『枕草子』第52段第2段落③ー脚下照顧
第2段落その3です。
【前回の内容】
靫負(ゆげい)の佐は、「六位の蔵人」とか「上の判官」などとも称され、昇殿を許されているので、自分を華々しいものだと思い込んでいる。
ちまたの人々から怖がられているこの男が、宮中の女房と深い中になって、彼女の局のある細殿などに、こっそり忍んで入り込み、そこで寝入ってしまうのは、本当に似つかわしくない振る舞いである。
【今日のお勉強】

部屋の中の几帳のあたりから室外へと、そこはかとなく、空薫物(そらだきもの)のにおいが薫ってくる。
その几帳に、ちょっと掛けた靫負(ゆげい)の佐の袴が、重たげに、ごわごわして下品で「きらきらしている袴なのだろうがこんなに野暮にかかてあるのでは・・・」などと推測される。
賢しげに、袍の脇を開いて、下に長く垂れた裾(きよ)をまるで鼠の尻尾のように、輪のように丸く巻いて、几帳にかけてあるようでは、なんともまあ、恋を語るのにふさわしくない、夜行の人たちであることよ。
この役目に就いている間は、恋をしたくても何とか我慢して、細殿に通うことはやめてもらいたいものだ。
五位の蔵人も、同様である。
【細殿】
細殿(ほそどの)とは、主に平安時代の寝殿造における「細長い建物の空間」や「渡り廊下」、あるいは神社において貴人が参拝前に休憩や装束の調整を行う建物を指す古語・建築用語。
宮中や寝殿造の建物・空間
平安時代の貴族の邸宅(寝殿造)や宮中において、母屋(おもや)の周囲にある細長い空間「庇(ひさし)」を指す言葉。
女房の居室: この細長い空間を仕切り、女房(天皇や貴族に仕える女性)たちの個室(局)として使われた。
交流の場: 清涼殿に出仕する男性貴族と、細殿に控える女房たちの交流の場となることもあった。
また、建物と建物を結ぶ「渡り廊下」を指すこともあえう。
【読後の一言】
脱いだ着物の様子からその男の人物を評価する少納言。
その気持ちはよくわかります。
草履の脱ぎ方が汚いとその人間もだらしないと思ってしまいます。
しかし草履の脱ぎ方が美しい人でもよく生きているかは怪しいこともよくあります。
ではまた
<参考図書>
1.島内裕子著 『枕草子』の世界
一般財団法人 放送大学教育振興会
2.島内裕子著『枕草子』ちくま学芸文庫
https://amzn.asia/d/033SSia
3.枕草子[能因本] (【笠間文庫】原文&現代語訳シリーズ)
