ただ直すだけじゃつまんないから
せっかく作ったミニチュアが壊れた。
と言っても、砕けてバラバラになったとか車内に放置して熱で歪んだとか、そういう致命的な壊れ方ではない。ミニチュアから伸びている旗竿の部分に変な力がかかり、途中でポキリと折れていた。
仕方ないので接着剤でいったん旗竿をくっつけてみたが、接着面積が狭いからかどうも安定せず、折れたところを起点にするように旗竿がぐにぐにと動いてしまう。別に強い力がかかるわけでもないからそれでよしとしても良かったのだが、どことなく気分が悪い。なので、ちゃんと直すことにした。
一番わかりやすいのは、折れた部分の周囲にギブスのように一度パテを盛ってしっかりと固め、その後でパテを削り込んでもう一度旗竿を露出させる、というやり方だろうか。これなら折れた面の中にも多少はパテが入り込むだろうから強度もある程度担保できるし、うまくやれば折れた跡を隠すこともできるだろう。
だが、それじゃつまらないなと思ってしまった。
このミニチュア達は飾って眺めて良しとする類のものではない。あちこちに持ち運び、卓上で動かし、それに伴って徐々に傷ついていく。そういう代物だ。ミニチュアにとっては、というより少なくとも俺にとっては、こうやって旗竿部分が折れてしまったこともミニチュアの人生の一部だと、そう思いたい。だから、傷跡を隠すというよりは、これを機に何か一つ飾りを付け加えたいと思った。
なので、まずは折れた場所付近に小さく切り取ったランナー片をいくつか貼り付けてパテを盛る土台を作り、凹凸を埋めるようにパテを盛ってからリューターで削り、それでも埋めきれなかった穴にはプラスチック補修材を詰めた。最後にリューターでもう一度全体を整え、ブロックっぽいものを作る。
そのブロックの表面にリューターを使って出目を刻み、全体を塗装し、最後にリューターで窪ませた目の部分を黒く塗装してやれば、旗竿にくっついたサイコロの出来上がりだ。
とは言ったものの、このサイコロはきれいな立方体ではなく、むしろかなり歪んでいる。だが、これでいいのだ。少なくとも俺にとっては、このサイコロは旗竿が折れたという不運な出目を乗り越えた象徴だからだ。
いいなと思ったら応援しよう!
頂いたチップはまずうちの猫のご飯代になり、その次に猫砂代になり、最後にChatGPTPlus代になります。