#20「設計とCGの交点で生まれる画」─CG-SAKAさんの“建築を語るビジュアル”
CGビジュアライザー|CG-SAKA
GRUNDでは、印象的な世界観を生み出すCGビジュアライザーたちが活躍しています。
彼らの作品の“表”には見えない、制作の裏側や大切にしている価値観には、創作のヒントや熱い想いが詰まっています。
そこで今回は、GRUNDのCGビジュアライザーに、作品づくりの“裏側”や、大切にしている想いや考え方についてインタビューしました。
第2回目はCG-SAKAさんです。
作品に込められた想いや制作の舞台裏、日々のインスピレーションの源泉に至るまで、創作の“核”に迫るお話をじっくりと伺いました。

子どもたちの動きと、建物の落ち着きがやさしく溶け合う一枚
建築とCG
──2つの視点があるからこそできること
──建築CG(ビジュアライゼーション)の仕事を始めたきっかけを教えてください。
CG-SAKA 元々は設計事務所で建築設計がメインでした。だからこそ、自社物件の施主に「これでいける」「完成が楽しみだ」と確信してもらうため、ビジュアライゼーションにかなりのエネルギーを注いできたんです。施主の期待値を超える提案になるよう、技術を磨き上げました。
──設計の現場で、自社プレゼン用に磨いてきた技術だったのですね。
CG-SAKA そうなんです。そんなふうにやっているうちに、他の設計者や事業者から「一緒に仕事をしてほしい」「ビジュアライズをお願いできないか?」「コンペを一緒に挑戦したい」と、声をかけられるようになりました。
──設計側の考えや事情まで理解しているビジュアライザーというのは、依頼者にとって心強い存在なんじゃないでしょうか。
CG-SAKA その点は本当に大きいと思います。建築側はCGの細かい表現までは分からない。CG側は建築的な理由や納まりの意味までは見えづらい。その両方の視点を立体的に理解していることが僕の強みであり、「そこまでわかってくれるなら」と頼ってもらえる理由でもあります。
“魅力のある画”への3つのお約束
──では現在、作品づくりの中で最も大切にしていることは何でしょうか?
CG-SAKA 僕が常に意識し、依頼者様へお約束しているのは、次の3点です。
施主/利用者を惹きつける画であること。
ストーリーを感じられる1枚であること。
完成後のブランディングにもそのまま使えるクオリティであること。
この3つは常に意識しています。
──ただ綺麗に見せるだけでなく、「事業としてどう見えるべきか」まで考えているんですね。
CG-SAKA はい。場合によっては「建築があまり映っていない1枚」を添えることもあります。ブランドイメージとして必要だったり、世界観を伝えるために効果的だったりする場合があるからです。
これは単なる完成予想図ではなく、事業全体のムードをつくる、いわば「感情を揺さぶる一枚」としての役割を担っているからです。




──単なる「完成イメージ」ではなく、その先の“わくわく感”や“展望”まで感じられる作品ということですね。具体的に、「これは自分らしい」と思える作品と、その理由を教えてください。

CG-SAKA この「紅葉に佇む温泉旅館」は、季節感と建物の佇まいがすごくマッチした1枚なんです。旅館そのものの魅力だけじゃなく、なぜこの季節に、なぜこの場所を訪れるのかという理由や、“ここでどんな時間を過ごせるのか”というストーリーまで表現できたと思っています。

