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成田山新勝寺と不動明王|歴史に見る系譜と護摩の炎

@Ricoです。

本日28日は、不動明王さまのご縁日ですね。
毎月この日に特別なご利益があるとされる不動明王さまは、煩悩を断ち切り、迷いの世界から衆生を救う明王として、千年を超える歴史の中で多くの人々の信仰を集めてきました。

今回は、関東有数の不動明王の聖地である成田山新勝寺に参拝し、その歴史的系譜と、本日奉修された「柴灯大護摩供・内陣炉壇参拝修行」の深い意味を探り、境内に点在する霊験あらたかな諸堂を巡る旅をお届けします。

真言宗智山派の大本山として、年間一千万人を超える参詣者を迎える成田山。その壮大な伽藍と深遠な教えの世界へ、共に歩みを進めていきましょう。


成田山新勝寺の成り立ち──平将門の乱と不動明王の奇跡

天慶の乱と寛朝大僧正の東下

成田山新勝寺の歴史は、平安時代中期、天慶2年(939年)に起こった平将門の乱に端を発します。関東一円を席巻した将門の反乱は、朝廷にとって未曾有の危機でした。朱雀天皇は討伐軍を派遣するとともに、全国の有力寺社に将門調伏の祈願を命じました。

この時、寛朝大僧正(かんちょうだいそうじょう)が朱雀天皇から「治乱の護摩を修法せよ」との密勅を賜ります。寛朝は、京都の高雄山神護寺に安置されていた、弘法大師空海が自ら彫り開眼したとされる不動明王像を奉じて東国へ下向することを決意しました。

天慶3年(940年)、寛朝は難波津から海路で上総国に上陸し、陸路で下総国公津ヶ原(現在の成田市)へ入ります。この地で朝敵調伏を旨とする不動護摩供を二十一日間にわたって奉修しました。すると満願の日、将門は藤原秀郷・平貞盛らの軍勢との戦いで、一本の流れ矢が額に命中し戦死したと伝えられています。

不動明王のご霊告と新勝寺の開山

将門の乱が平定された後、寛朝が京へ帰ろうとしたところ、不思議なことが起こりました。不動明王像が磐石のごとく動かなくなったのです。そして不動明王から「この地に留まり人びとを救う」というご霊告を受けたといいます。

このことを朱雀天皇に奏上すると、天皇は大いに歓喜し、東国鎮護の霊場を開くべきとして、寛朝に開山を命じ、「神護新勝寺」の寺号と「天国宝剣」を下賜されました。これが成田山新勝寺の始まりです。

「新勝寺」の名は、「新たに勝つ」という意味を持ち、朝廷の敵に対する新たな勝利を祝うとともに、東国の安寧を願う思いが込められています。

毎年、7月に行われる祇園会の際に、
「天国宝剣」をお授けいただけます!
奥之院のご開帳もありますね。


成田村への遷座と戦国時代の荒廃

永禄9年(1566年)前後、新勝寺は現在の成田市並木町界隈にある不動塚へ遷座されました。成田村一七軒党代表の名主が、本尊の不動明王像を背負って遷したと伝えられ、これより「成田山新勝寺」の名が定着しました。

しかし戦国時代の長きにわたる戦乱により、成田山も他の多くの寺院と同様に荒廃の時期を迎えます。文禄3年(1594年)の成田村検地帳に寺名が見られることから、この頃には既に存在していたものの、江戸時代初期まではひっそりとした寺院だったようです。

江戸時代の隆盛──市川團十郎と成田不動信仰

伽藍の再建と整備

明暦元年(1655年)、成田山に転機が訪れます。この年、現在の薬師堂となっている本堂が建立されました。江戸時代に入り世情が安定すると、成田山の伽藍も徐々に再建・整備されていきます。

