春日大社シリーズ【前編】歴史と系譜を歩む巡礼〜本当に大切な気づきに出会う神社仏閣参拝とは?
はじめに:なぜ今、春日大社の系譜を辿る参拝を振り返ってみるのか
@Ricoです。
現代社会において、私たちは日々の忙しさに追われ、本当に大切なものを見失いがちです。神社仏閣への参拝も、単なる観光や願い事をする場所として捉えられることが多くなっています。それ自体を否定するつもりはありませんが、原点に立ち戻ってみれば、古来より続く神社仏閣には、私たちの先祖が大切に守り継いできた智慧と精神性が息づいています。
春日大社は、奈良時代に創建された由緒ある神社であり、その系譜を辿り振り返ることで、日本人の精神性の源流に触れることができます。
本記事では、実際の参拝体験を通じて得られた気づきと、春日大社の深い歴史的背景を紐解きながら、真の参拝の意味を探求していきます。
▪️春日大社初参拝からの歴史を辿ってみたら、あまりにも膨大になってしまったので、今回は【前編】と【後編】に分けてお届けいたしますね!
【1】:春日大社との出会い〜2023年秋の衝撃的な体験
御蓋山(みかさやま)遥拝で感じた圧倒的な神々しさ
2023年秋、私が初めて春日大社を訪れた時のことです。
早朝、朝拝時間前に到着し、朝靄に包まれた境内を歩いていると、突然視界が開け、御蓋山の姿が目に飛び込んできました。その瞬間、全身に鳥肌が立つような、言葉では表現しきれない神々しさを感じたのです。
御蓋山は、春日大社の御祭神が最初に降臨された聖地です。標高283メートルの小さな山ですが、その存在感は圧倒的でした。山全体が神域として禁足地となっており、人の手が入らない原生林が保たれています。この山を遥拝するとき、私は初めて「神が宿る」という感覚を実感として理解することとなったのです。

春日大社の創建と御祭神の御神徳
春日大社の創建は、768年(神護景雲2年)にさかのぼります。藤原氏の氏神として創建され、以来1300年以上の歴史を持つ古社です。
本殿には四柱の御祭神がお祀りされます。

第一殿:武甕槌命(タケミカヅチノミコト)鹿島神宮(茨城県)より勧請
御神徳:武運長久、勝運、厄除け、交通安全
第二殿:経津主命(フツヌシノミコト)香取神宮(千葉県)より勧請
御神徳:武運長久、勝運、産業振興
第三殿:天児屋根命(アメノコヤネノミコト)枚岡神社(大阪府)より勧請
御神徳:学問、出世、祈願成就
第四殿:比売神(ヒメガミ)枚岡神社より勧請
御神徳:夫婦円満、家内安全、子授け
これら四柱の神々は、それぞれ異なる地域から勧請されており、春日大社が日本各地の神々を結ぶ重要な拠点であることを示しています。
また、奈良に都ができた時に中臣氏がゆかりの神々を合祀して成立したという背景、さらに平城京から長岡京に遷都すると春日神を祀る大原野神社が建てられ、平安京に遷都すると吉田神社が建てられ、遷都とともに藤原氏の守護神として崇敬され続けたことも注目したい点です。
🔶大原野神社↓
🔶吉田神社↓
若宮おん祭の深い意味を知る
春日大社を語る上で欠かせないのが、「若宮おん祭」です。これは毎年12月15日から18日にかけて行われる、900年以上続く伝統的な祭礼です。
若宮とは、春日大社の摂社である若宮神社のことで、天押雲根命(アメノオシクモネノミコト)が祀られています。この神は、第三殿の天児屋根命と第四殿の比売神の御子神とされています。
若宮おん祭の特徴は、深夜に行われる「遷幸の儀」です。若宮の御神体を本殿から御旅所へお遷しし、一晩中様々な神事や芸能が奉納されます。この祭りは、五穀豊穣と万民安楽を祈願する重要な神事として、国の重要無形民俗文化財に指定されています。
私が参拝した際、地元の方から「若宮おん祭は、神様に一年の感謝を伝え、来年の豊作を祈る大切な祭り」だと教えていただきました。この言葉から、祭りが単なる観光イベントではなく、人々の生活に深く根ざした信仰の表れであることを再認識しました。

