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余裕ではなく、余白が必要なのだと思う

「時間があったらやる」

「今は余裕がないから難しい」

「考えている時間がない」

仕事をしていると、そんな言葉を口にすることがあります。

私自身も、何度もそう思ってきました。

目の前の仕事が落ち着いたら考えよう。

少し余裕ができたら始めよう。

忙しい時期を乗り越えたら、向き合おう。

けれど、最近思うことがあります。

忙しい人ほど、待っているだけでは、余裕はなかなか訪れないのではないか。

一つの仕事が終われば、また次の仕事がやってきます。

目の前の問題を解決すれば、今まで見えていなかった別の問題が見えてきます。

余裕ができたらやろうと思っていたことは、結局、余裕ができないまま後回しになっていきます。

だから、必要なのは「余裕」ではなく、「余白」なのだと思います。

緊急度の高い仕事は、仕事をしている実感を得やすい

仕事には、緊急度と重要度があります。

緊急度が高く、重要度も高いもの。

期限が迫っている仕事や、すぐに対応しなければ大きな影響が出る問題です。

こうした仕事が優先されるのは、当然のことです。

そして、それらが少し落ち着くと、次に時間が使われるのは、緊急度は高いけれど、重要度は必ずしも高くない仕事になりがちです。

急な問い合わせ。

突然の依頼。

細かな確認。

その場で返事を求められること。

どれも必要な仕事です。

放置することもできません。

そして、こうした仕事には、一つの特徴があるように思います。

対応した成果が、目に見えやすいことです。

問い合わせに答えた。

依頼を終わらせた。

確認を返した。

期限に間に合わせた。

一つずつ処理するたびに、仕事が片づいていきます。

そのため、緊急度の高い仕事は、「今日も仕事をした」「仕事を進めた」という実感を得やすいのだと思います。

けれど、目の前の仕事を処理することと、中長期的に組織を前へ進めることは、必ずしも同じではありません。

後回しにされる、緊急ではない重要な仕事

一方で、緊急度は低いけれど、重要度が高い仕事があります。

業務の進め方を見直すこと。

マニュアルを整備すること。

人を育てること。

失敗の原因を振り返ること。

将来のために仕組みをつくること。

こうした仕事は、今日やらなかったからといって、明日すぐに問題が起きるとは限りません。

期限も曖昧です。

誰かから、すぐにやるよう催促されることも少ない。

時間をかけても、処理件数が増えるわけでもありません。

周囲からは、ただ考えているだけに見えることもあります。

そのため、重要であるにもかかわらず、「今でなくてもよい仕事」として扱われやすくなります。

緊急度の高い仕事は、仕事をしている実感を得やすい。

緊急度の低い重要な仕事は、仕事をしている実感を得にくい。

この違いが、私たちを目の前の仕事へと引きつけているのかもしれません。

後回しにした影響は、すぐには見えない

緊急度が低く、重要度が高い仕事を後回しにしても、短期的には、それほど大きな影響はありません。

マニュアルがなくても、経験のある職員が対応すれば、仕事は進みます。

人材育成の時間を確保できなくても、目の前の業務は何とか回ります。

振り返りをしなくても、次の仕事は始まります。

業務改善をしなくても、これまでの方法で処理することはできます。

だから、「今はやらなくても大丈夫」と思えてしまいます。

けれど、それを繰り返していくと、中長期的には、少しずつ付けが回ってきます。

仕事が特定の人に集中する。

担当者が変わると、仕事が分からなくなる。

同じ失敗が繰り返される。

職員が育たず、いつまでも誰かが細かな指示を出し続ける。

非効率なやり方が、いつの間にか「当たり前」になる。

そして、問題が表面化したときには、再び「緊急度が高く、重要度も高い仕事」として対応することになります。

本当は、もっと前に向き合うことができたはずの課題です。

余裕は、残った時間

余裕とは、仕事を終えた後に残る時間なのかもしれません。

予定より早く仕事が終わった。

会議がなくなった。

急な依頼が入らなかった。

その結果として生まれるのが、余裕です。

けれど、それを待っているだけでは、緊急度が低く、重要度が高い仕事には、いつまでも着手できません。

