#23「空気感で選ぶ、4つのインテリアスタイル」内観パース|スタイル別リファレンス集|Part2
【北欧ミニマル|ジャパンディ|ミッドセンチュリー|ラグジュアリー】
はじめに
インテリアのスタイルは、名前を知るためのものではありません。
本来は、「どんな空気をつくりたいか」を決めるための指標です。
大きな軸を先に決めることで、空間づくりに関わる判断を整理することができます。
前回(Part1)では、内観パースの方向性を定めるための、以下の4つの基本スタイルを整理しました。
・ナチュラル
・モダン
・和モダン
・インダストリアル
今回はそこから一歩進み、より具体的な“世界観”を持つスタイルを取り上げます。
まず大きな軸を押さえたい方は、Part1から読むことで全体像がつかみやすくなります。
Part2では以下の4つのスタイルに焦点を当てていきます。
北欧ミニマル
ジャパンディ
ミッドセンチュリー
ラグジュアリー
似た言葉でも、選ぶ画像が違えば、空間の温度や重心、伝わる印象は大きく変わります。
言葉だけでは曖昧になりがちな違いを、実際の画像リファレンスを通して見比べていきましょう。
では、早速順番に見ていきましょう。
1. 北欧ミニマル|明るさと余白で“軽やかな整い”をつくる
1-1. 北欧ミニマルは、明るさと整理感が主役になるスタイル
北欧ミニマルは、白をベースに、淡い木と余白で空間を整えるスタイルです。
ナチュラルのような素材感のやさしさはありつつ、より構成が明確で、要素は意図的に削ぎ落とされています。
「温かい」よりも、「明るく、静かで、整っている」印象が近い。
空間の心地よさは、光の回り方と、色・余白の扱い方でつくられます。
生活感を残しながらも、雑多に見せないバランスが鍵になります。

1-2. 北欧ミニマルを美しく見せる“美学ポイント”3つ
光は直射ではなく、空間全体に広がる拡散光を選ぶ。
影を強調しすぎず、全体が均一に明るく感じられることが重要です。
明るさそのものが、北欧ミニマルの空気を決めます。白は主役だが、「真っ白」に寄せすぎない。
わずかにグレーや温度を含んだ白を使うことで、空間に奥行きと落ち着きが生まれます。要素は少なく、配置とプロポーションで見せる。
点数を減らすほど、家具の形や配置が際立ちます。
線の細さや高さ関係まで含めて、全体を整理します。
1-3. 依頼時にそのまま使える“キーワード”

明るさを保ちながら、軽やかに整った印象をつくります。
「明るく、余白のある北欧ミニマルな雰囲気で」
「白をベースに、木は淡めで軽い印象にしたい」
「要素は少なめ、整った感じを重視したい」
「生活感は残しつつ、すっきり見せたい」
1-4. 北欧ミニマルで“NGになりやすいもの”
コントラストを強くしすぎること
黒や濃色を効かせすぎると、一気にモダン寄りになります。
北欧ミニマルでは、色の主張よりも明るさの均一感を優先します。要素を削りすぎて、空間が軽くなりすぎること
何もない=ミニマルではありません。
家具や小物が少ない分、配置やスケール感が重要になります。
2. ジャパンディ|静けさと余白で“整った空気”をつくる
2-1. ジャパンディは、引き算の美意識が空間を支配するスタイル
北欧ミニマルの明るさに、日本的な静けさを重ねたスタイル。
白・グレージュ・淡い木を軸に、要素を極限まで削ぎ落とすことで、空間そのものの「間」や「呼吸感」が際立ちます。
装飾で語るのではなく、配置・余白・静けさで語るのがジャパンディ。
整っているのに冷たくならない、すっきりしているけどほんのり温かい、そのギリギリのバランスが魅力です。

2-2. ジャパンディを美しく見せる“美学ポイント”3つ
光は直射を避け、均一で静かな明るさをつくる。
明暗差をつくらず、空間全体をフラットに照らすことで、物の存在感よりも「空気の質」が前に出てきます。家具・オブジェは“少なさ”を前提に配置する。
余白を恐れず、置かない判断をすることで、一つひとつの素材や形がきれいに立ち上がります。色数を抑え、トーン差で変化をつける。
コントラストではなく、明度・質感の違いで構成することで、静かで奥行きのある表情が生まれます。
2-3. 依頼時にそのまま使える“キーワード”