延宝2年(1674年)には、水戸光圀が江戸藩邸への帰路に成田山に参詣したことが記録されており、この頃から有力者の参詣も増えていきました。

初代市川團十郎と成田山の深い縁

成田山が江戸庶民の間で爆発的な人気を得るきっかけとなったのは、歌舞伎役者・初代市川團十郎との出会いです。貞享4年(1687年)、千両役者として名を馳せていた團十郎は、子宝に恵まれず、市川宗家の本貫に近い成田山に通い詰め、一心に求子祈願を行いました。

その甲斐あって待望の長男・九蔵(後の二代目團十郎)を授かります。元禄11年(1698年)頃、團十郎は恩返しとして、不動明王を主題とした『兵根元曽我(つわもの こんげんそが)』を中村座で初演しました。この芝居は大当たりし、團十郎親子は成田山に大神鏡を奉納しています。

以来、市川家は屋号を「成田屋」とし、代々成田山への信仰を継承しています。團十郎の人気と相まって、江戸から成田山への「成田詣で」が大流行し、門前町も大いに賑わうようになりました。

出開帳と江戸庶民の信仰

元禄時代には、ご本尊を江戸に運んで参拝を得る「出開帳」も行われました。江戸の人々は、わざわざ成田まで足を運ばずとも不動明王を拝むことができ、成田山信仰はさらに広まっていきます。

この時代、成田山への参詣は単なる信仰だけでなく、江戸近郊への物見遊山を兼ねた娯楽でもありました。参道には茶屋や土産物屋が軒を連ね、名物の鰻料理も振る舞われるようになりました。

近現代の成田山──戦時下から開基1080年まで

戦時下の身代わり札信仰

太平洋戦争中、成田山の「身代わり札」が「鉄砲玉から身を守る札」として人気を集めました。戦地に赴く兵士たちが、不動明王の加護を求めて参拝し、お守りを身に着けていったのです。

文化財指定と現代の発展

昭和39年(1964年)、現在の大本堂が建立され、同年、本尊の不動明王及二童子像が重要文化財に指定されました。その後も、光明堂、釈迦堂、三重塔、額堂、仁王門の5つの建造物が重要文化財に指定され、成田山の文化財的価値が公的に認められています。

平成30年(2018年)には開基1080年を迎え、記念事業として醫王殿が建立されました。現在も年間1000万人を超える参詣者が訪れ、関東屈指の霊場として信仰を集め続けています。


柴灯大護摩供と内陣炉壇参拝修行──野天の炎に込められた祈り

柴灯大護摩供の深い意味

本日28日の不動明王のご縁日に奉修された「柴灯大護摩供(さいとうおおごまく)」は、修験道の作法によって野外で厳修される特別な護摩祈祷です。古来、山伏が山岳修行の際、柴を使って護摩壇を設け、所願成就を祈念した伝統行事に由来します。

成田山では毎年5月、9月、12月に奉修され、特に5月と9月は正五九の参り月として、平月にも増してご利益があるとされる時期に重なります。


護摩法要の荘厳な儀式

成田山大本堂西側の奥山広場に設けられた道場では、まず山伏姿の僧侶約二十名が入場します。そして以下の作法が厳かに執り行われます。

柴灯大護摩供の作法:

  • 斧の作法:護摩壇を作り、道場を清める

  • 法弓の作法:清浄な道場を作る

  • 宝剣の作法:一切の悪魔を払う

  • 洒水の儀式:本尊、行者、信徒を清める

これらの作法により道場が結界されると、中央の炉壇に点火されます。燃え上がる大きな炎は、不動明王の智慧の火とされ、あらゆる罪障や災いを焼き尽くすといわれています。


内陣炉壇参拝修行の特別な体験

特に注目すべきは「内陣炉壇参拝修行」です。
壇木や特別護摩木を奉納された方は、護摩の最中に道場内へ入り、自ら炉壇へ護摩木を投じることができます。

燃えさかる炎の近くで、自分の願い事を書いた護摩木を直接投げ入れる体験は、まさに不動明王との直接的な結縁です。炎の熱気を全身で感じながら、心身や手荷物を浄め、心願成就を祈る。この修行体験こそが、われわれと不動明王を結ぶ特別な瞬間となります。


