#16「建築CGを形づくる視点」 ─DizzyDesign松永さんの制作プロセス
CGビジュアライザー|DizzyDesign 松永
GRUNDでは、印象的な世界観を生み出すCGビジュアライザーたちが活躍しています。
彼らの作品の“表”には見えない、制作の裏側や大切にしている価値観には、創作のヒントや熱い想いが詰まっています。
そこで今回は、GRUNDのCGビジュアライザーに、作品づくりの“裏側”や、大切にしている想いや考え方についてインタビューしました。
第1回目はDizzyDesign 松永さんです。
作品に込めた想いや、制作のプロセス、そして日々のインスピレーションの源など、その背景にある“考え”に触れながらじっくりと伺いました。

1枚に愛情を込めて感情に訴えかける画を─
──まずはじめに、建築CG(ビジュアライゼーション)の仕事を始めたきっかけを教えてください。
松永 24歳で広告制作会社に入社したのがきっかけです。学生時代にCGの可能性を知り、何か仕事にできないかと考え入社を決めました。その会社ではCGはもちろん、写真スタジオ業務も行っていたため、幅広い基礎力を磨けたと思っています。
──学生時代からCGに興味を持たれていたんですね。
現在、自分の作品づくりで、最も大切にしていることは何ですか?
松永 CG制作では制作においての要素がかなり多いため、一つだけに絞るのは難しいかもしれません(汗
ただ、強いて言うなら各カットに愛情を込めることが重要だと考えます。
──「愛情」とはどんな意味合いでしょうか?
松永 愛情というのは、一つ一つの工程を丁寧に制作していくという意味で、リファレンスを集めてイメージを固め、モデリング・質感の設定・アングルとライティングを定めていく一つ一つの工程すべてに高い精度で制作します。
それが画にストーリーを与え、説得力に結びつくと考えています。

──たしかに、松永さんの作品からは「暖かさ」「空気感」を感じます。
完成した作品から、一つ一つの工程に注いだ愛情が見えるのかもしれませんね。
そんな松永さんが「これは自分らしい」と思える作品とその理由を教えてください。

松永 これは福岡で家具を制作されている空蝉さんのチェアのインテリアCGです。
空蝉さんがイベントにこのチェアを出展されていて、私が一目惚れしてビジュアライズの提案をさせていただいたことがきっかけでした。
特に後ろ姿が美しく、空蝉さんもそこを推したいとのことだったのであえて後ろ姿が並んでいるこの構成で提案させていただきました。
このようなストーリーや時間を感じる画を作るのは楽しいです。
静止画では1枚で感情に訴えかける画を作らなければならないため、人の暖かさを感じたり、自然に惹き込まれる画を作れた時は自分らしいというより自分が作りたかったものができたと納得できます。
──一目惚れした家具を自分の手でビジュアライズできるなんて、本当に幸せな背景ですね。松永さんの想いが宿ったこの一枚からは、静かな会話まで聞こえてくるようです。
このような画を制作する過程で、特に意識しているポイント(光、構図、空気感など)があれば教えてください。
松永 すべてを意識しているというのが本音です。
まずウェブにどのような形で掲載されるのか、縦横比も確認したうえでライティング参考の写真とインテリアの参考写真を集めます。
完成イメージをしっかり持てるまで資料を集めることが多いです。

──とてもたくさんですね!
「なんとなく」で進めるのではなく、完成イメージをしっかり固めることが作品作りに必要不可欠なんですね。
たしかに、想像で頭の中に集めた要素を、実際に見える形に整理することで、また別のインスピレーションを得ることもできますよね。
建築CGを支える“インスピレーション”の秘訣─
では、ここからは松永さん自身についても少し伺いたいと思います。
ビジュアライズ制作にあたって、影響を受けた建築家・アーティスト・映画・作品などはありますか?
ぜひ、その理由も教えてください。
松永 特に映画が好きで、学生の頃は2日に1本映画を見ていました。名作映画は特に、しっかりとライティングが作りこまれているのでセリフだけでは表現しきれないストーリーやキャラクターなど、見ていて勉強になります。
──印象的なシーンはセリフだけでなく、その空間や背景、全体の情景も心に残りますね。
では、普段インスピレーションを得ている場所や習慣を教えてください。
松永 写真を撮ることは必須かなと思います。
よく、「カメラマンがCGやったら強い」と業界の人は言うのですが、カメラを撮る基礎知識があるか無いかで最終的な画作りのクオリティにも影響があると考えます。
──なるほど、やはり“撮る側の感覚”を持っているかどうかは、CGにも大きく関わるんですね。
実際に撮影をすることで、どんな気づきや視点が身につくと感じていますか?
松永 当たり前かもしれませんが、写真は撮ってから現像までが重要です。 それをとにかく繰り返すことで、リアルな空気感を知ることができ、現像することでよりストーリー性を向上させることができるということを実感できます。



