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FluxPoseをバックする前に、FAQだけは読んでほしい話

https://www.kickstarter.com/projects/fluxpose/fluxpose-an-occlusion-free-6dof-fbt-tracking-system/description


磁気式フルトラッカー FluxPose の Kickstarter が盛り上がっている。
ビーコンを腰に付けるだけで、ベースステーションなしでフルトラ+グローブまでいける?
そんな触れ込みを見ると、つい「神デバイスでは?」と錯覚したくなる。

ただ、FAQ ページを読むと、実際に使うための前提条件や「環境によっては厳しそうなポイント」がしっかり書いてある。
この記事は FluxPose のネガキャンではなく、「バックする前に、せめてここだけは読んでから判断した方がいいよ」という注意喚起としてまとめておきたい。


FluxPose は何者か?磁気式フルトラッキングというコンセプト


FluxPose は、腰に付けたビーコンが磁場を出し、
その磁場を複数のトラッカーが読み取ることで
「位置と姿勢を絶対座標で求める」仕組みのトラッカーだ。

  • 腰のビーコンが「動くベースステーション」

  • 各トラッカーは 6DoF(位置+回転)

  • HMD にもトラッカーを付けて空間を同期

  • 遮蔽に強く、ドリフトしないことを売りにしている

ベースステーションが要らないのに、Lighthouse に近い精度を目指す。
コンセプトとしてはとても面白いし、スタジオ用途や木造の広い部屋では相性が良さそうに見える。

ただし、その「前提条件」が細かく書いてあるのが FAQ だ。
以下は、個人的に「ここ読まずにバックすると後悔しそう」
と感じたポイントを、日本の住宅事情も含めて整理したメモである。


金属と床の話:RC住宅勢はここをスキップしない方がいい


https://www.kickstarter.com/projects/fluxpose/fluxpose-an-occlusion-free-6dof-fbt-tracking-system/faqs

FAQ にははっきりこう書いてある。

  • FluxPose は、ビーコンが出す交流磁場をトラッカーが読む方式

  • トラッカーからおおよそ 10cm 以内に金属があると精度が落ちる

  • 影響は「金属の種類・量・形」によって変わる

  • 特に「床の鉄筋+足トラッカー」は影響を受けやすい

そのため、FAQでは足まわりについてわざわざ別項目を立ててこう説明している。

  • 足の甲にだけトラッカーを付ける構成は「!」マーク付きの注意扱い

  • 床に金属(鉄筋)がある環境では、足トラが不安定になりうる

その場合の対策として
 足首(ひざ下)にトラッカーを付ける
 足首+足の2トラ構成で「6DOF+Feet IK」モードを使う

ここで一度、日本の一般的な住環境を思い出してみる。

  • 鉄筋コンクリート造のマンション

  • 床スラブと天井スラブの間に人間が挟まっている

  • 天井高は 2.1〜2.4m 程度

  • 部屋の隅には PC・メタルラック・金属脚の机やベッド

つまり、日本の RC 住宅(マンション)の部屋で、
床近くで足トラッカーを使う」というのは、
FluxPose 的に見ると「鉄筋と金属家具に囲まれた、磁場的に厳しめな環境」になりやすい。
とくに太い鉄筋コンクリートの柱の近くは、まずい気がする。

FAQ側もそれを分かっているからこそ、

  • 足は足首主体にした方が安全

  • どうしても足の回転まで正確に取りたいなら、足首+足の二段構成(6DOF+Feet IK)を推奨

と書いているのだと思う。

RC住宅=即アウト、というわけではない。
ただ、「床が鉄筋入り」「足のすぐ下に金属がいる」という条件が揃うと、それなりに気を遣う必要がある、ということは理解しておいた方がよさそうだ。

