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「ラストシーンで一気に押し寄せる感動」


三厳茶屋シアタートラムで公演中の「骨と肉」だ。

主催のJACROWの芝居はこれまで何本か見てきたが、今回が一番好きだ。

内容を言いたくて仕方ないのだが、まだ公演中なので、大部分は差し控える。
だが、この芝居は、
多少の用事ならすっぽかしてでも見に行くべき舞台である。


とある会社のお家騒動をモチーフに、日本企業の在り方を問う物語と紹介されているが、父と娘の伝統的な家具会社にヒントを得て作られていると言えば、皆さんもお判りになるだろう。
だが、舞台はそんな覗き見的な好奇心を満たすだけでは終わらない。

まず、会場に入るとセットの面白さに惹かれる。
JACROWは、毎回セットに工夫をしているのだが、今回も「対決」をテーマに分かりやすく作られている。美術のモチーフに寄り添った衣装も必見だ。

続いて、脚本がぶれたり、笑いを取りに走っていないところが良い。
幾度となく会場が笑いに包まれるが、それは役者たちが脚本に内包されている「人のおかしみ、弱さ、愛しさ」を見事に舞台で表現しているからに違いない。

そして、役者陣の芝居も素晴らしい。
舞台美術がある意味遊びに満ちているので、
うっかりすると奇をてらった笑いに走るのでは、と始まるまでは心配したがそれは杞憂だった。
役者たちは、舞台美術の持つ意味や味わいを
実に効果的に自らの動きに織り込んで、物語を進めていく。

伝統と己のカンに頼って経営をする父。
それでは先が無いと憂いながら会社を変えようとする娘、長女。
日和見に見えて頑固な長男。
可愛げのある仕草と動きの中に強い主張を秘めている次女。

過去の恩義と未来への不安の中でそれぞれの思惑を巡らす
取締役の人々も、その人生観まで感じられて厚みがある。

ご本人は、出る場面が少なくて・・・と謙遜されていた駒塚由衣さんだが、
なんのなんの、「昭和の母」という役どころをしっかり押さえて、
世界観に深みを与えていた。

さらに、この舞台を観ながら感嘆符を上げたのは、ラストシーンだ。
その密度と言い、脚本の巧みさと言い、演出と言い、
見事!としか言えなかった。

演出・脚本の中村ノブアキさんは、
幾度かの対立場面を経て積み重なった心情と、
その後の人間関係を総括して、その場面にぶち込んでくる。

段取りではなく、ほんの一瞬の動きと立ち位置にさえ気を使って
表現しきっているのだ。
*短い場面なので見逃さずにいて欲しい。
父と娘、母と娘・・・多くの人間関係の帰結を含んでいる。

この場面を見られただけでも、充実した気持ちになれた。

JACROWの舞台「骨と肉」は
6月22日(日)まで三厳茶屋シアタートラムにて。
7月5日(土)からは、愛知県芸術劇場 小ホールで公演される。

興味のある方は是非。


#舞台感想 #JACROW #骨と肉 #家具 #三軒茶屋 #シアタートラム #駒塚由衣 #中村ノブアキ #演劇


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