【企画SS#シロクマ文芸部】晴れた日に
(字下げ含み400字)
「晴れた日には、こうして羽をさらすのですよ」
そう言って彼は笑った。
「……乾かしている、のですか?」
「いいえ。ただ陽に当てるだけです」
眦に優しいシワを刻んで、彼は羽の表面を撫でる。
ぱさりともはらりとも違う、乾いたような、軽いような、脆いような、心をざわつかせる音。
破れることを、無意識に恐れてしまう音だ。
「ごらんください」
節くれ立った指が示す先では、朝から昼へと変わっていく太陽が、新緑のカーテンを透かして透明なレモンベージュの光を投げかけている。
雨上がりの、ほんの少しひんやりとした空気にさらされている羽を、わずかに動かす。ーーり、とまた羽が鳴って、かすかに胸がぎゅっとする。けれど。
「……、」
羽が正面から受けた陽光は、やわらかなレモンベージュ。けれど羽が弾いたのは、万色の虹だった。
言葉もない様に眦のシワを深めて、彼はね、と囁いた。
「だから、晴れた日には、こうして羽をさらすのです」
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※サムネはAIイラストです
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