センサー数と構成の話:Pro でも「全部盛り」にはならない


キット構成はざっくりこうだ。

・Lite:トラッカー3
・Core:トラッカー5
・Pro:トラッカー8

ここで見落としがちなのが、

・ビーコンは腰用として別枠
・ただし「トラッカーのうち 1個は必ず HMD に付ける」前提

という点だ。
実際に「体やグローブに自由に貼れるトラッカー数」はこうなる。

・Lite:3 − 1(HMD)= 2
・Core:5 − 1 = 4
・Pro:8 − 1 = 7

例えば、足元を FAQ 推奨の構成(足首+足の2トラ構成)まで盛り、さらにグローブも同時に使おうとすると、必要数はすぐに増える。

・足首+足 × 2脚 = 4個
・両手のグローブ = 2個
・胸 = 1個
・HMD = 1個
・腰ビーコン = 別枠

この時点でトラッカーは 8個すべて埋まる。
予備も、ひじ・ひざ用も残らない。

肘膝まで「生トラ」で取りたい場合はもっと多い。

・ひじ左右:2
・手左右:2
・ひざ左右:2
・足首左右:2
・胸:1
・HMD:1

ここまで欲張ると、10個以上欲しくなる。
つまり、Pro で 8個という数字は、

  • VRChat標準のフルトラ

  • 足を2トラ構成にするか、グローブを使うか

  • 胸を入れるかどうか

このあたりを「取捨選択しながら運用する」ための本数であって、
「肘膝まで全部盛りで、さらに余裕も欲しい」という用途には、正直足りない。

Pro を買えば全部乗せできる、という期待をしていると、
実際に構成を組んだ時に「あれ、意外と足りないな?」となる可能性は高い。


ビーコンは同時に1個だけ:Pro 2セットで夢が広がるわけではない


FAQ では、トラッカー数とビーコン数についても触れられている。

  • トラッカー自体に理論上の上限はない

  • ただし「同時にアクティブにできるビーコンは今のところ 1個だけ」

  • 複数ビーコン対応は将来のアップデート対象

つまり、Pro キットを 2セット買っても、

・ビーコンはどちらか1つしか使えない
・トラッカーだけが増える
・もう1セットのビーコンやドックは予備や追加の充電ベースとして使うことになる

という扱いになる。

「ビーコン2個で広い部屋をカバーして、トラッキング空間を拡張する」
といった使い方は、現状の仕様ではできない。


ストラップは全部別売り:箱を開けてすぐフルトラ、ではない


FAQ にははっきりこう書いてある。

  • ストラップはキットに含まれない

  • 必要ならアドオンでストラップシステムを追加するか、自作してほしい

つまり、

・Pro キットをポチって
・届いた箱を開けて
・そのまま全身に装着してフルトラデビュー

という未来は来ない。

腰ビーコンと各トラッカーを身体に固定するためのストラップ類は、
別途アドオンで追加する必要があるし、
日本から見れば「税・送料込みの総額」を見て判断するのが現実的だ。

トラッカーの素の価格だけを見ていると、
後からストラップや追加マウントを足していったら、いつのまにかそれなりの金額になっていたということになりかねない。


納期とリスク:2026年秋の Kickstarter である、という事実


FAQ では、配送スケジュールについても明記されている。

出荷は 2026年 8〜10月を想定
早期の「Supporter / Early Bird」
→ その他 Kickstarter キット
→ キャンペーン後購入の順

あくまで 2026年秋「予定」であり、
Kickstarter という仕組み上、遅延や仕様変更のリスクは常に付きまとう。

今すぐフルトラ環境を欲している人にとって、
FluxPose Kickstarter は「予約」ではなく、

  • 2年近く先のフルトラ環境に対する長期投資

  • 新方式のトラッキングに賭ける実験枠

として位置づけた方が現実に近いと思う。


Lighthouse や mocopi とどう棲み分けるか


ここまで書くと、「じゃあやめた方がいいのか?」という話になりそうなので、
いったん他方式との棲み分けも置いておく。

ベースステーションを置ける、配線も問題ない
 → 新規導入なら普通に Lighthouse(Vive系トラッカー)の方が安くて実績も多い

ベースステーションを物理的に置けない/賃貸の制約がきつい
 → mocopi や他の IMU 系(ハリトラなど)の方が、
  今すぐ手に入る・日本語サポートもある

木造の広い部屋がある、ある程度環境もいじれる
 → FluxPose の磁気式フルトラに賭ける意味が出てくる

日本の鉄筋コンクリートマンションの部屋で、
「Lighthouse も mocopi も一切持っていない、最初の一台が FluxPose の Pro」というのは、
正直なところ、そこそこリスキーな選択だと思う。

逆に、木造住宅の広い和室など、
床・壁とも金属が少なく、磁場的に素直な空間」を用意できるなら、
FluxPose のコンセプトはかなり刺さるはずだ。畳の厚さも頼もしい。


それでも FluxPose に賭ける人へ


ここまでいろいろ書いたが、FluxPose というプロジェクトそのものは面白いし、
磁気式フルトラの挑戦を応援したい気持ちはある。

この記事の目的は、FluxPose を叩くことではなく、

  • Kickstarter の上の方だけを見て「ベースステーションいらない神トラッカー」と勘違いしないこと

  • FAQ に書いてある前提条件を理解したうえで、「それでも自分の環境ならいける」と判断してバックすること

この二つをおすすめしたい、というだけだ。

特に、

  • 鉄筋コンクリート造の住宅に住んでいる人

  • 足トラ精度にこだわる人

  • 肘・膝までトラッカーを盛りたい人

このあたりの層は、
Lite / Core / Pro の価格表だけではなく、FAQ の金属・床・センサー数・納期の項目まで一度目を通してから考えた方が、
後で「思っていたのと違った…」とならずに済むと思う。

FAQ を読んでなお、

  • 自分の環境は金属が少ない

  • 足元は足首主体構成でも許容できる

  • センサー数もこのくらいで十分

  • 2026年秋まで待つつもりでいる

そう思えるなら、FluxPoseはきっと良いおもちゃや商売道具になると思う。

ネガティブキャンペーンではなく、
「FAQだけは読んでから飛び込もうぜ」という、ごく素朴な注意喚起として残しておく。

なお筆者は
KickstarterのVR系プロジェクトで、
2年以上経ってもまだ届かないキャンペーンが2つ以上ある。

チェックマークなしが届いていないもの。中華系スタートアップは飛びやすい。

FluxPosは逃げるような会社ではないとは思うが念の為、
保証がない世界に飛び込む覚悟を強くを持ってほしい。


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