決めゼリフをもたない白物家電は弱い
エアコンなんて温暖な気候の間は使わないので、暑さ、寒さが本格化しだす繁忙期になって、ようやく故障に気づくことになる。
リビングのエアコンの電源が入らない?
まず疑ったのはリモコンだった。液晶画面は表示されていたが、電力低下を疑い新品の電池と入れ替える。
携帯カメラで送信部から赤外線が照射されているかを確認する。ビカビカ光を放っている。
リモコン問題なし!
次にエアコンのプラグを抜き、ドライヤーをさしてスイッチを入れる。すかさず温風が出る。
本体の通電も問題なし。
さらに、エアコンのブレーカーの確認をする。「入」になっているので問題なし。
給電には異常がないようなので、エアコン本体の応急ボタンを長押ししてみる。
...…反応なし。
埃一つないくらい綺麗に拭きあげてからの事だった。
購入から五年くらいだろうか、一応日本メーカー製だ。実家ではおよそ50年前のクーラー「霧ヶ峰」が冷風を出し続けていたというのに、なんだこの体たらくは。
このままでは高齢のおかんが暑さで参ってしまう恐れがあるので、仕方なく購入した家電屋へ行く。
しかし、思っていた通り今日、明日中に修理をしてもらえるというわけにはいかないようだ。
家に帰ってからも懲りずに通電確認を繰り返す。
暑さと苛立ちから室内だけでなく、頭の中まで熱気を帯びてもやもやしてくる。
そのうち実家に置き去りにした「霧ヶ峰」が無性に恋しくなってきた。
エアコンがまだクーラーと呼ばれていた時代。
木目調の「霧ヶ峰」は夏の間じゅう涼しい風を絶やすことはなかった。
「ニクイねぇ!」
CMの決めゼリフが鮮やかによみがえる。
気の利いた決めゼリフをもたない白いエアコンからは、期待した反応はかえってこなかった。
