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集客を「経営者だけの仕事」にする士業事務所が伸び悩む理由

士業事務所の経営において、集客と営業は避けて通れない重要な課題です。

多くの事務所では、WEBマーケティング、人脈づくり、提携先開拓などを経営者自身が担っています。

それ自体は間違いではありません。
むしろ、経営者が集客にまったく関与しない事務所はほとんどないでしょう。

問題は、集客と営業を「経営者だけの仕事」と位置づけてしまうことです。

この構造が続くと、事務所は一定の規模までは成長しても、どこかで伸び悩みます。あるいは売上が伸び続けていたとしても、別の歪みが生じやすくなります。

▮集客、営業を経営者だけが担うと何が起きるのか

❶経営者の限界が、そのまま事務所の限界になる

オフラインの人脈営業は典型的な属人的手法です。

交流会への参加、コミュニティ活動、案件紹介。
これらは時間と裁量を持つ経営者だからこそ可能な活動です。

さらに、キャラクターや過去の信頼関係が決め手になることも多く、万人にとっての再現性がないのでスタッフが同じようにはできません。

提携先開拓も同様です。

相手にどんなメリットを提示できるかは経営判断を伴うため、スタッフが同じように動くのは難しいです。

「うちはWEB集客が中心だから問題ない」という声もあるでしょう。

しかし、WEBであっても本質は同じです。

  • 誰に

  • 何を

  • どうやって

  • いくらで

  • どこまで提供するのか

この設計ができなければ、WEB会社に委託しても成果は出ませんし、
共通言語がなければ打ち合わせすら成立しないからです。

だから士業事務所の経営者であってもある程度はマーケティングを学んで
おかなければなりません。

ただ、結果として、集客も営業も、やはり経営者の仕事になります。

そして気づけば、「経営者しか分からない領域」になっていき、経営者の限界がそのまま事務所の限界となるのです。

➋経営と現場の分断が起きる

経営者が案件を受注し、スタッフに「よろしく」と渡す。この構造が圧倒的に多いのですが、この流れが固定化すると、経営と現場は分断されます。

スタッフは、

  • この案件はなぜ受任したのか

  • 依頼者は何を期待しているのか

  • 紹介者との関係性はどうなっているのか

を知りません。

結果として、案件は「顧客」ではなく「処理対象」になります。もちろん、依頼通りに業務を完了させれば実務上は問題ないかもしれません。

しかし紹介案件であれば、紹介者への進捗共有が必要な場合もありますし、
期待値を超える対応が求められることもあります。

背景が共有されていないと、こうした配慮は生まれません。
そして小さなズレが、クレームや信頼低下につながることも少なくありません。

特に、提携が決まって1件目の案件紹介などは最高の対応をしないと二度と紹介は来ません。そうわかっているのに、1件目で不評を買う対応しかできない事務所が多いのは分断が起きている証拠と言って差支えないでしょう。

▮なぜスタッフは売上に無関心になるのか

集客や営業の前提が共有されていない事務所では、スタッフにとって案件は「顧客」ではなく「処理対象」になります。

・なぜこの顧客を大事にしているのか。
・なぜこの案件を受けたのか。

それを知らない以上、売上にも顧客満足にも関心は持てません。

経営者は「もっと意識を持て」と思い、
スタッフは「自分たちは売上は関係ない」と感じる。

このすれ違いが、分断を深めていきます。

WEB集客している事務所では問い合わせ電話には高いコストをかけています。キーワードにもよりますが、問い合わせ電話1件を取るために2万円程度のコストがかかっていることも珍しくありません。

