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売上はあるのにお金が残らない会社に出やすい、決算書の違和感


経理経験約20年の行政書士が見る「会社の数字」

「売上はあるのに、なぜかお金が残らない」

中小企業の経営者の方から、こうした話を聞くことがあります。

仕事はある。
請求書も出している。
売上も前年より増えている。

それでも、通帳残高を見ると不安になる。
税金や社会保険料の支払い時期になると資金繰りが苦しくなる。
借入をしたはずなのに、気づくと預金が減っている。

これは、決して珍しい話ではありません。

私は与信管理などの業務を含め、経理部門で約20年仕事を行ってきました。
その中で感じるのは、会社の状態が悪くなる前には、決算書や試算表、通帳の動きにいくつかの「違和感」が出ているということです。

今回は、専門用語をできるだけ使わずに、経営者の方が最低限見ておきたい数字のポイントを整理します。

1. 赤字だからすぐ倒産するわけではない

まず大事なのは、赤字と倒産を分けて考えることです。

赤字になると、当然よい状態ではありません。
ただ、赤字だからすぐに会社が倒れるわけではありません。

会社が本当に苦しくなるのは、支払うべきお金を支払えなくなったときです。

たとえば、

  • 仕入先への支払い

  • 給与

  • 家賃

  • 税金

  • 社会保険料

  • 借入金の返済

こうした支払いに必要な預金がなくなると、会社の継続は一気に厳しくなります。

逆にいえば、赤字であっても、手元預金があり、資金繰りの見通しが立っていれば、すぐに倒産するとは限りません。

私見ですが、経営者がまず見るべきなのは、利益だけではなく、

「あと何か月、会社のお金がもつのか」

という視点だと思います。

利益は重要です。
しかし、会社を実際に動かしているのは現金です。

2. 売上が増えているのに預金が増えていない

次に確認したいのは、売上と預金の動きです。

売上が増えているのに、預金残高が増えていない。
この状態が続く場合、どこかでお金が詰まっている可能性があります。

たとえば、

  • 売掛金の回収が遅れている

  • 在庫が増えすぎている

  • 利益率が下がっている

  • 固定費が増えている

  • 借入金の返済が重い

  • 税金や社会保険料の支払いを後回しにしている

といった原因が考えられます。

売上はもちろん大切です。
ただし、売上だけを見ていると、会社の資金繰りを見誤ることがあります。

「売上があるから大丈夫」ではなく、
「売上が現金として回収され、預金として残っているか」
を見る必要があります。

3. 売掛金が増え続けている

売掛金とは、簡単にいうと「まだ回収できていない売上」です。

売掛金が増えること自体は、必ずしも悪いことではありません。
売上が増えれば、売掛金も増えることがあります。

ただし、売上以上のペースで売掛金が増えている場合は注意が必要です。

確認したいのは、次のような点です。

  • 入金予定日を把握しているか

  • 予定どおり入金されているか

  • 長期間残っている売掛金がないか

  • 取引先ごとの残高を確認しているか

  • 回収が遅れている取引先に早めに連絡しているか

売掛金は、決算書上は資産です。
しかし、回収できなければ会社のお金にはなりません。

利益は出ているのにお金がない会社では、売掛金の管理が甘くなっていることがあります。

4. 借入金の返済が資金繰りを圧迫している

決算書を見るとき、借入金の残高だけを見る方がいます。

しかし、本当に確認したいのは、

「毎月いくら返済しているか」
「その返済を利益と預金でまかなえているか」

です。

利益が出ていても、毎月の返済額が大きければ、手元のお金は減っていきます。

特に、過去に受けた融資の返済が始まった後や、設備投資の借入が重なっている会社では、資金繰りが急に厳しくなることがあります。

借入が悪いわけではありません。
事業を続けるために、借入が必要な場面はあります。

問題は、返済計画と会社の現金の動きが合っているかです。

借入金一覧を作り、

  • 借入先

  • 借入残高

  • 毎月の返済額

  • 返済終了予定

  • 金利

  • 保証の有無

を整理するだけでも、資金繰りの見え方はかなり変わります。

5. 金融機関との関係も会社の体力になる

会社の資金繰りを考えるうえで、金融機関との関係も重要です。

これは単に「借りられるかどうか」という話だけではありません。

普段から金融機関に試算表や決算書を共有しているか。
会社の状況を説明しているか。
資金需要が出る前に相談できる関係があるか。

こうした積み重ねは、いざというときの選択肢に影響します。

特に中小企業では、当座貸越契約のように、一定の枠内で資金を使える契約があるかどうかも大きな違いになります。

