ぶ者」への憧れがあるんじゃないでしょうか。群れ飛ぶ姿も美しいです。
哺乳類最大のコロニー、Bracken Cave。1分半位
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★どこにも所属しないコウモリ愛好家です。特にメキシコオヒキコウモリを愛し、親しい専門家にも教えてもらいながら探求しています。
★本来は著述業です。誤解されがちなコウモリという素晴らしい動物の魅力を広めたくて本を書いたり、保護団体の支援等の「コモ活」をしています。
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