【2】:若宮十五社めぐりが教えてくれたこと
若宮十五社とは何か
若宮十五社とは、若宮神社の周辺に点在する15の摂社末社を巡る参拝コースです。それぞれの社には異なる神様が祀られており、人生の様々な願いに対応する神々の集合体となっています。

若宮十五社の詳細:
(御祭神:御神徳)
<1番>若宮 - 天押雲根命(あめのおしくもねのみこと)
:正しい知恵を授けてくださる神様
<2番>一童社(三輪神社) - 少彦名命
:子孫繁栄、子供の無事成長をお守りくださる神様
<3番>兵主神社 - 大己貴命(おおなむちのみこと)
:延命長寿をお守りくださる神様
<4番>南宮神社 - 金山彦神(かなやまひこのかみ)
:金運向上、財宝をお守りくださる神様
<5番>広瀬神社 - 倉稲魂神(うかのみたまのかみ)
:五穀豊穣、商売繁盛をお守りくださる神様
<6番>葛城神社 - 一言主神(ひとことぬしのかみ)
:一つの願いを必ず叶えてくださる神様
<7番>三十八所神社 - 伊弉諾尊・伊弉冊尊・神日本磐余彦命(かむやまといわれひこのみこと)
:あらゆることをお守りくださる神様
<8番>佐良気神社 - 蛭子神(ひるこのかみ)
:商売繁盛、交渉成立をお守りくださる神様
<9番>春日明神遥拝所 - 春日皇大神(かすがのすめおおかみ)
:諸願成就を祈る遥拝所
<10番>宗像神社 - 市杵島姫命
:諸芸上達、福徳円満をお守りくださる神様(弁天様)
<11番>紀伊神社 - 五十猛神(いたけるのかみ)・大屋津姫命(おおやつひめのみこと)・抓津姫命(つまつひめのみこと)
:生業の繁栄をお守りくださる神様
<12番>伊勢神宮遥拝所 - 天照皇大神・豊受大神
:天下泰平をお守りくださる遥拝所
<13番>元春日枚岡神社遥拝所 - 天児屋根命・比売神
:延命長寿をお守りくださる遥拝所
<14番>金龍神社 - 金龍大神
:後醍醐天皇ゆかりの開運財運をお守りくださる神様
<15番>夫婦大国社 - 大国主命・須勢理姫命
:夫婦円満、良縁、福運をお守りくださる神様
巡拝から得た気づき
若宮十五社を巡っていると、それぞれの社の前で自然と立ち止まり、手を合わせたくなります。小さな社であっても、そこには確かに神の気配が感じられるのです。
特に印象的だったのは、十五社巡りの途中に遭遇した「護摩壇」です。
そこには「弘法大師空海上人が護摩を焚いて祈願されたという」案内があり、そこは今では緑に囲まれた中ですが、ふと目を閉じれば、神仏が共に祈りの場にあったという原点を思わせる神聖さがあります。
その壇の前で、自分が本当に願っているものは何なのか、深く考えさせられる瞬間となりました。