CG-SAKA もう1枚は「軽井沢T-SITE」です。植栽の豊かさ、そこで過ごす人の雰囲気、賑わいながらも品のある空気──。
軽井沢らしい時間の流れを、画の中に落とし込めた作品だと思います。
実は、この植栽のイメージのすり合わせが本当に大変で…。「この場のこの季節に馴染む」リアリティと「設計者が目指す風景」の両立に、随分と粘らせていただきました(笑)。
──本当に素敵です。どちらの作品も、季節や時間帯、場所の空気感まで自然と伝わってきますね。
届けたい相手に、届けたいメッセージがしっかり届く──
そんな画だと感じました。お施主様の喜ぶ顔が目に浮かびます。
設計×CGのハイブリッドが実現するワークフロー
──では、ここから少し実務的な話に。制作の過程で、特に意識しているポイント(光・構図・空気感など)があれば教えてください。
CG-SAKA 構図と画の奥行、そして観た人の中で“1枚からストーリーが立ち上がること”を何より大切にしています。建築だけでなく、周辺環境や季節感、「凛と澄んだ朝」や「温かく包まれる夕暮れ」など時間の空気。これらがつくる空気感の調整に最も時間をかけていますね。
──なるほど、先ほどのブランディングのお話にも通じる部分ですね。拝見した2つの作品も、ただのイメージではなく「この世界に入ってみたい」と思わせるストーリー性がありますよね。
光や構図だけにとどまらず、画全体の物語を捉えている印象です。
CG-SAKA そう思ってもらう事が製作の目的でもあるので、とても嬉しいです。
──普段のお仕事を拝見していると、設計業務とCG制作の両立をされていますが、今はどんなジャンル・規模の案件を多く手がけているのでしょうか?
CG-SAKA CG製作に関しては、公共、ホテル、商業施設などの中〜大型案件が増えています。元々設計者なので、単なる機能ではなく建築のデザイン性に強いこだわりを持つ案件を任せていただくことが多いですね。
──確かに、建築的な意図を理解しているCG制作者って実は貴重ですよね。「ここはなぜこういう形状なのか」「設計者の狙いはどこか」まで踏まえて表現できる。依頼する側からすると、ものすごく心強い存在だと思います。依頼の際にも「設計目線でわかってくれる人にお願いしたい」みたいな声はありますか?
CG-SAKA ありますね。むしろ、そこが大きいと感じています。細かな指示なしでも意図を汲めるので、依頼者側の負担がかなり減るんです。
「この納まり(ディテール)の意味は」「設計者が伝えたい要点は」といった言語化されていない部分まで汲み取るのが得意です。「説明が少なくても質が担保できる、本当に助かる」と言っていただくことが多いです。
──その“理解の速さ”と“伝わる画づくり”は、設計×CGのハイブリッドだからこその強みですね。一度SAKAさんとお仕事すると離れられなくなりそうです。笑
実際リピートでのお仕事は多いのでしょうか?
CG-SAKA ありがたいことにとても多いです。何度も仕事を重ねると“あうんの呼吸”みたいなものができていくんですよね。言葉になっていないニュアンスまで共有できるようになって、よりスムーズに、より質の高いものを作れるようになっていきます。
──リピートされることは、何よりも質の高い信頼の証ですね 。
一緒に積み重ねてきたからこそ生まれる“良い作品のスピード感”ってありますよね。 信頼関係と優れたワークフローが両輪になっている感じがします。

何度も協働しているクライアントとの仕事はよりスムーズに。
建築パースを制作するための、インスピレーションの源
──ここからは、CG-SAKAさんご自身についても少し伺いたいです。普段インスピレーションを得ている場所や、習慣のようなものはありますか?
CG-SAKA 普段歩く街中で、風景全体をよく観察するようにしています。何がどう配置されていると“自然”に見えるのか、どうあると違和感がないのか──。それをいつも意識しながら歩いています。
…言ってみれば、仕事中も無意識に「自然な画」をシミュレーションしている状態ですね。 あとは、息子と公園で遊ぶ時ですね。植生をじっくり観察したり、季節でどう表情が変わるのか写真に残したりしています。「まだ植え込み撮ってるの?!」と息子にはよく怒られますが(笑)。


──日常のなかの“自然”を、丁寧に観察されているんですね。お子さんにとっても「公園でよく写真を撮ってた父」という記憶が、いつかふと温かい形で残りそうです。
その他にも、制作に活かしているものってありますか?
CG-SAKA 映画やPVなどの映像作品は大好きです。若い頃は年間100本を超えるペースで観ていました。
最近は時間が減りましたが、その頃に観た膨大な映像が画づくりの土台になっていますね。静止画でも動画でも、構図・光・色・物語の流れ方、ストーリーを予感させる画…さまざまなところで活きています。
──やっぱり映画って、画づくりの宝庫ですよね。光の扱い方、カメラの視点、空気感の残し方…まさにCGとも共通する表現の設計が詰まっている気がします。映画や映像が好きな建築・CG製作者が多いのも納得です。
クライアントとのコミュニケーションで大切にしていること
──では実際に、クライアントと一緒に制作するときに大切にしているポイントがあれば教えてください。
CG-SAKA そうですね、コミュニケーションの軸にしているものがあって、
依頼者が「絶対に実現したい」とこだわる部分はどこか
よりよく仕上げるために「おまかせでも良い」部分はどこか
品質を保つために両者のバランスをどこに置くのか
この3つを、会話の中で必ず探るようにしています。
特に「重視しないのでおまかせいただけるところ」を探ることは大切です。
どちらでも構わない部分にひとつひとつお伺いを立てていると答える側も時間をとられて大変なので。 結果的に最高の品質とスピードに繋がります。