コントラストで空間を締めるのではなく、トーン差と素材感で“余白のある落ち着き”を整えています。
「静かで整った空気感にしたい」
「白と淡い木を中心に、余白を感じる構成で」
「黒は線や金物程度に抑えたい」
「装飾は最小限、素材感で見せたい」
2-4. ジャパンディには合わない“NGになりやすいもの”
赤みの強い木を広い面積で使うこと
木の主張が強くなりすぎると、空間が一気に和風・カントリー寄りに傾いてしまいます。黒を強いコントラストで使いすぎること
黒は引き締め役として有効ですが、面積が増えるとモダン・インダストリアル寄りになり、
ジャパンディ特有の静けさが失われます。
3. ミッドセンチュリー|木と色で“時代性のある空間”をつくる
3-1. ミッドセンチュリーは、色と素材のコントラストが主役になるスタイル
ミッドセンチュリーは、白を引き算として使いながら、木の色味とアクセントカラーを前に出すスタイルです。
空間全体を均一に整えるのではなく、色と素材の違いをはっきり見せることで、1950〜60年代らしいリズムと個性が生まれます。
ナチュラルやジャパンディのような“溶け合い”ではなく、少し主張のある色や形を受け止める懐の深さが、このスタイルの魅力です。

3-2. ミッドセンチュリーを美しく見せる“美学ポイント”3つ
白は「背景色」として使い、主役にしない。
真っ白ではなく、少し温度を含んだ白を選ぶことで、木や色物が浮かず、空間全体に時代感が残ります。木は淡色より“中〜濃色”を軸にする。
チークやウォールナット系の深みのある木が入ると、一気にミッドセンチュリーらしい重心と落ち着きが生まれます。アクセントカラーは点で効かせる。
オレンジやテラコッタ、ブルーグレーなどは、面ではなく家具や小物で入れるのが基本。
華やかなビビットカラーが入ることで、空間にリズムと奥行きが出ます。
3-3. 依頼時にそのまま使える“キーワード”

形の個性が際立つ分、色は「点」で効かせ、空間全体は落ち着いたトーンでまとめています。
遊び心と秩序が同居する、ミッドセンチュリーらしいバランス感が特徴です。
「白は背景として使い、木と色を主役にしたい」
「チーク系の深い木色を感じる空間に」
「アクセントカラーはポイント使いで入れたい」
「少しレトロな雰囲気は残したいが、重くはしたくない」
3-4. ミッドセンチュリーで避けたい“NGになりやすいもの”
白・グレーだけでまとめすぎること
色を抑えすぎると、ミッドセンチュリー特有の時代性が消え、ただのモダン寄りの空間に見えてしまいます。
ミッドセンチュリーは、他のスタイルと比べて、少し色を使いすぎるくらいの方がハマります。木を淡色で揃えすぎること
ナチュラル寄りになりやすく、ミッドセンチュリーらしい重心や深みが出にくくなります。
4. ラグジュアリー|素材と陰影で“格”をつくる空間
4-1. ラグジュアリーは、素材の質感と光の演出で空間の格を決めるスタイル
ラグジュアリーは、派手さや装飾量で語るスタイルではありません。
大理石、金属、ガラス、上質なファブリックなど、素材そのものが持つ重みと艶をどう見せるかが主役になります。
色数は統一感を重視しながら、明暗・反射・陰影を丁寧に重ねることで、「広さ」や「豪華さ」を露骨にするのではなく、静かに伝わる上質感が空間に生まれます。
整いすぎず、雑然ともしない。
視線の先に必ず“見せ場”があり、空間に自然と緊張感が宿るのがラグジュアリーです。