【3】:水谷九社めぐりで知った水の神秘
水谷神社と九つの社
春日大社の境内には、水谷川という小さな川が流れています。その川沿いに点在する九つの社を巡るのが「水谷九社めぐり」です。
水は生命の源であり、清めの象徴でもあります。水谷九社めぐりは、水の持つ浄化の力を感じながら、心身を清める参拝コースとなっています。
水谷九社の構成:
① 総宮神社(そうぐうじんじゃ)
御祭神:伊勢・春日・八幡大神様ほか
御神徳:住まい守護/住まいの平安
② 一言主神社(ひとことぬしじんじゃ)
御祭神:一言主神(ひとことぬしのかみ)
御神徳:願い事を「一言」で聞き入れてくださる神
※特に「ここ一番の願い」にご利益があるとされる
③ 龍王社(りゅうおうしゃ)
御祭神:龍王大神
御神徳:運気を上昇させ、富貴に導く。
④ 水谷神社(みずやじんじゃ)
御祭神:御祭神: 素盞嗚命・大己貴命・奇稲田姫命
御神徳: 難病・疫病封じ、八方除け、福徳円満。社殿脇の「子授け石」により子宝祈願にも。
⑤ 浮雲神社(うきぐもじんじゃ)
御祭神: 天児屋根命
御神徳: 運気向上・福徳増進。将来を見通す霊力あり。
⑥ 聖明神社(せいめいじんじゃ)
御祭神: 聖明神(宮中・平野・桓武天皇ゆかりの神)
御神徳: 生気充実・家庭守護・日常生活全般の加護。
⑦ 愛宕神社(あたごじんじゃ)
御祭神: 火産霊神(愛宕権現)
御神徳: 火難防止(台所守護)・必勝・勝負運向上。
⑧ 天神社(てんじんしゃ)
御祭神: 天常立尊(北野天神と同神とされる)
御神徳: 延命長寿・災難消除・受験合格。
⑨ 船戸神社(ふなどじんじゃ)
御祭神: 衝立船戸神
御神徳: 交通安全・厄除・旅路や生活の道開き。

水の流れと共に歩む参拝
水谷川のせせらぎを聞きながら九社を巡っていると、心が自然と静まっていきます。そして、九社をすべて巡拝する時には、山の緑の香りと川の流れの音に癒されて、本当に平安な心地良さで満たされるのです。
日常生活で知らず知らずのうちに溜まった心の澱(おり)が、清らかな水に流されていくようなイメージでしょうか。


【4】:春日奥山の神秘〜原始の森が語りかけるもの
春日山原始林の特別性
春日大社の東に広がる春日山原始林は、約250ヘクタールの広さを持つ特別天然記念物です。841年(承和8年)に狩猟と伐採が禁止されて以来、1200年以上も人の手が入らない聖域として保護されてきました。
この森は、単なる自然林ではありません。神の宿る森として、人々の信仰の対象となってきた聖地なのです。
春日奥山五山と呼ばれる五つの社
春日大社の御蓋山(みかさやま)を含む春日山原始林の山中には、特に神聖視される五つのお社があります。※禁足地につき通常参拝は不可
鳴雷神社(なるかみじんじゃ)
高山神社(こうせんじんじゃ)
神野神社(かみのじんじゃ)
上水谷神社(かみみずやじんじゃ)
大神神社(おおみわじんじゃ)
水谷九社めぐりをしている際に、この“春日奥山五山”がかなり気になっていて、どうしたら参拝できるのか、現地で確認させて頂こうと思ったら、参拝していて時間オーバーに。
帰京した後に、先達の方に教えていただくことができました。
それが、「春日山錬成会」だったのです。


【5】:元春日への巡礼〜ルーツを辿る旅
枚岡神社への参拝
春日大社の参拝から一ヶ月後、春日大社の元宮である枚岡神社(大阪府東大阪市)への巡礼を決意しました。
枚岡神社は、神武天皇即位前3年(紀元前663年)に創建されたと伝えられる古社です。春日大社の第三殿・第四殿の御祭神は、この枚岡神社から勧請されています。


天児屋根命(あめのこやねのみこと)
比売御神(ひめみかみ)
武甕槌命(たけみかづちのみこと)
経津主命(ふつぬしのみこと)✨
※上から、第一殿、第二殿、第三殿、第四殿
(元春日・枚岡神社の境内詳細は以下にて)
神津嶽本宮への登拝
枚岡神社の奥宮である「霊地 神津嶽本宮」への登拝は、まさに修行のような体験でした。急な山道を登ること約40分、息を切らしながらたどり着いた本宮は、想像を超える神聖な空間でした。
巨岩に囲まれた小さな社殿の前で祝詞を奏上した時、全身に電気が走るような感覚を覚えました。ここが天児屋根命が最初に降臨された地だと思うと、感謝の気持ちでグッとくるものが込み上げてきます。