もちろん、当座貸越があれば安心という単純な話ではありません。
金融機関の審査もありますし、会社の財務状況によって条件も変わります。

ただ、必要なときに毎回ゼロから融資を申し込む状態と、あらかじめ一定の資金調達枠を持っている状態では、資金繰りの安心感は違います。

私見ですが、会社を守るうえでは、

「今いくら利益が出ているか」
だけでなく、
「資金が足りなくなりそうなとき、どこに相談できるか」
も大事です。

預金、資金繰り表、金融機関との関係。
この3つは、経営者が定期的に確認しておきたい部分です。

6. 固定費がじわじわ増えている

会社の数字で怖いのは、急激な悪化だけではありません。

毎月少しずつ固定費が増えている状態も注意が必要です。

たとえば、

  • 家賃

  • 人件費

  • リース料

  • システム利用料

  • 広告費

  • 外注費

  • 保険料

  • サブスクリプション費用

こうした費用は、一度増えると簡単には下げにくいものです。

売上が伸びている時期は気にならなくても、売上が落ちた瞬間に重くなります。

固定費は、会社の体力をじわじわ削ります。

毎月の試算表で、

「どの費用が増えているか」
「その費用は本当に必要か」
「売上が落ちても払える水準か」

を確認しておくことが重要です。

7. 社長が数字を見なくなっている

これは決算書の項目ではありませんが、かなり重要です。

会社が苦しくなるとき、社長が数字を見るのを避けるようになることがあります。

  • 通帳を見るのが怖い

  • 税金の支払い時期を直視したくない

  • 借入残高を確認していない

  • 試算表を何か月も見ていない

  • 経理担当者に任せきりになっている

この状態になると、問題の発見が遅れます。

数字は、経営者を責めるためのものではありません。
会社を守るための早期警報です。

早く見れば、打てる手は増えます。
遅くなれば、選択肢は減っていきます。

決算書は「税務申告のためだけの資料」ではない

決算書は、税務申告のためだけにあるものではありません。

会社の状態を知るための資料でもあります。

確認したいのは、次のような点です。

  • 売上は伸びているか

  • 利益は残っているか

  • 預金は減っていないか

  • 売掛金は回収できているか

  • 借入返済は重すぎないか

  • 固定費は増えすぎていないか

  • 金融機関との関係は維持できているか

  • 資金繰りの見通しはあるか

こうした点を定期的に確認するだけでも、会社の見え方は変わります。

経営者に必要なのは、難しい会計知識ではない

細かい会計処理や税務判断は、税理士などの専門家に確認すべきです。

ただ、経営者自身が最低限の数字を読めるようになることは、会社を守るうえで大きな意味があります。

必要なのは、難しい会計理論ではありません。

まずは、

「預金は残っているか」
「回収できていない売上はないか」
「返済は重くないか」
「固定費は増えすぎていないか」
「金融機関に相談できる状態か」

このあたりを見るだけでも十分です。

数字を見ることは、不安を減らすことでもある

資金繰りが不安なときほど、数字から目をそらしたくなります。

しかし、数字を見ないままだと、不安は大きくなります。

逆に、数字を整理すると、

  • 今すぐ対応すべきこと

  • まだ様子を見てよいこと

  • 金融機関に相談すべきこと

  • 固定費を見直すべきこと

  • 回収を急ぐべき売掛金

が分かれます。

不安を減らすには、気合いよりも整理が必要です。

私は、経理経験約20年の行政書士として、決算書や試算表をもとに、経営者の方が自社の状態を理解するためのサポートを行っています。

お問い合わせはこちら

https://west-twentyfour.jp/toiawase/

税務申告や税額計算ではなく、会社の数字を経営判断に使うための整理です。

「売上はあるのにお金が残らない」
「決算書を見ても、どこを見ればよいか分からない」
「融資や補助金を考える前に、自社の数字を整理したい」
「金融機関に相談する前に、数字を見直したい」

そう感じている方は、一度、数字を確認してみる価値があります。

会社の不調のサインは、早く気づけば対策できます。
まずは、決算書を怖い資料ではなく、会社を守るための資料として見ていきましょう。

最後までお読みいただきありがとうございました。

※本記事は、一般的な経営管理・財務管理の考え方を整理したものです。税務申告、税額計算、節税判断、融資の可否判断、金融機関との交渉代理を行うものではありません。具体的な税務判断は税理士、融資・金融取引については金融機関等にご相談ください。

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