4-2. ラグジュアリーを美しく見せる“美学ポイント”3つ
光は「明るさ」よりも陰影を意識する。
全体を均一に照らすのではなく、壁面・素材・家具に光の濃淡をつくる。
暗部があることで、明るい部分と素材の艶が際立ちます。主役になる素材を決め、他は引く。
大理石、金属、ガラスなど、見せたい素材は1〜2点に絞る。
すべてを高級素材にすると、かえって雑多で重たい印象になります。直線と面で構成し、形はシンプルに保つ。
曲線や装飾は最小限にしましょう。
形を抑えることで、素材の表情や光の反射が美しく立ち上がります。
4-3. 依頼時にそのまま使える“キーワード”

色で華やかにするのではなく、素材と光で上質さを演出します。
「落ち着いたトーンで、陰影がきれいに出る空間にしたい」
「大理石や金属の質感を主役に見せたい」
「暗くなりすぎないラグジュアリー」
「ホテルのように整っているけれど、冷たすぎない印象で」
4-4. ラグジュアリーには合わない“NGになりやすいもの”
装飾を多く入れすぎること
モールディングや装飾要素を重ねすぎると、クラシック寄りに傾きやすくなります。色数を増やしすぎること
高級感を出そうとして色を足すと、統一感が崩れやすいので要注意です。
ラグジュアリーでは、色を「増やす」のではなく、役割を整理して使うことが重要になります。光のレイヤーが不足していること
全体が均一に見えると、素材の質感や立体感が立ち上がりません。
ベース照明・間接光・アクセント光を重ねることで、ラグジュアリー特有の奥行きが生まれます。
Part2まとめ|スタイルは「雰囲気の言語化ツール」
ここまで、
北欧ミニマル/ジャパンディ/ミッドセンチュリー/ラグジュアリー
4つのスタイルを、画像リファレンスと一緒に整理してきました。
■ 北欧ミニマル|やわらかさ・明るさ・抜け感
白や淡い色を基調に、自然光と余白を活かすスタイル。
空間全体を軽く、穏やかに見せたいときに向いています。
住宅や日常的な空間で、心地よさ・親しみを伝えたい場合に有効です。
■ ジャパンディ|静けさ・余白・整った空気
北欧ミニマルの明るさに、日本的な引き算の美意識を重ねたスタイル。
配置・間・静けさで語るため、要素は少なめ。
落ち着きや品のある空気感を、過剰に演出せずに伝えたいときに適しています。
■ ミッドセンチュリー|リズム・色・造形の楽しさ
曲線的な家具や、少し強めの色をアクセントとして使うスタイル。
均一すぎない構成、少し主張のある色や形を受け止める懐の深さが特徴です。
住まい手の趣味性やキャラクターを感じさせたい空間に向いています。
■ ラグジュアリー|質感・奥行き・非日常感
石・金属・ガラスなどの素材感を活かし、重なりで魅せるスタイル。
色数は整理しつつ、質とディテールで豊かさをつくります。
特別感や上質さなど、日常から一段引き上げた印象を出したい場合に効果的です。
ここで改めて伝えたいのは、スタイル名を当てはめること自体が目的ではない、ということです。
大事なのは、
どんな空気感にしたいのか
どんな気分を残したいのか
どこを主役に、どこを引くのか
その判断を助けるための「軸」として、スタイルを使っている、という感覚です。
言い換えると、
スタイルは正解を決めるものではなく、迷わないための共通言語。
構図、光、色、素材。
判断ポイントが多い内観パースだからこそ、最初にこの“方向性の言語化”ができているかどうかで、仕上がりの密度は大きく変わります。
▶ まずは基本の4軸から整理したい方へ
まだご覧になっていない方は、
Part1「まず押さえたい4つの基本スタイル」から読むのがおすすめです。
ナチュラル/モダン/和モダン/インダストリアル。
内観パースの“土台”になる、この4つのスタイルに関してまとめています。
👉 Part1はこちら
次回のPart3では、
よりテイストの輪郭がはっきりしたスタイル
(クラシック/アンティーク/ボタニカル など)を扱う予定です。
「なんとなく好き」から、
「こういう空気をつくりたい」へ。
内観パースの考え方が、少し整理されるきっかけになれば嬉しいです。
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