内部の家具や小物等、配置するものはほぼおまかせで製作
──なるほど。その“線引き”を見つけるのが上手な人ほど、クライアントに信頼され、「おまかせ」を託してもらえるのでしょうね。
建築CGを制作するスピードとクオリティ
──両立のための秘訣とは
──お子さんもいらっしゃるとの事で、忙しい毎日であると思いますが、仕事のスピードとクオリティ、両立のために意識している工夫はありますか?
CG-SAKA 普段からセッティングやお気に入りの登録・ワークフローの見直しなどをかなりマメに作りこんでいます。
初回のたたき台を出すまでのスピード感には驚かれます。期限がある中、最初のテストまでが早くなれば早くなるほどその後のクオリティアップに時間がかけられます。
──普段から積み上げている土台がスタートダッシュに繋がっているんですね。
CG-SAKA そうですね。また、建築ではよくあることですが、資料や図渡しが遅れに遅れ納期ギリギリにやっと手元に届く、ということもあります。設計者としてはギリギリまで検討したい気持ちもわかるので、そういった条件下でも品質を保てるように日々準備しています。
──クライアントの心情が想像できるCG-SAKAさんならではですね。
CG-SAKA そうかもしれません。
──ここまで沢山のこだわりや工夫を教えていただきましたが、CG-SAKAさんの“理想の建築ビジュアライズ”を一言で表すと?
CG-SAKA 人の賑わいや楽しそうな時間、ざわめき、そこで過ごす豊かな1日。人が映っていてもいなくても、1枚観ただけでその場所でおこるストーリーがどんどん浮かんでくる。観た人が、「完成したら絶対に行ってみたい」とワクワクしてくるような画が理想です。

会話や気配が自然と浮かんでくるような、穏やかな時間の流れるカフェ空間を表現
僕自身が設計する時も、CGを作りながらワクワクしてくる瞬間があるんです。 この感覚をクライアントや利用者とも共有できたらきっと楽しい。そう思って日々制作しています。
──たしかに、そう感じます。
GRUNDに参加していただく前にCG-SAKAさんの作品を拝見したとき、作品全体に流れる独特の“空気の温度”のようなものを強く感じました。画の中の空間と気配そのものが“どんな一日を過ごす場所なのか”を語りかけてくるようで、思わずその先の情景を想像してしまうんです。
まさに今おっしゃっていた、「観た人が完成して訪れるのが楽しみになる画」という理想が、すでに作品そのものから自然と立ち上がっているように感じました。
建築CGの未来と、エキスパートとしての決意
──最後に、建築CGの未来について、どんな方向に進むと思うかご意見をお聞かせください。また、その中でCG-SAKAさん自信はどう関わっていきたいですか。
CG-SAKA BIMやAI、レンダリングソフトの向上で簡単なものなら誰でもビジュアライズできる世の中になりつつあります。一方で、依頼者やお施主さんの目も肥えて、求めるレベルがどんどん高くなっていく。誰でも作れるような画には誰もが見慣れてしまい、なんの力も持たなくなるでしょう。
だからこそ、ふと目に留まってしまう一枚。これはこの人と一緒じゃないと作れない、この人に是非お願いしたい。そんな「感情を動かす」魅力あるカットや映像を製作していきたいと思っています。
時代が変わっても、設計者の意図を深く汲み取り、それを超えていくクリエイティブであること。この姿勢だけは変わらず大切にしたいと思っています。
──CG-SAKAさんのお話を伺いながら、GRUNDが大切にしている「この人と一緒につくりたいと思ってもらえる存在であること」と、同じ方向を見てくださっているのだと強く感じました。
技術が進化しても、“人がつくる一枚の力” を信じて制作に向き合う姿勢に、とても共感します。
本日はたくさんのお話を聞かせていただき、本当にありがとうございました。
これからご一緒できる未来がますます楽しみです。
以上、CG-SAKAさんへのインタビューを紹介させていただきました。
GRUNDでは、このCG-SAKAさんに制作を直接依頼することができます。
空間の魅力を丁寧に引き出したい企画に、きっと応えてくれると確信しています。
株式会社GRUND(グルント)
「つくってほしい、この人に」をコンセプトに、建築ビジュアライゼーションを専門とする【国内唯一】の審査制CGスタジオ。
建築の意図や空気感を、美しい一枚のビジュアルとして届けます。
技術と感性を兼ね備えたクリエイターと、本気のビジュアルを求めるクライアントの最良の出会いを生み出します。
ご相談は無料です。ぜひお気軽にお問い合わせください。