成田山新勝寺の主要なお堂と参拝ポイント

境内全体図は以下の通り↓

大本堂(昭和43年建立)

成田山で最も重要な御護摩祈祷を行う中心道場です。御本尊の不動明王像は、弘法大師空海が自ら敬刻開眼された霊験あらたかな御尊像で、向かって右に矜羯羅童子、左に制咤迦童子を従えています。

参拝ポイント:

  • 堂内には誰でも上がることができる(車椅子用エレベーター完備)

  • 毎日複数回の御護摩祈祷が行われている

  • 御真言「ノーマク サンマンダー バーザラダン センダー マーカロシャーダー ソワタヤ ウンタラター カンマン」を7回唱える

  • 堂内正面左右には松尾栄画伯の「平成大曼荼羅」が掲げられている

  • 回廊裏手には裏仏として不動明王の本地仏・大日如来が奉安


釈迦堂(安政5年・1858年建立/国指定重要文化財)

かつての本堂で、総欅造りの荘厳な建築です。釈迦如来を中心に、普賢菩薩、文殊菩薩、弥勒菩薩、千手観音菩薩が奉安されています。

参拝ポイント:

  • 五百羅漢の彫刻は仏師松本良山の大傑作(必ず自分に似た顔が見つかるという)

  • 二十四孝の彫刻も見事

  • 厄除けお祓いの祈祷所として機能

  • 堂全体が一つの彫刻芸術作品

光明堂(元禄14年・1701年建立/国指定重要文化財)

釈迦堂の前の本堂で、江戸時代中期の貴重な建物です。大日如来を中央に、不動明王、愛染明王が奉安されています。

参拝ポイント:

  • 星まつり御札受付所

  • 縁結びの祈願所として人気

  • 愛染明王は恋愛成就のご利益

  • 後方には奥之院の洞窟があり、祇園会に開扉

  • 朱漆塗りの美しい外観

いつぞやの元旦のとき
奥之院


平和の大塔(昭和59年・1984年建立)

真言密教の教えを象徴する壮大な塔です。一階は大塔招福堂、二階は明王殿、三階は経蔵殿、四階は法蔵殿、五階は金剛殿となっています。

参拝ポイント:

  • 各階に様々な仏像が奉安

  • エレベーター完備で最上階まで参拝可能

  • 成田山と周辺地域を一望できる展望

  • 御朱印もいただける

醫王殿(平成30年・2018年建立)

開基1080年記念事業として建立された最新のお堂です。薬師瑠璃光如来、日光菩薩、月光菩薩、十二神将が奉安されています。

参拝ポイント:

  • 病気平癒と健康長寿の祈祷所

  • 総檜造りの美しい建築

  • 薬師堂から移された薬師如来像

  • 平和の大塔から移された十二神将像

出世稲荷(明治21年・1888年再造)

大本堂左手の階段を上るとひっそりと佇む稲荷社です。御本尊の荼枳尼天は、佐倉藩主・稲葉正通が寄進されました。

参拝ポイント:

  • 商売繁昌、開運成就、火伏せのご利益

  • 古くから「出世稲荷」として親しまれる

  • 静かで落ち着いた雰囲気

  • 仕事運向上を願う参拝者に人気

額堂(文久元年・1861年建立/国指定重要文化財)

絵馬や奉納額を掲げる建物で、江戸時代に奉納された貴重な額や彫刻を見ることができます。

参拝ポイント:

  • 七代目市川團十郎の石像が安置

  • 歴史的な奉納額の数々

  • 成田山と歌舞伎の深い縁を物語る

聖徳太子堂(平成4年・1992年建立)

