家族と使うLinuxと、自分だけのLinux。Archが壊れた日から始まった2台使い分け生活
デスクトップPCのアップデートを実行したら、起動しなくなった。
「あ、やってしまった」という感覚は、Linuxを使い続けてきた人なら一度は経験があるかもしれない。
私もその一人だ。しかも最悪なことに、家族も使い始めていたデスクトップだった。
この出来事が、結果的に「自分に合ったLinuxの使い方」を整理するきっかけになった。
今日の結論
デスクトップはArch Linux + KDE → アップデートで壊れた → Manjaro Xfce4 に移行
ノートPCは今もArch Linux(お気に入りのまま)
Manjaro:安定・インストール簡単・家族でも使いやすい
Arch:ドキュメントが充実・常に最新・自分好みに仕上げやすい
「誰と使うか」「何を優先するか」で選ぶのが正解。どちらが上でも下でもない
1. Arch Linuxが壊れた日
デスクトップは長いことArch Linux + KDE環境で使っていた。
カスタマイズの自由度が高く、常に最新のパッケージが使える。Arch Wikiのドキュメントは世界屈指の充実度で、困ったことがあれば大抵そこに答えがある。愛着があった。
ある日、いつも通り `sudo pacman -Syu` でシステムアップデートを実行した。
再起動したら、画面が真っ暗なままだった。
KDEがうまく起動しなくなっていた。
Archはローリングリリースのディストリビューションなのでアップデートは日常的に行う。こういうトラブルはまれだが、ゼロではない。本来なら腰を据えてトラブルシューティングをするところだ。
ただそのとき、妻が「ちょっとPC使いたいんだけど」と言ってきた。
——今は直せない。
諦めて、入れ直すことにした。
ちなみに、慌てなかった理由がある。
これまでもLinuxをいじる中で、アップデート時に壊したことは何度かあった。遊びでUbuntuを入れてみたり、Linux Mintを試したりしているうちに、「Linuxは壊れることがある」という前提が身についていた。
だから気づいたら、データの置き場所を分散させていた。
大切なファイルは家のNASかクラウドに置く
プログラムコードはGitで管理する
OSが入っているディスクには、失っても困るデータを置かない
この習慣のおかげで、OSが壊れても「データが消えた」という最悪の事態にはならない。
入れ直せば元通りだ、という感覚があるから、新しいディストリビューションを気軽に試せるようになった。
「壊れても困らない環境」を作っておくと、Linuxはむしろ自由に遊べる場所になる。
2. Manjaroと出会う
入れ直すなら、もう少し扱いやすい環境にしよう、と思った。
選んだのがManjaro Linuxだ。
ManjaroはArch Linuxをベースにしたディストリビューションで、Archの強みを受け継ぎながら、インストールや運用をずっと簡単にしてくれる。GUIのインストーラーがあるので、Archのような手動設定は不要だ。
デスクトップ環境はXfce4を選んだ。
軽量で動作が安定していて、Windowsに慣れた人でも直感的に使いやすい。
bspwmを使っていた頃の「設定ファイルを書き続ける日々」から比べると、拍子抜けするくらいすんなり動いた。
家族が使い始めたのも、自然な流れだった。
3. Manjaroに変えてよかったこと
デスクトップをManjaro Xfce4にして、いくつかのことがラクになった。
アップデートが怖くなくなった
Manjaroはアップデートを独自のリポジトリで管理しており、Archより数週間遅れでパッケージが反映される。「最新すぎて不安定」なパッケージがそのまま降ってくるリスクが少ない。GUIのアップデートマネージャーもあるので、家族でもボタン一つでアップデートできる。
Xfce4は見た目もカスタマイズできる
「軽量イコール地味」というイメージを持っている人もいるかもしれないが、Xfce4はテーマやアイコンを変えるだけでかなりスッキリした見た目になる。「Nord」や「Dracula」といったテーマを適用すると、MacやモダンなUIにも引けを取らない清潔感が出る。bspwmほどの自由度はないが、一般的な使い方では十分すぎるくらいだ。
家族が「普通に使える」
これが一番大きかった。
bspwm環境では、キーボードショートカットを知らないとウィンドウの移動すらできない。家族には敷居が高すぎた。Xfce4に変えてからは、よく使うブラウザやアプリのショートカットをデスクトップに置いて、日本語入力の切り替えもWindowsと同じ挙動に揃えた。「これどうやるの?」と聞かれる回数が明らかに減った。
4. でもノートPCは、今もArch Linuxのまま
デスクトップをManjaroに変えた今も、ノートPCはArch Linuxを使い続けている。
理由は正直なところ、Archの方が好きだからだ。
一番大きいのはドキュメントの充実度だ。Arch Wikiは、LinuxのトラブルシューティングにおいてArch以外のディストリビューションを使っていても参照するほどの信頼性がある。「何かおかしい」と感じたとき、まずArch Wikiを開く習慣がある。
それから、パッケージの新しさ。Manjaroは安定性を優先するためArch本家より更新が遅れることがある。新しいツールをいち早く試したいとき、Archの方が素直に動くことが多い。最近よく使うGemini CLIやClaude Codeも、Arch環境では特に手間なく動いている。最新のAIツールをいち早く試す実験場として、ノートPCはちょうどいい。
ノートPCは自分しか使わないので、多少の不安定さやトラブル対応はむしろ楽しめる。
正直に言うと、Window Manager系(bspwmやi3など)の環境は、慣れてしまうと圧倒的に作業効率がいい。キーボードだけで全操作が完結し、マウスに手を伸ばす時間がなくなる。ノートPCではそのよさを存分に活かせる。
5. 2台を使い分けて気づいたこと
デスクトップManjaro、ノートPCはArchという状態になって、しばらく経つ。
使い分けながら気づいたのは、「どちらが優れているか」という問いがそもそもズレている、ということだ。
Archは自分のための環境を作りたい人に向いている。最新の技術を触り、自分で設定し、問題が起きたら自分で解決する。その過程が楽しい人には最高の選択肢だ。
Manjaroは「Linuxを道具として使いたい」人に向いている。設定で時間を使いたくない、家族と共有したい、アップデートで壊れるのが怖い——そういう場面では、Manjaroの安定感がありがたい。
どちらも「Arch系」というルーツは同じだ。違うのは、誰のために、何のために使うか、だと思っている。
まとめ
Arch Linuxが壊れた日は、正直かなり焦った。
でも振り返ると、あのトラブルがなければManjaroを真剣に試すことはなかったし、「自分と家族、それぞれに合ったLinux環境」を考えるきっかけにもならなかった。
壊れたことで、整理できた。
Linuxの世界に「これが正解」という唯一の答えはない。
自分が何を大切にして、誰と使うのかで、選ぶべき環境は変わってくる。
デスクトップはManjaro Xfce4で家族と快適に。
ノートPCはArch Linuxで自分だけの環境を。
それが今の私の、ちょうどいい落としどころだ。