──現像まで含めて写真を扱うことで、目には見えない“空気の密度”まで掴めるようになるんですね。撮って終わりではなく、その後の工程が画づくりの理解を深めてくれるというのがとても印象的です。
では、建築CGやビジュアル制作に限らず、最近ハマっているもの・考えていることはありますか。
松永 海外旅行に行くのにハマっています。違う文化に触れることでいい刺激を受け、それが制作に影響する気がしています。とにかく刺激を受け続けるというのがとても楽しいです。
──確かに、海外で触れる文化や景色は、普段の生活では得られない種類の刺激を与えてくれますよね。
建築のスケール感や光の質、街の“空気”そのものが日本とはまったく違うので、そうした体験が制作の解像度を上げていくのがよく分かります。
日々のインプットがCGのライティングやアングル構成に生かされているんですね。
では、制作中に「行き詰まった」とき、どうやって気持ちを切り替えていますか?
松永 とりあえずいろいろなことをしますね。トレーニングに行ったり、映画を見たり本を読んだり、、、でしょうか。とりあえず気の向くままに行動してます(笑)
──なるほど、無理に詰め込まず、いったん距離を置いて気分転換する。
その自然体の姿勢が、制作の心地よさにもつながっているように感じます。
建築CG制作で大切な“頭の中を共有する”ということ─
──クライアントと一緒に制作するとき、大事にしているコミュニケーションのポイントはありますか?
松永 とにかく、お互いの頭の中を共有することです。
「クライアントさんの思うかっこいいとは?」「逆にかっこ悪いとは?」「良い感じにライティングしてほしい、の良い感じって何かイメージしてるものありますよね?」など、質問攻めになってしまう部分もあるかもしれませんが、言語だけでは割と曖昧な解釈になってしまうので、リファレンスを見ながら認識の差を埋めるためのコミュニケーションをまず大事にしています。
──頭の中のイメージは、自分では当たり前に感じていることも、意外と伝わっていないこともあるので、具体的に共有することはとても重要ですね。
いままでたくさんのプロジェクトに携わってこられたと思いますが、
いま、どんなジャンル・案件を中心に制作していますか?
松永 インテリアCGを発注いただくことが多いです。
空気感とクオリティを評価いただくことが多く、前の質問と若干食い違ってしまうのですが「良い感じに」というのが経験上なんとなく汲み取れるので、なかなか指示出しが難しいインテリアカットでも初稿で高い精度が出せると感じています。

──では最後に、制作を進めるうえで「ここだけは譲れない」と思うこだわりを教えてください。
松永 少し本質とずれるかもしれませんが、クライアントさんにも「一緒に作っている」という感覚をもっていただきたいと考えています。
気を使っていただくことはありがたいのですが、変な遠慮で意見を言えないというのはお互いマイナスになってしまいます。
もちろん、お互いが発言しあえる環境づくりにも努めさせていただきます。
──ありがとうございます。
実際に松永さんと一緒に仕事をしていても、丁寧に連絡をくださったり、感じていることを素直に共有してくださったりと、とても心地よさを感じています。
松永さんが大切にしている「一緒につくる」という姿勢が、作品のもつ空気感や物語の裏側に深く関わっているのだと、今回のインタビューで少し分かった気がします。
松永さん、今回はインタビューへのご協力ありがとうございました。
─以上、DizzyDesign 松永さんへのインタビューを紹介させていただきました。
GRUNDでは、このDizzyDesign 松永さんに制作を直接依頼することができます。
方向性を丁寧にすり合わせながら、「こう見せたい」というイメージを一緒につくり上げていくような制作において、DizzyDesign 松永さんは安心して任せられる存在です。
株式会社GRUND(グルント)
「つくってほしい、この人に」をコンセプトに、建築ビジュアライゼーションを専門とする【国内唯一】の審査制CGスタジオ。
建築の意図や空気感を、美しい一枚のビジュアルとして届けます。
技術と感性を兼ね備えたクリエイターと、本気のビジュアルを求めるクライアントの最良の出会いを生み出します。
ご相談は無料です。ぜひお気軽にお問い合わせください。