日本の仏教興隆の祖である聖徳太子の理念にもとづき、世界平和を願って建てられました。

参拝ポイント:

  • 大山忠作画伯の壁画6面

  • 聖徳太子像が奉安

  • 静寂な祈りの空間

三重塔(正徳2年・1712年建立/国指定重要文化財)

高さ約25メートルの美しい塔で、成田山のシンボル的存在です。

参拝ポイント:

  • 江戸時代中期の建築様式

  • 五智如来が奉安

  • 周囲の彫刻装飾が見事


一切経堂(享保7年・1722年建立)

一切経(大蔵経)を納めた経蔵で、輪蔵形式になっています。

参拝ポイント:

  • 輪蔵を回すことで一切経を読んだ功徳を得られるとされる

  • 静かな祈りの場


仁王門(天保2年・1831年建立/国指定重要文化財)

境内の入り口に立つ荘厳な門で、左右に仁王像を配しています。

参拝ポイント:

  • 成田山の正面玄関

  • 仁王像の迫力ある表情

  • 門をくぐることで身を清める

薬師堂(明暦元年・1655年建立)

成田山新勝寺の現存する建物の中で最も古い建物です。

参拝ポイント:

  • 成田山最古の建造物

  • かつての本堂

  • 歴史の重みを感じる佇まい

不動明王の教えとわれわれの実践

不動明王の七つの誓い

成田山では、お不動さまの御教えを日々の心構えとした「七つの誓い」を掲げています。

  1. まごころをもって人に接します

  2. 正しいことを勇気をもって行います

  3. 素直な心で自分を見つめます

  4. 感謝の気持ちを忘れません

  5. 人のために尽くします

  6. 希望を持って前向きに生きます

  7. 仏さまの智慧を学び続けます

これらの誓いは、不動明王の慈悲と智慧を、われわれの日常生活に活かすための指針となっています。

月例のご縁日参拝の意義

毎月28日の不動明王のご縁日には、特別な功徳があるとされています。この日に参拝し、護摩の炎を拝することで、一ヶ月の煩悩を焼き尽くし、新たな月を清らかな心で迎えることができます。

正五九の月(1月・5月・9月)は、さらに功徳が大きいとされ、この時期の柴灯大護摩供は、年間を通じて最も重要な行事の一つとなっています。



まとめ──千年の祈りが息づく聖地

成田山新勝寺は、平安時代の開山以来、千年を超える歴史の中で、時代の変遷とともに発展してきました。平将門の乱という国家的危機から始まった霊場は、江戸時代には庶民の信仰の場となり、現代では日本を代表する祈願所として、多くの人々の心の拠り所となっています。

本日の柴灯大護摩供・内陣炉壇参拝修行で見た、天を焦がす護摩の炎。それは不動明王の智慧の火であり、われわれの煩悩を焼き尽くし、清らかな願いへと昇華させる聖なる炎です。

弘法大師空海が開眼し、寛朝大僧正が東国に遷座した不動明王。初代市川團十郎が子授けを願い、無数の人々が救いを求めた成田のお不動さま。その慈悲の眼差しは、今もなお、われわれを見守り続けています。

成田山の各お堂を巡り、それぞれの御本尊に手を合わせるとき、千年の祈りの歴史がわれわれの心に響いてきます。釈迦堂の五百羅漢、光明堂の愛染明王、醫王殿の薬師如来、出世稲荷の荼枳尼天。それぞれの仏さまが、われわれの様々な願いを受け止めてくださいます。

成田山新勝寺への参拝の本質は、護摩の炎を前にして自らの心を見つめ、仏さまの教えを学び、日々の生活に活かしていく。そうした実践の場として、成田山は存在し続けています。

不動明王の慈悲と智慧に包まれた聖地・成田山。

ここでの祈りと修行の体験が、われわれの人生に新たな光をもたらすことでしょう。


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では。

いつも、ありがとう^^


@Rico

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