枚岡神社創祀の地にて、手を合わせます。

恩智神社の静寂
枚岡神社の後、恩智神社(大阪府八尾市)にも参拝しました。恩智神社は、天児屋根命の孫神である「大御食津彦命(おおみけつひこのみこと)」を祀る古社で、河内国二宮として崇敬されてきました。
恩智神社の境内は、都会の喧騒を忘れさせる静寂に包まれています。特に印象的だったのは、境内後方のエリア、またそこから見渡せる山々の景色です。
古代の人々も、この景色を見ながら豊作を祈ったのだろうと思うと、時空を超えた繋がりを感じます。

大御食津彦命(おおみけつひこのみこと)天児屋根命の五世の孫神
大御食津姫命(おおみけつひめのみこと)伊勢神宮の外宮の御祭神 豊受姫命の異名同神


【6】:春日大社錬成会への参加〜山岳修行の体験
率川神社での早朝参拝
2024年春、春日大社の錬成会「春ノ峰」に参加する機会となります。
その当日、大神神社と春日大社を結ぶ重要な神社である率川神社(奈良市)で早朝参拝に上がらせていただいてから、錬成会に臨みます。
率川神社は、神武天皇の皇后である媛蹈鞴五十鈴媛命(ヒメタタライスズヒメノミコト)を主祭神とし、その父母神を配祀する神社です。三枝祭(さいくさのまつり)で有名なこの神社は、子供の健やかな成長を願う「子守明神」として親しまれています。
朝靄の中での参拝は、特別な清らかさがありました。境内に響く鳥のさえずりと、朝日に照らされる社殿の美しさは、まさに神々しいの一言でした。


春日山錬成会「春ノ峰」の体験
錬成会は、春日大社神奈備で、古来禁足地として守られ世界遺産に登録された御蓋山・春日山の峰々にお鎮まりになる霊験あらたかな神々様(摂末社)を神職さまとともに巡拝させていただく修行のプログラムです。
※詳細は、以下のHPを参照ください
朝8時過ぎに集合場所に到着します。着替えを済ませ、金剛杖を準備し、そこから、本宮遥拝所方面へ。その後、各所を巡拝させていただいてから御蓋山〜春日山原始林の中を歩きます。要所要所で立ち止まり、祝詞を奏上し、自然と一体になる感覚を味わいながら巡礼させていただきます。

山岳修行で得た気づき
錬成会で最も印象的だったのは「祝詞奏上」でした。参加者全員が一体となって神仏に祈る。そこには、風の音、葉のそよぎ、自分の呼吸、すべてが意味を持って響いてきます。
また、急な坂道を登る時、前を歩く人の背中を見ながら、一歩一歩進んでいく。その姿に、人生の歩みを重ね合わせました。時には苦しくても、一歩ずつ進めば必ず頂上に辿り着ける。この単純な真理を、身体で理解することができるのです。


冬ノ峰での再びの挑戦
2024年冬、私は再び錬成会「冬ノ峰」に参加しました。冬の春日山は、春とはまた違った厳しさと美しさがありました。
当日は、やや曇り気味で、凍てつく朝の空気の中、白い息を吐きながら山道を登ります。今回の参拝ルートを振り返ってみると、そこには「恵みの雨」という言葉がふさわしいという意味が腑に落ちるように、パラパラと優しい雨が時折降ってきました。(水神さまですね)
しかしながら、山中では雨は降らず、最後の戻りの若草山までの道中で降った雨は止みます。そして、素晴らしい景色を目の前にすることが出来たのです。
生命の尊さと自然の偉大さ、人間には計ることはできないものだと実感します。



この土地が持つエネルギーが溢れますね。
ということで、
次回の【後編】に続きます。
では。
いつも、ありがとう^^
@Rico
幸せは自分のために
世界が平和であるために