相談者からの電話を取ったスタッフがてきぱき対応しないと、そのコストを回収するどころか全てが無駄になります。

集客にどれくらいの費用をかけてやっているのかを知らなければ、問い合わせ対応がどれほど重要なことかを認識することはないでしょう。

これも分断されているひとつの結果です。

仕事があることが当たり前になり、できればこれ以上忙しくなりたくない。仕事は増えないでほしい。

こんな感覚のスタッフが増えているとしたら、経営者としてはどんな気持ちでしょうか。

▮情報発信が機能しない理由も同じ

集客のためにスタッフにHPなどでブログを書かせている事務所も今どきは少なくありません。

しかし、

  • 誰に向けた記事なのか分からない

  • 事務所の価値が伝わらない

  • 問い合わせにつながらない

こうした状態に陥っているケースがほとんどではないでしょうか。

前提として、マーケティングの基礎知識を教えずに漫然と記事を書かせているだけで、集客を「価値を伝える活動」として共有していないことが原因です。

マーケティングの前提を共有しないまま情報発信を任せれば、問い合わせも
起きない単なる退屈な制度や法改正の解説記事が量産されるのは当然です。

ブログ担当などのスタッフにはChatGPTなどのツールの使い方だけでなく、マーケティングの基礎も共有しておきたいものです。


▮では、どうすればいいのか

答えはシンプルです。

経営者が集客、営業を一人で抱え込まずに営業活動の一端をスタッフと共有する時間を作ることです。

だからといって、売り込ませることも、数字を追わせる必要もありません。

共有すべきなのは、前提です。

  • 事務所は何を売りとしているのか

  • どんなお客様に満足してほしいのか

  • 売上は何のために必要なのか

  • そのためにどんな活動をしているのか

この前提が共有されるだけで、

  • 問い合わせ対応

  • 案件の扱い方

  • 情報発信の内容

は大きく変わります。

スタッフは「自分の仕事が事務所の価値や存在をどう支えているのか」を少しづつ理解できるようになり、自分の役割の範囲内で、可能な限りの貢献の形を探すようになるのです。

▮経営者が握るべきもの、共有すべきもの

経営者が営業活動を担うこと自体は正しいです。ただし、独占してはいけません。

  • 誰に価値を提供するのか

  • どこで勝負するのか

ここは経営者が市場ドメインの決定として握るべき領域です。

しかし、

  • その価値をどう伝えるか

  • どう維持するか

  • どう満足につなげるか

ここは事務所全体で共有すべき領域です。


▮まとめ

集客を「事務所の価値を伝える活動」として共有できたとき、集客も営業も分断の原因ではなく、事務所を束ねる軸になります。

❶集客、営業活動を経営者が独占しているとスタッフとの間に分断が起きる
➋分断されているから、問い合わせや受注の有難さがわからなくなる
➌有難さがわからないから、事務的で顧客満足度が高まらない
❹結果、伸び悩みやすくなる事務所になる

集客や営業で悩んでいる事務所さんの相談を受けた時には、施策そのものだけでなく、スタッフと何をどれくらい共有しているかを先ず聞くようにしています。

マーケティングの基礎知識や施策の内容も共有せずに、経営者だけが売上作りに必死になっていると前述したような分断が必ず起きるからです。

そして、繰り返しですが、そうした状態を続けていると、問い合わせ対応、案件対応、すべてにおいてスタッフが事務的に案件を処理するだけで顧客満足に繋がらず、うっかりするとGoogleビジネスプロフィールに悪評を書き込まれたりするということも普通に起きます。

成果の出る「集客方法だけ」を知りたいという経営者は多いでしょう。
けれど、経営者一人で取り組んでいると、事務所の中では知らず知らずのうちに分断が起きていたりするものです。

今回は、集客、営業をテーマとしましたが、さまざまな施策を部分最適として行っている事務所では構造上の分断が起きているので、似たような問題が繰り返し起きやすい体質になるのです。

いろんなことに取組んでいるはずなのに、想定以上の成果が出ないのは、
突き詰めていくと構造に問題があるということです。

集客はできている、売上も順調。それなのに事務所全体では一体感がない感じがする。そんな経営者の方は、第三者の視点で整理することをお勧めしています。

・スタッフと理想と認識は揃っているか
・本当に解消すべき課題は何か

それらを整理することで、現状から一歩抜け出し、安定した成長の軌道に乗ることができます。

これまでの努力を振り返りつつ、壁打ちという形で、別の視点で見つめ直す時間を一度取ってみませんか?

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※壁打ちという形で、構造を一緒に整理する時間であり、こちらから何か提案、営業することはありません
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