執念の人探し 電話帳がつないだ絆は今はもうない
電話帳…若い世代に問いかけても「なんですかソレ?」といったリアクション。ほら、あのさ~黄色くって分厚いヤツよ!そうそう、タウンページって書いてあったっけ?アレだよ~。も~わからないのぉ?
無駄な抵抗はやめて、速やかに出てきなさい

たしかに、もはや古い話だね丸尾クン。
でも、昔はこの電話帳に自宅の番号が掲載さることがいわばステータスであった時代なのよ。これに載ることが夢のドリーム(!)といったところでしょうか。
現代のように個人情報が!個人情報保護が!といった風潮ではなく、御用の際には電話帳を見てさがすのが一般的であった。
その主役の電話帳がいまはもう無い。
よくよく調べると紙の「タウンページ」電話帳(企業・店舗の電話番号一覧)は、2026年3月末をもって全国での提供を終了する予定とのこと。
個人情報の掲載などもってのほか。つまり人探しに立派に尽力してきたこの紙タウンページはすでにもうこの世からなくなっていたのである。
じゃあもう、友達の連絡先がわからないじゃない

現代の人探しといえば…InstagramやFacebookなどといったSNSが主流であろう。そういや大学生の時に大ファンでよく聞いていたB‐DASHというロックバンド(現在は解散)は、3rdアルバムに『ビッグ ブラック ストア (連絡しろ)』というトリッキーなネーミングの作品をリリースした。これにはビックリした。聞くにボーカルのGONGONの友達の「大黒屋」さんから連絡がほしいと思って名つけた(後に本当に連絡が来た)とかでこういった人探しの方法もあるんだと感嘆した記憶がある。

そんなことを思い返しながら、筆者母が執念の人探しをされた話がある。
発端は大学生の時に通っていた自動車学校の送迎バス内での出来事だそう。隣りの座席に偶然座った年上女性と筆者母はペチャクチャおしゃべりをしていた。言っておくがこの時二人は初対面であるのだが、母の辞書に人見知りはない。
その会話の中で、どうやらその女性には小学生のお嬢さんがふたりいるらしく、学校の勉強や宿題を見てくれる家庭教師を探しているとのことだった。
筆者母はたまたまその女性から雰囲気と通っている大学名などを総合的にみて気に入っていただいたらしく、ぜひウチに来てほしいとスカウトされた。母はその場では「いいですよ」とだけ答えて名前は〇〇(苗字だけ)です。という情報のみを残してなんと電話番号の交換などせずにその日は別れたのだとか。
どーして電話番号を言わなかったんだい?

わかるわかる永沢くん。私もおんなじツッコミを母に入れました。
けど、なんだか話に夢中になって肝心の電話番号を言わないまま別れてしまったのよねとまたヒョウヒョウと答える筆者母。
この話、その後どう進展したのかというと、なんとこの奥さん電話帳で筆者母が残した〇〇という苗字だけをたよりに片っ端から電話をかけて母のことを探し出したのだそう。
見つかったわ~〇〇さん!あ~よかった~

あ~〇〇さん!(電話をかけたのはあなたで)三軒目よっ!あ~よかったわ~。と弾む声色でのお電話だったとか。
たった三軒で母の自宅まで辿りつけてその奥さんは結果的にはラッキーだったが、母の旧姓は比較的ポピュラーな名である。そのあとにも何軒もかけ続ける候補はあっただろうに。この奥さんの執念勝ちであろう。
こうして母はその方のお宅へ無事にアルバイトを始められたそうだ。
しかし、現代人よ!
こういった執念でなにかを成し得ようとするパッションはあるかね?(「ニューヨークへ行きたいか~?」の福留さん風)
すぐに諦めモードにならないかい?
刑事も顔負けな母を探し出した奥さんのような執念を我々は忘れてはいけないと思う。もっと踏ん張れ若者よ。
そんな胸アツな話を書きながら、中年に鞭打ってがんばろうと思う。
筆者の冬旅はまだまだ続く。

