【終活日記】LUUPで死亡事故: 「新しい交通インフラ」実現の難しさ
はじめに
インターネットニュースで、LUUPで初の死亡事故が発生したことを知りました。
「2026年6月2日午後10時10分頃、東京都北区王子の北本通り交差点で、LUUPの特定小型原付に乗っていた62歳男性が軽貨物車と衝突し死亡。」
亡くなられたのは62歳の男性とのこと。年齢的にも、とても他人事とは思えません。 最近では、銀行やレストランの一角にポート(駐輪場)が設置され、街中で乗っている人を本当によく見かけるようになりました。
しかし、その乗り方を見ていて、はたから「怖い」と感じることも多かったのが本音です。
いきなり歩道に入ってくる
ヘルメットをかぶっている人がほとんどいない
車道を左から右へ、急な車線変更をする
いつか大きな事故が起きるのではないかと危惧していましたが、とうとう最悪な事態につながってしまい、非常に悲しく、胸が痛みます。
なぜ、LUUPの規制はこれほど緩いのか?
最近、自転車には「青切符」制度が導入され、交通違反への規制が大幅に強化されました。
ところが、LUUPをはじめとする電動キックボードは「特定小型原動機付自転車」という新しい区分に指定され、真逆の扱いを受けています。
「16歳以上であれば免許不要」
「ヘルメット着用は努力義務」
「自転車よりも危険性が高そうなのに、なぜ優遇されているのか」と、世論から批判を受ける大きな要因がここにあります。
国がここまで規制を緩和した理由は、主に以下の3点だと言われています。
次世代のクリーンな短距離移動手段(マイクロモビリティ)を国内に普及させたいという国策
実証実験において「事故率が極めて低い」というデータが政府に提出されたこと
最高時速が20km(歩道は6km)に機械的に制限されていること(※自転車は出す気になれば30km/h以上出ます)
しかし、実際に街中でのマナー違反を見ていると、理由の②と③については、行政の判定が少し甘かったのではないかという気がしてなりません。
莫大な資金を集めるLUUPの業績と出資者
これだけ批判を浴びながらも事業が拡大している背景には、LUUPの背後にある巨大な資本力があります。
気になってその舞台裏を調べてみました。
LUUPは未上場企業のため詳細な財務開示はありませんが、報道や推定によると以下のような経営実態のようです。
年間売上高: 推定60億〜90億円規模(中央値80億円程度)
累計資金調達額: 約214億円(2025年11月時点)
直近の動き: 44億円の資金調達(エクイティ・デットファイナンス)を実施
収支: 年間およそ20億円規模の赤字
現在のところは先行投資による巨額の赤字ですが、将来的な「上場(IPO)」によってそれを取り戻す戦略のようです。
さらに驚いたのは、出資者の顔ぶれです。
VC・金融機関: メガバンク系のベンチャーキャピタルなど
事業会社: ファミリーマート、東京海上ホールディングス、大手不動産ディベロッパーや鉄道会社など
著名な個人投資家: メルカリ会長の小泉文明氏、篠塚孝哉氏、佐藤裕介氏など
そうそうたる有力企業・投資家が揃っています。
LUUPは単なる乗り物のレンタルサービスではなく、利用者・地権者・自治体・関係省庁、そして世論といった多数の利害関係者を巻き込みながら「新しい交通インフラ」そのものを構築しようとしている。
だからこそ、将来の莫大な価値(都市の移動データなど)を見据えて、先行投資する価値が高いと評価されているようです。
今回の事故が及ぼす影響と海外の状況
今回の死亡事故を受けて、SNS上では「廃止にしろ」という不要論が再燃するなど、社会的な反発はさらに強まっています。
しかし、現時点で国による急な規制強化の動きは見られず、事業はこのまま継続されそうな気配です。
ここで、海外の同じようなサービスの現状に目を向けてみると、非常に興味深い事実が分かります。
パリ(フランス): 事故やマナー悪化により、住民投票でレンタルが「全面禁止」に
マドリード(スペイン): 安全基準をクリアできず、行政から許可取り消し
ベルリン/ミュンヘン(ドイツ): 完全に整備された自転車専用レーンのみ通行可能(違反者への罰金は高額)
ニューヨーク/ロンドン: キックボードではなく、電動アシスト自転車のシェアリングが定着
海外の事例を見ると、一つの教訓が浮かび上がります。
「モビリティの普及スピードに対して、行政の規制や街のインフラ(専用レーン)の整備が追いつかない都市は、必ず破綻する」
おわりに:「新しい交通インフラ」実現の難しさ
LUUPは若者にとっては手軽で便利なモビリティかもしれませんが、私たちシニア世代にとっては、構造的に極めて難しい乗り物だと感じます。
安定性の問題: タイヤが小さく、足を乗せるステップも狭いため、バランスを保って運転するのが難しい。
平衡感覚の衰え: 認めたくはありませんが、平衡感覚は30代を過ぎると確実に落ちていきます。
反射神経の衰え: 流れの速い車道を一緒に走るには、シニアの反射神経ではリスクが高すぎます。
かつて私の同僚が、久しぶりに400ccのバイクを購入し、「第二の人生の趣味」としてツーリングを楽しんでいましたが、不慮の事故で亡くなりました。残されたご家族の深い嘆きと悲しみを見るのは、本当に辛いものでした。
どんな乗り物であっても、事故を完全にゼロにすることはできません。
しかし、これからの超高齢化社会を考えると、誰もが安心して使える「新しい交通インフラ」であってほしいと願います。
日本でLUUPのような電動キックボードを本当に成功させるには、ドイツのように車道でも歩道でもない「完全に独立した専用レーン」が必須な気がします。
しかし、すでに過密な日本の都会で、新たに専用レーンを作るスペースを確保するのは、ほぼ不可能です。
最近では、自転車の規制強化に伴い、東南アジアで見かける三輪車「トゥクトゥク」のEV日本仕様(※普通免許が必要で安定性が高い)を購入する人が増えているというニュースも目にしました。
(累計1万台を突破しているそうです)。

形はどうあれ、「新しい交通インフラ」の動向からは今後も目が離せません。
一時の流行や企業の利益だけでなく、老人に優しく、乗る人も歩く人も安全なサービスが社会に定着することを、切に願っています。
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