忙しい職場ほど、空いた時間には、別の仕事が入ります。

時間が空けば、滞っていた仕事を処理する。

目の前の仕事が減れば、新しい仕事を引き受ける。

そうして、余裕はすぐに埋まっていきます。

余白は、残しておく時間

一方で、余白とは、自ら意識してつくる時間なのだと思います。

何もすることがない時間ではありません。

忙しい中でも、あえて立ち止まるための時間を確保することです。

予定表に時間を入れる。

目の前の仕事だけで、一日を埋めない。

すぐに成果が見えない仕事にも、あらかじめ時間を割く。

考えるための時間を、仕事として位置づける。

それが、余白なのだと思います。

余裕が「残った時間」だとすれば、余白は「残しておく時間」です。

余裕が生まれるのを待つのではなく、必要な時間を先につくっておく。

そこに、二つの違いがあります。

余白がなければ、緊急な仕事は減っていかない

余白は、何もしないための時間ではありません。

今すぐには答えの出ない問いと向き合うための時間です。

この仕事は、本当に今の方法でよいのか。

同じ説明を何度も繰り返しているのは、なぜなのか。

誰か一人の経験や努力に頼っていないか。

同じ問題を繰り返さないために、何ができるのか。

こうした問いは、緊急ではありません。

けれど、とても重要です。

今日の仕事を終わらせながら、明日の仕事を減らす。

自分が対応しながら、次の人が対応できる仕組みをつくる。

問題を解決しながら、同じ問題が起きない方法を考える。

そのためには、処理とは別の時間が必要です。

緊急な仕事に追われているから、余白がつくれない。

余白がないから、将来の緊急な仕事を減らせない。

そうして、忙しさが繰り返されていきます。

この循環を変えるためにも、余白は必要なのだと思います。

余白をつくることも、仕事の一つ

特に、責任のある立場になるほど、予定は埋まっていきます。

判断すること。

確認すること。

相談を受けること。

説明すること。

調整すること。

どれも、必要な仕事です。

だからこそ、「時間ができたら考える」のではなく、「考える時間を先に確保する」という発想が必要なのだと思います。

管理職や係長が余白を失えば、職員の小さな変化に気づきにくくなります。

相談を受けても、ゆっくり話を聞けなくなります。

目の前の仕事を終わらせる指示はできても、その仕事の意味を伝えることが難しくなります。

人を育てることも、組織を整えることも、余白がなければできません。

余裕を待つのではなく、余白をつくる

時間があったらやる。

余裕がないから無理。

考えている時間がない。

そう思うことは、決して怠けているからではありません。

それだけ、目の前の仕事に真剣に向き合っているからこそ、時間がなくなるのだと思います。

けれど、目の前の仕事に真剣であるほど、少し先のことを考える余白も必要です。

余裕が生まれることを待っているだけでは、重要なことは、いつまでも後回しになります。

だから、自分で余白をつくる。

そして、その余白の中で、緊急度は低くても、重要度の高いものに意識的に向き合う。

すぐに成果は出ないかもしれません。

処理件数として表れることもないかもしれません。

けれど、その時間が、数か月後、数年後の仕事を変えていきます。

余裕ができたら、考えるのではない。

考えるために、余白をつくる。

忙しい組織に本当に必要なのは、さらに多くの仕事を詰め込める余裕ではなく、未来のために立ち止まる余白なのだと思います。

最後に、余白をつくるための小さな一歩

まずは、一週間のうち、どこか一日の15分間を「考える時間」として予定に入れてみてください。

そんな時間を割く余裕はない。

そう思われるかもしれません。

けれど、15分を先に確保すると、それ以外の時間で仕事を終えるために、何を優先し、何を後に回すのかを考えるようになります。

最初から、一時間を確保する必要はありません。

まずは、週に一度の15分から。

その時間だけは、目の前の仕事を処理するのではなく、緊急ではないけれど重要なことに向き合う。

余裕ができるのを待つのではなく、まずは15分の余白を、予定の中に置いてみてください。

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