都会の大階段で、鳥が森を育てる アクロス福岡
最初に出会ったのは、雑誌の中だった。
ランドスケープを学んでいたころ、専門誌でアクロス福岡を見た。
ビルの外壁に、緑が張り付いている。
段々畑のように階段状に積み重なって、植物が植えられている。
こんなコンセプトが現実になっているのか、と思った。
その後も、何度か雑誌や記事で目にした。
見るたびに、植物や木々が増えていた。
壁面がどんどん緑に覆われていく。
ビルが育っているみたいだった。
実際に行けたのは、ここ数年のこと。
もう、森だった。
もしゃっとしていた。
最初に雑誌で見たコンクリートの壁面なんか、どこにあるかわからない。
枝葉が隙間を争奪するように伸びていて、登るのを少しためらうほどだった。
階段を上がって上の階へ進めば進むほど、木々の濃さが変わっていく。
コンクリートの階段の壁面から高木、低木、草が縦横無尽に生えている。
都会のど真ん中に、本物の森があった。
隣の敷地にある、天神中央公園との接続が自然で、公園で休んでいると、そこに森がある感じがした。
芝生を囲んでいるなんてことのない公園の木々と、階段上の草や木々。
ふたつの敷地でひとつの自然空間になっている。
コンセプトがそのまま広がっていた。
設計したのはエミリオ・アンバースというアメリカの建築家だ。
1989年のコンペで、都市に緑のオープンスペースを提案したチームが選ばれた。
「建物は都市に、緑樹は郊外に」という概念が不健全な誤解であることを示す、という言葉を残している。
建設当初、植えられた植物は76種3万7千本だった。
今は120種5万本を超えている。増えたのは、人が植えたからではない。
鳥が種を運んできたからだ。
設計されたものが、自然に育っていった。
ビルの中に入ると、上が森だとは感じさせない。
立派なビルで、不思議な気持ちになった。
外と中で、別の世界があった。
いまも育ち続けている。
忙しなく行き交う都市の真ん中で、育っている。
鳥が次の種を運んでいる、今日も明日も。
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